第一九話 唐突に
「着きましたよサリシア様。北門ザダに」
「レックありがとう。運んでくれて助かったよじゃね~」
サリシアは大きく手をふりながらレックに別れお告げて北門に入る。
「それにそしても相変わらずまんまでっかい門見たいだね」
北門ことサルマニアの北側に存在する城塞ザダ。
見た目が門に酷似しているため北にあるでっかい門という印象が強くザダとついた名よりも北門と呼ばれることのほうが多い。
対外的にもそれがわかりやすいためか誰も訂正しようよとしない。
そのせいか世界中で下手をすればサルマニアの中でもザダの名のほうがきかないレベルであったりする。
「さてさてこれからどうしますかね」
半日以上速く着いたしさっそくラルクの元に向かうか。
でも今はフィーリ王女とビーダン王子の会談中かな?待っておいてもいいけど、まぁラルクを引き連れていくだけだしいっか。
面倒ごとが起きると思うが会談中だろうが
「どうにかなるでしょ」
会談にサリシアは乱入することにした。
『とっと連れて行こう』
いちいち考えるの面倒くさいしね。
そう思って北門に入ろうかとする時にサリシアは違和感を感じた。
「周りの風が強い?何かおかしい」
その時それまでと比べられないほどにさらに強い突風が唐突に吹き荒れる。
あり得ないほどに不自然に強い風にサリシアは一瞬にて身構えたが自分の前におきた現象に思わず目を見開いたまま固まってしまった。
「ふむふむ着地が難しいなこれは」
謎の男の人がサリシアの目の前に飛んできた、それも逆さまな状態で。
「そしてやっぱりここにサリシア嬢がいるでわないか」
「……………」
「どうしたのだ?」
「なにしてるんですか?王子」
◆◆◆◆◆◆
「では来月には用意しておきますね」
「ええそのようにお願いします」
フィーリとビーダンの二人の会談は滞りなく淡々と進み朝方から始まっていたこの会談もたった一日で終わるのではないか?というペースで進んでいた。
「ビーダン王子そろそろ今日の会談をお開きにしますか?それとも今日の残りの時間で今回の会談が終わってしまいそうですから全て終わらせてしまいますか?」
フィーリはここまでスムーズに進むと思っていなかったために今日中に終わらせることをビーダンのーに提案していた。
元々長ければ三日間ほどになるだろうと考えていたがこんなにうまく行くなら一日で終わらせてもいいとフィーリは考えていた。
「そうですね。…………」
「どうかされましたか?」
「ああいやここまでサルマニアとの今後の交渉がスムーズに進むと考えていなかったもので基本的にあいつに振り回されていましたから、急に『こっちの方がいい』とか言いだして理由を聞いたら『なんとなく』とか言い出すので」
本当にいつも予想外のことを言い出すせいでもう数年前から考えないことにしていた。
「直感で動く人間だからこその特権というやつなのだろうな。私みたいにいちいち考えないと動けん人間とは根本的に違うのだ」
本当にどこで何をしているのか。
まぁあいつにとってはいつも通りといえばいつも通りなんだろうけどな。
「あぁすまない、話が脱線したな。そうだな別に急ぐ必要もないゆえ明日以降に持ち越しても問題はないだろ」
ビーダンはそう言って本日の会談を終わらせようとしたが
「いや今日中に終わらせよう」
扉の方から突如として部屋中に聞こえるほどの大声が響き渡った。
二人にとっては聞きなれた声だった為かその声を聞き思わずビーダンは頭を抱えフィーリは大笑いをしてしまった。
「ザイト理由は」
「何を言っているビーダン・グトラスク・カイスロトレ。そんなものいつも通りなんとなくだ」
声の主はザイト・フィン・サルマ。
現サルマニア第一王子。
今回の会談をほっぽりだし西へ行くと言った張本人であった。
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