第四十八話 一報
サルマニアにトウカとヴァンが集合してからそろそろ一週間がたとうとしていた。
始めにあった緊張感がそろそろ緩み出そうとしていた時に一報が入った。
「バング陛下!!!会議中に失礼します」
会議中に入った来た兵士は明らかに冷静さを失っていた。
その様子にバングだけでなく会議に参加している者たちはいち早く何が起きたか分かってしまった。
なにせ自分達が今一番危惧していたことだから。
「その慌てよう、とうとう私達の前に現れてしまったか」
「はい!!!バング陛下。魔獣だけでなく一部の人間すらも従えて進軍しているとのことで」
「サリシアが言っていた噂の操りか。今すぐに三人に報告をしろ。怪物が来たと」
「はっ!!!」
報告を入れた兵士は一礼をして急いで三人の下へと走り出した。
「イルバ宰相この場の会議を一旦任せるぞ」
「了解いたしました陛下」
私も聖刻の間に行って他の国々の王に報告しなければな。
もしもの覚悟もしておくべきか。
バングは会議を宰相に任せて聖刻の間へと移動していた。
◆◆◆◆◆◆
さっきから少しずつ慌ている?
もしかして来た?怪物が。
「……サリシア様?」
「そんな慌ててたら流石にわかるよ。来たんでしょ怪物の場所は?」
部屋に入ってきた兵士のようすに何が起きた理解したサリシア。
怪物が来たのだと。
「北東より魔獣やその中に一部ですが人間の姿も確認されました」
「そっか」
また無理やり従えているのかどうかとりあえずみて見ないとわかんないか。
「来たの?」
「ようやくか一週間も待ったかいはあったな」
「トウカちゃんにヴァン行こう怪物退治に」
「おうよ」
「うん、全部燃やしてもいいでしょ」
さっそくサルマニアの首都から出て移動を開始する三人。
これからリアラの怪物と戦争が始まる。
◆◆◆◆◆◆
「二人とも足燃やすよいい?」
「うん、お願いねトウカちゃん」
「あんまり強くしないでくれよ」
「大丈夫、一気に飛ばすから一瞬みたいなもん」
外に出た二人はトウカに移動を託していた。
どこに怪物が現れ出てもトウカの魔法でブースターとして駆ければいいと。
「燃え駆けろ『ブースターアクセル』」
トウカの炎の魔法によって三人の足元が燃え上がっていた。
「こっから走るよ~」
「足だけ熱いから変な感じがするぜ」
「じゃ魔法きる」
「待て待て、そしたら遅れるって」
ここから過激な戦闘が始まる前触れのような感触を三人ともが感じていたためか他愛もない会話をしながら移動を開始する三人。
怪物との全力の殺しあいが始まる。
◆◆◆◆◆
「さて、あえてこの平原で堂々と進軍しているが来るかな?」
「ガオー!」
上空にるやつが誰か見つけたか。
もう少し先にいるのか。
怪物は一歩また一歩進んでいく。
そしてある程度進むとある一段が怪物の前に待ち構えていた。
「君たちは?誰なんだい?」
あの時の人間とは違うようだが……
「何ただの露払いというやつさ」
そこにいたのはビーダン王子とその護衛にカイカゼ公国の精鋭の兵士たちであった。
◆◆◆◆◆◆
ドドドゴゴゴゴゴゴ
バコバコバコバコ
ガガガガガガガガ
「この音は」
「明らかに戦闘音だな」
「誰か戦ってる?」
「急ごう!!!」
サリシア達が怪物の前に着いた時にはもうその場は戦場となっていた。
「絶対に奴の間合いにだけは入るないいな!!!」
「あれは!!」
「ビーダンだ。なんでいるの?」
「カイカゼ公国の王子じゃねぇか」
戦場と化したこの場所で指揮を取っているビーダンを発見する三人。
なぜいるのか?と疑問が尽きなかった。
「ビーダン王子!!」
「三人とも来たか」
「これはなに?」
サリシアはビーダンのそばにより事情を聞き出した。
「奴め我が国カイカゼにある山にいたんだ。そこから自分の駒を増やしていたんだ。あそこにいる一部の人間も元々カイカゼ公国の人間だ」
ビーダンは苦虫を噛み潰したような表情で答える。
怪物はサルマニアからカイカゼ公国に移動してそこで自分の駒を増やしていた。
「なるほどそれで今ここにいるんだね」
「すまんが怪物は任せていいか?周りの魔獣共は我々が引き受けよう」
「もとよりそのつもりで来てるから。任せておいてきっちり倒してくるよ」
そう言ってサリシアはその場を離れ怪物に向かって突撃を開始した。
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