第四十話 国王
「サルマニアでリアラの怪物の被害が起きればそれは我が国だけではなく世界的な被害になりかねんぞ」
「そうはいっても我々シューク連合もあなた方オリーレ連邦もセルフジーニアスの被害を受けたばかりそう簡単に支援しに行けんぞ。復興もそう簡単にいかんからな」
「それはそうかもしれんがサルマニアの回復魔法に頼っていない者などこの世界のどこにもいないぞリックル王」
人の数に対して大き過ぎる会議室のような場所で通信越しに話す二人の男達。
二人の首元には二人の存在が象徴されたあるネックレスが付けられていた。
聖刻の間
王達が通信越しに話している場所、この部屋の名前であった。
ここに入るには特別なネックレスが必要であった。
そのネックレスは各国の王の証。
それを持ってこの聖刻の入出の権限としていた。
そのネックレスを持っているものは一国の王であると。
一方のネックレスはまばらな星が集まっているようなエンブレムをもう一方のネックレスは砂粒のほど小さな点で円を描いているようなエンブレムをしていた。
「セルフジーニアス共がこちらにちょっかいかけなければどれだけ楽であったか。今言っても仕方ないが本当にもっと早く貴国と手を組んでいればと後悔しているよリーン王」
「それは仕方ないことだ我々のように小さな街や土地が集まって出来た国など特にな」
「こういう時はもう少し王としての権利や強い立場があればと思ってしまうよ」
「我々は王と名乗っていても帝国や崩国のように王が絶対ではないからな」
ここに居る二人は王であった。
オリーレ連邦とシューク連合の王、リックル・サイン王とリーン・ローン王の二人。
この二人は互いに若くして王となった二人であった。
シューク連合の王リーンはその手腕で連合のまとめやくを担っていたが先代の王が急死してからそのあとを継ぐように王になりオリーレ連邦の王リックル王は前王からの信頼が厚く前王が存命中に次の王に指名され王になった。
互いに周りからの信頼されてはいたが王としての権力というものはそこまで持ち合わせていなかった。
連合と連邦は互いにその昔いろんな者達が他の国々に対抗するようにその土地に住まう人達が手を取り合い出て上がっていった国であった。
その為か本来王が持つような権力がいろんな所に散っていた。
お陰でいろんな意見が出て二国とも国としては安定はしていたがそのせいで遅れを取ることが多い二国でもあった。
今回も遅れをとったせいで互いにセルフジーニアスによる被害が大きくなってしまっていた。
手を取り合った結果セルフジーニアスは返り討ちに出来たことから内部にはなぜもっと早くから手を取り合わなかったのかと醜い言い争いになってしまうほどに。
だがそんな中でサルマニアからとんでもない報告が何故かカイカゼ公国のビーダン王子から聞かされた。
曰くサルマニアにある北門がセルフジーニアスの襲撃を受けたと。
その際剣帝聖女と名高いサリシアが奇妙な二人と対峙したと。
明らかに何者かに操られていると。
その際謎の黒いモヤが現れたと。
先月の時サルマニアの都市の一つラグナがデュラハンやゴブリンの群れに襲われていることを踏まえてリアラの怪物がサルマニアで現れたのは確実であると。
その報告を聞いた二人は互いにある話しを持ち掛けていた。
その会議が今であった。
そしてその会議の数分後。
そこにある通信が入った。
「すまないな、お二方とも遅れてしまった」
「こんな時に申し訳ないです。自分の国からでは通信でも遠くて」
「いや急に話を持ち掛けたのは私達の方だ。それなのにこうも早く来てくださるとは」
「いやサルマニアでの話をこちらでも聞いたのでな急いだ次第だ。ことによっては無視できん」
「怪物なんて特にですしね」
この会議に新たに二人の男女からの通信がやって来た。
やって来たのは二人と同じく首元にネックレスが付けていた。
男性の方は王冠のようなエンブレムを女性の方は大きな玉のように丸いエンブレムを付けていた。
二人の王が互いに持ち掛けた話。
それは自分達には持っていない王としての絶対的な権力を持っている者達と共闘するとこであった。
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