第四十九話 三者三様
ヴァンもトウカちゃんも速い、もう突っ込んでいるじゃん。
私も行こうか。
ヴァンもトウカの二人は戦場となったこの広い平原で敵を見つけた瞬間には攻撃を開始していた。
「とりあえず数を減らすか『雷爪』」
ヴァンの戦闘方法は魔法で鉤爪を再現し近接攻撃で戦う。
魔法によって再現する為鉤爪をいろんな形に変質させる事ができる。
今回はスピードを上げる雷を纏った鉤爪に変え魔獣の群れに突っ込んでいく。
あまりに速さに魔獣達はついて行けず、なにもわからない内にその命を散らしていた。
だがそんな中でその動きを見極める魔獣がいた。
「っっっ躱された!」
ヴァンの攻撃を交わしたのはチーターのような魔獣であった。
ただしその体は黒く染まり目が虚ろであった。
「サリシアが言っていた。強制的な操りか」
「………………」
「物言わぬ存在にされちまう黒いモヤだっけか。相変わらずとんでもないなリアラの怪物っていうのは」
こいつはちょっと時間がかかるな。
倒さないとこの先にいる怪物の元にいけないか。
◆◆◆◆◆◆
トウカはすべてを燃やしていた。
ここが広い平原だというのもあり周りを気にせずにガンガン魔獣を燃やしていた。
「こいつらは全部燃やしても怒られないから楽」
トウカは敵がいる場所すべてに炎を飛ばしていた。
大体の生物は体が高温で燃え上がるなか生き残る事など出来ない。
トウカは今回炎の温度をかなり上げていた。
全部燃やしてもいいと言うのと骨すらも残す必然が無いためでありそしてトウカ自身も気分を上げていた。
「全部消す。こればっかりは仕方ない。私の炎には誰も耐えることなんて出来ない」
まだまだ行く。
怪物まで私の炎を届かせる。
トウカの炎はガンガン魔獣達相手に進軍していきトウカの目の前に写っていたすべての魔獣を燃やしつくした。
「ふ~次」
一旦一息を入れてさらに進もうとした所に自分に当たっていた日差しが急に消えていた。
本来当たっていればわかるほどに日差しは暖かい。
だがその日差しが当たっていないのにトウカは暖かく感じた。
いやそれ以上に熱く異常な熱を上空に感じた。
そこにいたのは大空を飛んでいるワイバーンであった。
ワイバーンは上空で溜め込んだ火球をトウカに向けて放とうとしていた。
「私に炎で勝負するつもり」
トウカは当然むかい撃つつもりであった。
自分に炎を向けられ避けるのはプライドがゆるさなかった。
「えい!!!」
ワイバーンの放った火球に対して両手でワイバーンと同じような火球をつくり向かい撃ったトウカ。
二つの火球は上空でぶつかり合い大きな轟音となり互いに消えた。
火球同士のぶつかり合いは完全な引き分けであった。
「むっ」
ムカつく、ぶつけて勝つつもりだったけど引き分けた。
ならもっと強いの。
自分の炎と相打ちだったことに心底ムカついたトウカは完全にワイバーンを燃やしつつすと決めた。
◆◆◆◆◆◆
こんな平原で進軍するなんて何かあるのかな?今まで裏にいたのにこんなにわかりやすく表に出てくるかな?
怪物は目的の為にいずれは表に出てくるけどこんなにあからさまなのもめずらしい。
「とりあえず目の前の敵を斬る」
サリシアは怪物がいるであろう所に向かって移動していた。
敵を切り裂きながら。
だが向かっていたのはなにもサリシアだけではなかった。
「や!!こうやって会うのは始めましてだね」
「ッ!!!」
「そんなにビックリしなくてもいいじゃないか。目的は僕何でしょ?だからね目の前に来てあげたんだ」
いたずらを成功させたかのような顔でサリシアの前に現れた少年。
ただ子供なら良かったんだけどこんな所にいるはずないし確定か。
しかも『目的は僕何でしょ?だからね目の前に来てあげたんだ』なんて完全にそういうことだよね。
「うん、そうだね怪物さん」
サリシアの前には怪物が立つ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます