第四十一話 動き出す日
聖刻の間
この部屋には今四つの国の王が集まっていた。
連邦と連合の王に加え新たに現れた二人の王。
今四ヵ国の王による会談が始まっていた。
「お二方ともどこまで話し合いをしていましたか?」
「まだまだなにも進んだ話をできてませんよケイア女王」
ケイアと呼ばれた女性はイフ崩国の女王であった。
手足は綺麗に伸びて背丈も平均的な女性よりも随分高い女性であった。
「まぁそうであろうな。そちらの二国共にセルフジーニアスの被害があった中でサルマニアの話が来たのだから。自分達のことで他に使える時間がないだろう。いくらリアラの怪物が現れたとしても自国をほったらかしにはできん」
「そう言っていただけるとこちらとしても助かりますゲント帝王」
「なに昔我が国でも同じような事があったからな、私が即位して間もない頃にな」
ゲントと呼ばれた男性はエニグマ帝国の王であった。
ゲントは帝王に即位してから二十年の月日が経とうとしているほどで世界の王達の中でも長く王として国を守っている内の一人であった。
昔のような若々しい覇気はなくなってきてはいたが王としてのカリスマは日に日に増しているほどであった。
「私の過去の昔話はいいか。それよりも現在起きている問題を解決する為に動くべきであろうな、その為に集まっているのだからな」
「あら?もう他の国の王の方々は来ないのかしら?」
ケイアはふと疑問に思ったことを口にした。
この聖刻の部屋には四人の王しかいないからであった。
この世界にはまだまだ王がいるのにその王達は来ていないのかと。
「今回呼んだのはお二方だけです」
「怪物相手なら皆を呼んでも文句は出ないでしょうに」
ケイアは少し不満に思いながら答えていた。
だがゲントは違った反応を示した。
「いやサルマニアの剣帝聖女が相手した黒いモヤに操り人形にされていた二人がいたという。もしそれが怪物の仕業なら多く居ても邪魔になるであろうな」
多く居ても操られて返って足手まといになる。
サリシアが話ていた特徴がどこまでの範囲に及ぶかは分かっていないが数を使う人海戦術よりも今回は少数精鋭の方がいいとゲントは話を聞いた時には考えていた。
もっともゲントは独自の情報網からより詳しく情報を得ていたというのもあるが。
「帝国や崩国の圧倒的強者達による少数精鋭の討伐の方が今回はいいだろう」
ゲントの話に納得したのかケイアは自国にいるお転婆娘を思い出す。
「なるほど我が国にいるトウカとそして帝国にいるヴァンですか。確かにそこにサルマニアのサリシアが加われば少数精鋭の最高戦力ですね」
「えぇその為にお二方にトウカさんとヴァン殿にリアラの怪物の討伐を依頼して欲しいのです。サルマニアへの手続きは我々が行いますので」
「いいだろう。ヴァンに頼むくらいな」
「こちらもトウカに依頼するくらいでいいのでしたらすぐにでも言いつけましょう。怪物を相手に国を挙げての討伐にならないのであればこちらとしても楽が出来ますので」
他の国々も独自に動き出すだろうが帝国と崩国が自国の最高戦力である二人を討伐の為に動かすのであればと自国の防衛に専念しつつ状況を見ようとする。
そんな状態を作り上げれば他のことも対応
しいやすくなる。
特に連邦や連合のような王が絶対の国でないほど顕著にそれは出る。
意見が割れるよりも我々は状況を見極めつつ自国を守るだけだと言えばいい。
皆安全に生きて行けるならその方がいい。
討伐のために前に出なくていいと、討伐は我々が行う、だからこそ自国を守れと。
そう言われた方が安心する。
「ではサルマニアのバング王には私が話をつけておこう。残りの根回しは任せてもいいかなリーン王」
「確かに私は裏方の方が得意ですからそれでよろしいかとリックル王」
「では我々帝国も動くとしよう」
「そうですね崩国も同じく、と言ってもトウカに言い渡すだけですが」
「よろしくお願いします」
各々が自身のやるべきことの為に準備をする為全員がこの聖刻の間を出た。
そしてその日の内に四ヶ国の王が動き出した。
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