第2章 水上都市『モルディカ』編
第9話 旅の始まり
水の
水の上に浮いていることから、誰も攻め入ることができず、長年、平和が続いていた。
そう、英雄たちが現れる前は……。
英雄たちが現れてから、水の
結果として、水上都市『モルディカ』は平和を維持してきた。
「ここまでが、ざっくりとした水の都、水上都市『モルディカ』の歴史だ。どうだ?少しは理解できたか?」
「う~~ん。全然、理解できません」
「……そうか。ごめんな、説明が下手で」
「あっ、いえ、エイジさんの説明が悪いんじゃなくて、そのそもそも水の上に都市があること事態が想像できないというか……」
「そういえば、アルカは外の世界をあまり知らないんだったな」
水の上に存在する都市。そもそもどうやって、水の上に家を建てているのかすら、想像できない。
こうやって、エイジさんの話を聞くと、自分の視野の狭さや、無知さを実感する。
「あと、1時間ぐらいで、水上都市『モルディカ』が見えてくるはずだ」
「はい!!」
私たちは今、砂漠という砂で覆われた地面を歩いている。
今は正午なので、とても日差しが強く暑いけど、夜になるとすごく寒くなるらしい。そんな知らないことを聞いたとき、エイジさんって本当に物知りだなと痛感した。
「暑いな……」
こんなに暑いのに、夜になれば寒くなるのだろうか。と疑いたくなる私は、無意識にエイジさんの顔を追ってしまう。
「もうすぐ、見えてくるぞ」
一面砂漠で覆われた大地。エイジさんが言葉かけたあと、ふわっと水の香りがした。わたしはゆっくりと、顔を上げて、遠くを見つめると、そこには。
水が円状にぐるっと囲われており、その中心にはたくさんの並び立つ大きな建物。一本だけ大きな橋があり、その通りで、たくさんの人が出入りしている。
「あれが、水上都市『モルディカ』。すごい、本当に水の上に都市が……」
都市の大きさでいえば、私がいた発展都市『クリスタリア』よりは大きくないけど、あの中でどれだけの技術が引き詰められているのだろう。
それにどうやって、水の上に都市を築き上げているの?遠めだけど、見た感じは浮いているように見える……。
「アルカ、早くいくぞ」
「あ、はいっ!!」
初めてすぎて、興奮しちゃうけど、ここにいてくれるといいな……英雄どもが。
私たちは、水上都市『モルディカ』の出入り口に繋がる大きな橋の前に到着する。
出入り口には、二人の門番が立っており、そこで念入りなチェックが行なわれていた。
「かなり、厳重ですね」
「ああ、そうだな」
エイジさんは特に驚く様子を見せなかった。
これがいつも通りなのかな。ただ、周りの人たちの雰囲気が少し、暗いような。
私たちは、長い行列を並びながら、順番を待っていると、行列の先頭で声を上げる男性の声が聞こえてきた。
「おい!!なんで俺たちが入れねぇんだよ!!」
「ですから、通行許可証がなければ、通行を許可をできません」
「去年まではなくても入れたじゃないか!!」
「変わったんです。それがぐらい把握したらどうですか?」
「なんだと!!貴様、俺が何者か知らねぇのか!!」
「さて、私から見れば、ただの野蛮人に見えますが?」
「きっ貴様っ!!俺をなめてるのかっ!!!」
怒りに身を任せ、携えていた剣を引き抜き、門番の人に剣先を向ける。
「力ですべてを解決しようとするのは、弱者がやることですよ」
「黙れやっ!クソガキっ!!」
振り下ろされる剣、甲冑を着て門番をしている人は一切、その場から動かなかった。
「【ビープル・チェーン】!!」
背後から唱えられる魔法詠唱。すると、勢いよく飛び出してくる複数のチェーンが襲い掛かった男を拘束した。
「なぁ、なんだこれは!?」
「これは、拘束魔法……しかも、これほど強固なチェーン、一体誰が……」
襲い掛かった男は何が起こったのか、わからず、縛り上げるチェーンを引きちぎろうとするも、ビクともしない。
「何をやっているのですか?」
トントンっとこちら向かってくる足音。白いローブを羽織り、右手に杖を携えた少女。
「このような公共の場で、騒ぐなんて、みっともないと思わないのですか?」
「だ、誰だ!?てめぇは!!」
「私は、アルカ=アルフィート!最強の魔法使いを目指す魔法使いだよ!!」
ーーーーーーーーーー
・拘束魔法【ビープル・チェーン】
魔力量に応じて、疑似チェーンを生成し、視認したものを拘束する魔法。。
強度は魔力に比例し、魔力操作次第では、自分の指のように操作することも可能。
応用魔法の分類に入るが、応用魔法の中では初級レベルの魔法である。
・水上都市『モルディカ』
長い年月、続く都市で、歴史は300年以上ある。
治めているのは、若い女性で教皇と呼ばれており、家族たちに慕われ、愛されている。
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