第二十話 ザイト様の言う通り?
サリシアが北門ヘと着いた頃
「なにしてるんですか?王子」
何で吹き飛んで来たんだこの人は?
ザイト王子よね?
西ヘ行くって言って行方知らずだったはずでは?
「困惑しているなサリシア嬢」
「当たり前でしょう。自国の王子がいきなり飛んできたら皆こうなるから」
「ハハハハハハ、サリシア嬢そんなことはないと思うぞ。少なくとも父上には困惑する前にまず怒られるな」
本当にこの放蕩王子は。
サルマニアの第一王子ザイト。
言動だけでなく見た目からして適当そうな格好している。
王子というよりただの旅人の装いをしていた。
大方西ヘ行った結果であろう。
そこで気に入った服を買って来たにちがいない。
誰がどう見ても今のザイトは王子に見えない。
「ザイト王子今までどこに行ってたんですか?西ヘ行くとは言ってましたけど」
「それはだな、かの風姫に会いに行っていたのだよ」
「えっ本当に?あの風姫に」
サリシアは出てきた名前に心底驚いた。
なにせ他国の姫である。
「もしかしてザイト王子が吹き飛んで来た時に感じた風ってあの風姫の魔法」
あの時それまでよりもさらに強い突風が来たから身構えた。
あり得ないほどに不自然に強い風。
「そうなのだ。風姫がぶっ飛ばすと言い出したからやれるものなら我がサルマニアまで運んでほしいものだなって言ったら本当に飛ばされてしまった」
本当に何をしているんだろうこの人は?
ていうよりも風姫がぶっ飛ばすとか言い出すって風姫結構温厚なのによっぽどだよ。
「なに今回は風姫に会うのが大事だった為それ以外はどうでも良い」
流石にどうでも良いとは一国の王子が言っていいことではない。
なにせ国同士の会談もそれには含まれていたから。
「会うのが目的だったんだよね。なら行くとき風姫に会いに行くって言ってから行けばいいのになんで西ヘ行くって言うさ」
「直感的に西ヘ行けばいいとなったからただそれだけさ。西ヘと行き続けた結果サルマニアに帰って来た。ならもう終わったのだ」
相変わらず言っている意味がほとんどわからない。
ザイト曰く直感を素直に従っていたほうがいい結果が出るらしいが最低限の説明はしてほしいものだ。
「サリシア嬢もう終わった話しは良いではないか次にいこう。今やっている会談を終わらせようではないか」
◆◆◆◆◆◆
「ということだ」
「そうかっていうと思うかザイト!!」
ザイトが部屋に入ってからザイトとビーダンの二人の声が響いていた。
「なぜお前はいつもの唐突なのだ」
「仕方ない、それが俺の良さでもあるからな」
「何が良さだ」
ビーダンは思わず大きく肩をすくめる。
やはりこいつに何を言っても意味がないと。
もう話を前に持っていくしかない。
「いろいろ言いたい事があるがとりあえずお前に対しては説明しろとは言わん。どうせそのほうがいいと思うからであろう。今の会談も今日中に終わっておいた方がいいのだなザイトの直感的には」
「その通りだ。ビーダンがいると話が早くて助かる」
ビーダンは一息つき仕方がないような諦めた表情をして、
「わかった。お前の直感は信じていて損することは少ないだろうし今日に終わらせよう。フィーリ王女よろしいですか今日終わらせても」
「ええいいですよ」
フィーリもビーダンの急な提案変更をを否定するつもりはなかった。
「では私は出ていくとしよう。邪魔になるかもしれんしな」
◆◆◆◆◆◆
「でなぜ私は拘束されているんでしょうかね。サリシア」
「私だって知らないよラルク。ザイト王子がその方がいいって言うし」
一方ザイトと一緒に北門へ入っていたサリシアはなぜか別の部屋でフィーリ王女の護衛騎士として来ていたラルクを拘束してた。
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