第三十四話

僕は旅に出ていた間に溜まっていた仕事に忙殺されていた。兄上やミカができる限りやってくれたらようだが僕でないとできない書類(特にローザム大公領関係)があったようでとても大変だ。僕は本音としては王城を抜け出してまた街で遊びたい気分だ。ただミカが見張っていてそれが出来ないのが残念で堪らない。そして書類を精査してサインしたり却下したりしているうちに晩餐の時間がやってきた。僕は基本的に王城にいる日は兄上と食べるように言われている。だけれども義姉上は良いのだが側妃と王女たちとは非常に仲が悪くて憂鬱だ。


「レオナルド王太弟殿下、早くされないと晩餐に間に合いません。」


「わかったわかった。もう仕事が多すぎて頭がおかしくなりそうだ。」


「殿下が旅に行かれたのが原因でしょう。」


「わかっておる」


僕は仕事を早く終わらせたくてギリギリまでやったため走って晩餐を取る部屋まで行ってギリギリ間に合った。そして晩餐の間は兄上からの質問攻撃で地獄だった。僕は事実をありのまま話したし旅がすごく楽しかったと言った。そして兄上は僕が馬鹿伯爵の件に対して行った対応を褒めてくれた。またリウネ男爵に対しては絶対にこの僕が回復魔法を使えるという事実を漏らさないように命じて口止めしておいたから僕の立場において迷惑が起きることはないだろう。僕は使徒として生きたいわけではない。本当は自由にいきたかったが事情が事情な為王太弟となることを了承した。まあ事実上命令だが。


「ちなみに兄上、僕は東の国に行ってみたいです。確か大和とかいう国名の。」


「また旅に行きたいと。」


「はい」


「まあ仕事が。うーむ。そうだな、もう少しで建国祭だろう。それが終わったらだ。そしたら許可しよう。レオは昔から旅に出たいと言っていたし母上が怒るからな、まあ王太弟に無理くりしたという罪悪感もあるし。許可はするけれど建国祭の後だ。ルイーズ嬢をエスコートするのだろう。それに其方が主役だ。」


「わかりました。」


「後大和に行くのはいいけれど国交がないから通信が少ない。要は其方の行動で印象が変わるだろう。リンガリア王国の代表者、王族だということを忘れずにな。後々国交を結ぼうと動くときに不利になったら困る。」


「はい、兄上気をつけます。」


「後護衛をつける。今回は知らない国だ。レオは強いが余としては心配だ。王族だという自覚をもっともちなさい。」


「はーい。後あとでちゃんと紙に書いて置いてください。忘れられたら許しませんよ。僕はどうしても気になるのです。」


「わかったわかった。仕事が溜まっているのだろう。もう晩餐も食べ終わっているようだし戻っていいぞ。余も職務をせねば。」


僕は晩餐の時に兄上から大和に行く許可をもぎ取れた。兄上から許可を取れればこの国では無敵だ。




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