最終話 こんな私だけど。
湊くんが、私の少し先に走り出す。
少しずつ遠くなる背中に、あぁ足早いなぁ。なんて息をついた。
これなら、2年3組は1位か2位は確定かな。
そんなことを考えていると、後ろから篠崎先生! という声が聞こえてきて、私は走り出す。
赤色のバトンの、冷たい感覚を手に、私は久しぶりに手を大きく振った。
流石に高校生の頃と比べると、足も動かなかったし、なんか胸も重く感じた。
でも、やっぱりそれなりに運動神経は残っているらしく、そこそこは走れていたと思う。
まぁ学生の頃は、文武両道、みんなの理想であるために、毎日トレーニングや勉強をしてきたんだ。
それがすぐに剥がれたら、それはそれで悲しい。
そして、緩やかなカーブを曲がった瞬間、
ふと、湊くんの背中を見た。
大きくて、男らしくて。私をいつも安心させてくれるその背中を。
そしてそれが離れていくことに、胸の苦しさを覚えた。
でも、私だって大人だ。いつまでも彼に頼りきりじゃいけない。
それに、湊くんの将来を、私で狭めてしまうのはもっと嫌だった。
だから、湊くんにはもう、関わらない。
それで……いいよね。
その瞬間だった。
「え?」
なぜか、左足が地面にくっついてしまったかのように離れなくて、私の視界が前方に倒れていく。
スローモーションの世界で、ふと足元を見た。
解けた靴ひもを自分で踏み付けたらしい。
あぁ、ほんと、私って……。
「ドジだなぁ……」
バトンの無機質な音と共に、私は硬いグランドの上を滑った。
文乃さんが持っていたバトンが、観客席の前で止まった。
同時に……。
「文乃さん……」
俺の足も止まった。
他のクラスのランナーが、俺の体をスレスレで追い越していった。
まぁ、当たり前だ。みんながより上の順位を目指し走っている中、コースの真ん中で急に足を止めたのだ。
そんなの普通に考えたら、邪魔以外の何者でもないだろう。
すると、視界の先で文乃さんの体がゆっくりと動き出す。
ゆっくりと手をつき、顔を上げて、バトンを見る。
その文乃さんの横顔は、今まで見たこともないぐらい必死で、でも、今にも泣き出してしまいそうな。
そんな顔をしていた。
思わず足が一歩そちらに踏み出す。
次にバトンを渡す人がいるのに。
今やるべきことは、莉奈にバトンを渡すことなのに……。
すると、その瞬間だった。
「湊!」
いつの間にか、背中を向けていた、向かうべき方向に顔を向ける。
やけに広くなった、スタートライン。
その上に立つ、体操服の莉奈は、何かを心配するような
なんとも言えない表情で口を開く。
「……湊、ゴールは……こっちだよ?」
そう言って、今まで散々繋いだ、綺麗な左手をこちらに伸ばした。
でも、そう言ってやんわりと微笑んだ、彼女の顔は、どこか引き攣っていて、少しだけ持ち上がった唇の端は、苦しそうに震えていて。
まるでそれは。『行かないで』って言っているような、そんな気がした。
すると、他のクラスのアンカーはすでにコースの半分に差し掛かり、やがて俺を抜かしてゴールした。
もうグランドに残っているのは、俺たちだけになった。
すると、観客席も段々と声援からヤジに変わり始め、『早く終わらせろ』とか、『いい加減走れ!』とか、そんな言葉が飛び交うようになった。
それに対し、放送席の麻耶先輩も、葵先輩も、なんとかフォローしてくれてはいるのだが、それに対してもある意味、同調圧力というものが働いているのがわかった。
詰まるところ、俺がバトンを持てば持つほど、莉奈にも、クラスにも、文乃さんにもヘイトが集まっていく。
なら、さっさとこのバトンを渡してしまった方がいいだろう。
文乃さんにもう一度視線を向け、ゆっくり走り出したのを確認した俺は、莉奈の方へと小走りで進む。
よかった、文乃さん。自分で立ち上がってくれた。
もうこれなら、俺が莉奈にバトンを渡さない理由は無くなったのだから。
そして、莉奈まであと5メートルほど。
「湊、遅いじゃん……もう」
どこか安堵した、幼馴染がそうため息をついて。
「すまん、遅れた」
なんて、バトンを前に突き出した、その瞬間だった。
『おーっと! 篠崎先生再び転倒っ! これは……救護班! 早く担架を!』
そんな麻耶先輩のアナウンスがグランドに響きわたり、俺は再び足を止める。
ゆっくりと、文乃さんの方に振り返った。
視界の中を走っていく担架を持った男子生徒。
その少し先に倒れる黒くて長い髪の毛。
ところどころ赤く擦りむけた、白い腕、握りしめられた、赤いバトン。
そして……。
「——っ!」
顔を上げた文乃さんの頬を、涙が伝った。
それを見て、胸がきゅっと押しつぶされた感覚がした。
自分のことじゃないのに、痛くて苦しくて。
なぜかわからないけど、文乃さんの悔しいという気持ちが、伝わってくる。
そして、そんなボロボロの文乃さんを、今にでも抱きしめてあげたくて、仕方がなかった。
「……湊」
俺の体操服の背中を摘ままれる。
「お願い、行かないで……」
小さくて、今にも消えそうな声だった。
いつだったか、俺が他の女の子に告白された時に聞いた、あの時と同じような。
……。
でも。
「……っ!」
俺は半身で振り返り、ゆっくりと莉奈の手を外す。
莉奈は大切な幼馴染で、心の許せる存在。
だけど……。
「……莉奈、ごめん」
それだけ言うと、文乃さんの元へと走り出す。
俺はそれ以上に、文乃さんを守りたいって。
そう思ってしまったんだ。
どっちも大切。
だけどもし、『大切』と『好き』に違いがあるのであれば。きっとこう言うことなんだなって、気づいてしまったから。
だから俺は、
「文乃さんっ!」
フラフラと立ち上がり、走り出そうとして、前方に傾いた彼女の体を抱きしめる。
ボロボロの彼女を見て、嬉しい気持ちはしない。でも、
「湊……くん」
そんな声に、ふと安心を覚えた俺は、つくづく、この人のことが好きなんだなって、そう思った。
俺の胸元で、啜り泣く彼女の頭をそっと撫でる。
「文乃さん、そんなに無理するところじゃないですよ……そんなに傷だらけになって」
「ごめんなさい……結局、ドジばかりで……」
「むしろ、ドジしない文乃さんなんて、俺知りませんよ?」
「でも、こんな……私のせいで……」
「でも、俺はそんな文乃さんの事が大好きです」
彼女に静かに言う。自然と呼吸をするように出てきた言葉。
そこに嘘も、恥じらいも一切なかった。
「だから、もし文乃さんが自分のことが好きになれないなら、俺が全部好きになります。文乃さんが転びそうになったら、こうやって俺が支えるから、だから……」
一息ついて、俺は鼻を鳴らす。
ゆっくりと顔を上げて文乃さん。
頬の砂に浮かんだ、涙の流れた跡。大きくてパチリとした瞳。汗で張り付いた前髪と、筋の通った鼻。薄い唇。
綺麗で愛しいその顔に、俺は言った。
—— これからも、ずっと隣にいてほしいです。
はっと、目を見開いた文乃さん。
何かを告げようとその唇がモゴモゴと動く。
「えっと……その……私」
すると、それを遮るようにして担架を持った男子生徒が声をかける。
「お取り込み中ですけど、担架どうします?」
「あ、えーっと……でも、バトンが……」
「文乃さんは、それ、絶対に届けたいですか?」
彼女に聞く。すると、力の抜けたような顔が、
「うん。絶対にバトン渡したい」
確固たる意志を持った表情に変わった。こうやって急にカッコよくなるのは、ほんと文乃さんらしい。
「まぁ、そんな気はしてましたよ……それじゃ!」
俺はそう息を吐いて、文乃さんの膝の後ろと、華奢な腰に手を回し、持ち上げる。いわゆるお姫様抱っこだ。
観客席から聞こえてきた黄色い悲鳴と、切り忘れているマイクから漏れる、『わぁ〜』というため息。
「え、み、湊くんっ!?」
「さぁ! 行きますよ! 文乃さん!」
そう声をあげて俺は、文乃さんを抱えて走り出した。
次第にヤジだったものが『頑張れー!』や『いいぞ鹿島ぁー!』と言う声に変わった。
中でも……。
『わぁ〜っ! いけぇー! 湊くーん! 走れぇ〜!』
『うわっ! ちょい葵ちゃん!? おちつ……いや、これは……うん、2年3組! もうダメかと思われた状況から、立ち直しました! 篠崎先生を抱えて走るのは、aチーム! 鹿島湊! そして今、次のランナーにバトンが渡ります!』
そんな誰よりも盛り上がる、放送席の葵先輩と麻耶先輩。
なんだかそこまで騒がれると、むしろ恥ずかしい。
そして、再び白線まで戻ってくると、
「莉奈、すまん。遅れた」
そう言って、青いバトンを差し出す。
うるうるした大人っぽい瞳を、ゴシゴシと手で擦ると、
「あぁもう! 今から走る私の気持ち、考えなさいよ!」
そう声をあげて、俺の手元からバトンを奪い取っていく莉奈。それを合図に、文乃さんも、aチームのアンカーにバトンを渡す。
少しずつ遠くなるその背中に、暗い茶髪のポニーテールが揺れた。
「ごめん……ありがとう、莉奈」
そう小さく呟いて、俺は彼女を抱えたまま保健室へと向かった。
体育祭が終わった。
あれだけ騒がしかったグランドも、テントの足が畳まれ、サッカー部や野球部が普通に部活を始めている。
みんな、いつも通りに戻っていく。
「……湊の……ばか」
私以外は。
リレーはたぶん、過去一盛り上がったと思う。
まぁそりゃ、あんな事を大勢の前でやったのだ。一歩間違えばヘイトの嵐。でもそれだけみんなが見ているのなら、一気にその印象が変わっても、不思議ではない。
私が中学生の頃、告白を受けた湊が、遠くに行ってしまうような気がして、彼の袖を掴んだことがあった。
湊は優しいから、私がそういえば、私の隣にいてくれる事はわかってた。
それでよかった。
そうやって私を優先してくれることが、嬉しくてたまらなかった。
だから、私は、湊に聞いた。
—— 私のこと好き?
これも、湊は優しいから好きって答えてくれるのは、分かってた。「私が付き合って」って言ったら、首を縦に振ってくれるのも、分かってた。
湊がそう言ってくれる事を分かり切って、彼に『好き』と言わせた私が、一番の卑怯者であることなんて、分かってた。
それで湊が苦しんでるのも、知ってた。
だから。
篠崎先生が転んだ時にハッキリした。
湊にとって私は『大切』で。篠崎先生は『好き』であることが。
——お願い、行かないで。
そう私が彼の背中を掴んだ時点で、負けが確定してるのも、全部理解した。
だって、私がずっと好きだった人のことだもん。
言わなくても、わかるよ。
そして、湊は篠崎先生を選んだ。
あれから、文乃さんと湊はまだ保健室にいると思う。少なくとも、事前撤収の段階では、二人の姿は見当たらなかった。
今、湊の隣にいるのは、私じゃなくて篠崎先生。
きっといつの日かそれが、彼の『いつも』になって、私は『あの時』に変わっていくのだろう。
でも、それがなんだか怖くて、それ以上に悔しかった。
一人、放送室。
私はパイプ椅子の上で膝を抱える。
頬を伝う涙の感覚を感じるたびに、篠崎先生を抱き抱える湊がフラッシュバックして、ふと、
「私もあんな風に抱きしめて欲しかった……」
なんて、小さく呟いた。
私には湊以外、何もない。
みんながいつも通りに戻る中で、私には、いつも通りがなくなってしまった。
これから、どうやって生きていけばいいのだろうか。
そんな茫然とした不安と、寂しさで押しつぶされた。
……するとそんな時、放送室のドアがガラリとして、私は目元を擦る。
わざと、そちらから顔を逸らして、いつも通りを装った。
「ん〜! 体育祭疲れたぁ〜、さーて帰りはコンビニに寄って」
「……莉奈」
その呼び方にびくりとする。私をそう呼ぶのは、湊ともう一人、
「どうしたんですか? 越川先輩」
彼だけだった。
すると言いにくそうに「あ、いや……」とモゴモゴと口ごもった。
そんな彼を横目に、私は立ち上がる。
「こっちは機材の整備終わったので、先帰りますね♪」
そう言って、越川先輩を追い越し、ドアの溝に指をかける。
するとその瞬間だった。
「俺じゃ、ダメなのか?」
そんな声と共に、私の左腕が掴まれる。
多分、湊以外に掴まれるのは、初めてだった。意図しない強引さに、少しだけ心臓が速くなった。
「……なんですか、傷心してる時ならいけると思いましたか。ハッキリ言ってキモイです、そういうの」
そう言って、越川先輩の手を払いのける私。
分かってる。人の好意をこうやって無下に扱うことがよくないって。
でも、湊以外からの、そういう気持ちはいらないから。
「ごめん……」
「それじゃ、さよなら」
そう言って、私は放送室から出た。
でも、隣に湊がいない廊下はなんだか広く感じて、また泣きそうになった。
ポケットから、白い有線のイヤホンを引っ張り出す。こういう時は、音楽でも聞いて……。
その瞬間だった。
「莉奈!」
パッと後ろから大きな圧力を感じたのと同時に、私の体に腕が回る。
白い有線が私の手から離れ、スマホに繋がったまま、床の上に落ちる。
驚きと、込み上げてきた悔しさと、少しの安心感に似た感情を誤魔化すように、口をひらく。
「なんですか、急に」
だけど、帰ってきた言葉は、先ほどまでのような弱々しいものではなく。
「そんな顔してるうちは、放って置けない……から」
そういった。
いつだったか、湊が私に言ってくれたセリフと一致して、
思わず目頭が熱くなった。
越川先輩はそのまま続ける。
「莉奈が、鹿島のこと好きなのは知ってる。だから、正直お前らが破局すれば良いのに、なんて思ってた。でも、やっぱり俺は、莉奈に笑っていてほしくて……」
だから、
先輩は、一息吸って、
「湊の代わり、俺にやらせてくれないか? 俺不器用で、湊ほど魅力はないかもしれないけど、でも、莉奈のこと絶対に大切にするから……だから」
……。
「俺と付き合ってほしい」
そう、静かに言った。
そんな言葉に、そんな暖かさに、私の心臓は変な鳴り方をする。
『とくとく』とも、『どくどく』とも言えないような、変な鼓動。
でもそれは、湊の隣にいる時とよく似ていて。
「……ふふっ。ほんと、先輩ってバカですね」
私は少しだけ、安心感を覚えた。
でも。と、彼の腕をほどき、一歩前に足を踏み出す。
そして、越川先輩の方に振り返ると、私は言った。
「私、湊のことが好きすぎてダメなんです」
「そ、そっか……」
「あはは、私ってバカな女だと思いましたよね? でも、そうなんです……私天性のバカなんです」
「いや、そんなこと……つーか、俺はそんな莉奈のことが、好きだから」
あぁ、暖かい。心地いい。
「ふふっ。でもですね、バカな私なりに、一つ考えたんですよ」
そう呟いて、一歩踏み出す。越川先輩の方へ。
湊よりも身長は小さいし、顔だって、どこにでもいそうな普通の顔。ハッキリ今の私からすれば、どこをとっても湊未満。
でも、この言葉の温かさだけは、一瞬だけでも、湊に匹敵したから。
「もし、私が高校を卒業するまで……越川先輩が私のこと好きだったら、その時は先輩のものになっても、いいですよ」
私は、越川先輩に、とびっきりの笑顔を見せてみた。
私は湊のことが好き。たとえ目の前で湊が篠崎先生を選んでも、私は湊への好きは無くならない。
でももし、それが叶わないものなら、その時は私に向けてくれた『好き』に答えるのも、悪くないのかもしれないね。
「や……」
「や?」
「やっったぁー! よぉーっし! 俺絶対に莉奈のこと好きなままでいるからな!」
「あっははは! 越川……ううん。
——私も涼先輩のこと、ちょっとだけ好きですよ。
そう言って、笑った。
「今日はカッコ悪いところ、いっぱい見せちゃって、ごめんね」
「いえ、そんなことないですよ。てか、こちらこそ、そんなに傷だらけなのに、送ってくれて……」
「もぉ、当たり前だよぉ。私のせいでこんな時間になっちゃったんだもん」
そう言って、彼女が差し出したスマホの画面に目を向けると、時刻は『19:00』と表示されていた。
確かに明日も学校はあるし、それに体育祭実行委員会と、それに絡んだ委員会、あとは先生たちも午前7時には来るように言われている。
それを考えれば、帰宅するのに決して早いとは言えない時間だろう。
確かに。と俺が言うと文乃さんはふふっと鼻を鳴らす。
二人っきりの玄関。少し遠くにあるビルの灯り。
「ね、湊くん」
優しい声色で文乃さんはいうと、しおらしく俺の手を握る。
思わずどきりとして、「なんですか?」と早口に返した。
文乃さんはやんわりと言う。
「今日はありがと。湊くん、すごくカッコよかった」
「あぁ、まぁ……文乃さんが怪我してたんで、これは速く運ばないとって」
「ふふふっ。だからね、私からもしっかり言っておきたいことがあって、」
そう言って、文乃さんは俺の頬に手を添えて、やんわりと微笑んだ。
「湊くんのそう言うところ、私も好き。行動は大胆なくせに、最後はカッコ悪かったり、いつも何か考えてるくせに、『上手く言えないんですけど』って、誤魔化すところも」
「あはは……今のところ『好き』に説得力のないとこばっかり……」
「でも、それは私を気遣ってくれた言葉だったり、優しく抱きしめてくれたり、あとは、こんな私のこと、好きって言ってくれたり……だからね、私も湊くんのこと、大好き。これからもずっと、隣にいてほしいって思うくらい、好き。だから……」
文乃さんはスゥーッと息を吸い、赤く染まった頬を持ち上げる。
パチリとした大きな瞳の上を、上下した長いまつ毛。
大人っぽい薄い唇がゆっくりと動かすと、
—— こんなポンコツな私だけど……ほんとにいいの?
そう言った。
少しの沈黙。
俺は内側から湧き上がってくる感情に何も言えなくなって、
「——っ!」
彼女の唇にキスをした。
びくりと震えて彼女の体を抱きしめる。
そしてゆっくり顔を離すと文乃さんの顔を見る。
黒くて櫛がすんなりと通りそうな前髪。その奥に輝く、黒くて大きな瞳。
その目尻から流れる、涙。
「……すみません、上手く言えないですけど、これが俺の気持ちです」
「……ふふっ。ほんと湊くんは……でも」
文乃さんは小さく笑うと、目元を擦る。
そして。
「本当に、大好きだよ。湊くん」
今度は彼女の方から、唇が重なる。
柔らかい体温と、シャンプーの香りや汗に匂いも全てをひっくるめた文乃さんの匂いも。
その全部に、ドキッとして。
「俺も、大好きです」
その全部を、これからも守っていきたいって、
心からそう思った。
泥酔して部屋を間違えた謎のお姉さん、まさかの学校の先生だった件 (完)
いつもお世話になっております、『あげもち』です。
ここまで読んでくださった読者の方。いつもコメントをくれた方。お恥ずかしながら、私の文をよく読んでくださり、誤字を見つけてくださった方。
ここまで書き上げられたのは、私だけの力ではなく、皆様のおかげです。
誠に……。いや、こんな時ぐらい私自身の言葉で書きましょう。
本当にありがとうございました! とても楽しい二ヶ月でした!
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