第四話
僕は、リクロール公爵令嬢との初対面を終え、離宮にあり自室に戻ってきていた。
「レオ殿下、リクロール公爵令嬢はどうでしたか?」
「ミカか。はぁー僕はつかれた。リクロール公爵令嬢は僕より年上だぞ!貴族の常識では年下か同い年の結婚が常識ではないか!更に僕の存在を知らないから兄上の次男かと聞かれた。全く、なぜそんな勘違いがされるんだ!全く失礼極まりない!彼女を愛するなんて僕には無理だ!兄上は何を考えているんだ」
「レオ殿下わかりませんよ。もしかしたら仲が良くなったら、印象が変わり、愛せるかもしれないでしょう」
「ま、そうだが、殆ど人と接したことがない僕に慣れ親しんだ人以外仲良くなれるとは思えない。それより早く服を着替えたい。この服は非常に息苦しい」
「わかりました、レオ殿下。侍女を呼んできますから待っててくださいね。勝手に脱ごうのなさられると余計に時間がかかりますから」
その後、僕は侍女の手を借りながら服を普段の服に着替えた。その後兄上が手配した家庭教師であるロードベルク少将がやってきた。ロードベルク少将は僕の正体を知っているから気が楽だ。基本的に僕の正体を知らないものは、僕をただの力がない伯爵子息だと思って僕を馬鹿にしてくる。そして、僕は学園の試験勉強を行った。試験はあと一ヶ月で行われる。
更に、僕の立太子の礼は2週間後に決まった。ただその前に僕の正体を公表するパーティーを行うことになった。このパーティーは僕にとって初めてのパーティーだ。本来ならば、出席するべき、五歳で行われる貴族と王族子息のお披露目会も僕は出席していない。その回に参加するのは事実上、僕の存在を公表するようなものだしまあ理解できる。なぜ僕が隠されていたのかはわからないが、まあそれは大人の事情というものなんだろう。
そして、王太子教育が始まったが、結果から言うと全く新しいことは習わないで終わった。行ったのは少しの復習と理解度を試すテストだけだ。家庭教師によると、僕が優秀過ぎたらしい。身につけないといけないものはもう全て身につけていたそうだ。
王太子は最低でも、十個の言語を話せないといけないと家庭教師は言っていたが僕はすでにその必修の言語だけでなく必修外の言葉を10個以上言葉を覚えているから問題ないそうだ。算術や剣術もそうだ。
母上はすぐに王太子教育を終えた僕を褒めてくれた。そして、ご褒美にずっと欲しがっていたオリハルコンの塊をくれた。その与えられた塊を使って、ぼくは剣を作った。その剣は杖としての役割も果たせるようにした。それをしていたら丸一日かかってしまってミカにすごく怒られた。ただ僕は新しい武器ができたことがとても嬉しかった。
そしてついにお披露目の日が来た。僕はとても緊張していた。またこの日のために貴族の名前を必死に覚えた。僕は隠されていた為それを免除されていたのだ。そして僕は用意された白に金色の糸で刺繍された服を身に着けた。そして控室に向かった。控室で待っていると兄上と義姉上がやってきた。僕達はお茶を飲みながら政治に関する話をした。僕は執務室にあった書類の中で理解ができないものを兄上に聞いた。そのようなことをしていたら近衛騎士が準備ができたと言いにやってきた。そして僕達は上座にある扉から入場した。
入場と同時に、仲が良い人同士で談笑をしていたみたいだが、会場に居た人々は一斉に頭を下げた。そのような事は無視して、僕と兄上夫妻は用意された椅子に座った。
「表をあげよ」
そう兄上が仰ると、その場にいた人が全員頭を上げた。しかし話すのは再開せずに、兄上の方を真っ直ぐと向いていた。
「これよりパーティーを始める。皆楽しめ」
兄上が、パーティーの開始を宣言された。それと同時に貴族たちが僕たちの方にやってきて、挨拶を始めた。最初に来たのは貴族の筆頭であるエリック兄上だった。
「国王陛下ひいては王妃陛下ごきげんよろしゅうございます。レオナルド殿下、ご成長なさられましたね。お久しぶりにお会いすることができ、嬉しゅうございます。改めまして、フォーラム公爵、エリック・フォン・フォーラムと申します。今後とも宜しくお願い申し上げます。フォーラム公爵家一同、レオナルド殿下の社交デビューお祝いいたします」
エリック兄上はただただ定例の挨拶をされて、次がつかえるからと去って行かれた。
次にエリス姉上が、旦那さんを連れてやってきたが、特に旦那さんは話さず、エリス姉上が話していた。
「国王陛下ひいては王妃陛下ごきげんよろしゅうございます。レオナルド殿下ご立派になられましたね。エリングス公爵夫人、エリス・フォン・エリングスタインと申します。エリングスタイン公爵家は殿下の社交デビューをお祝いいたします」
その後はリクロール公爵家が来て同じようなことを言って去っていった。他の貴族家は、急に現れた僕が誰かわからず、兄上に僕が何者なのかを聞いてきたため僕が自己紹介しなければならなかった。
そして、パーティーの中盤にて、兄上は僕が王弟だとついに公表した。人々は、父上に第三王子が居るなど思っても見ていなかったし、まだ子供で、退位後に子供ができていたなど知っていなかったから、とてもびっくりした様子だった。
発表の後、僕が壇上を降りると様々な人が僕に娘を婚約者にと売り込んできたが僕は興味ないと全ての提案を一蹴した。既に内定ではあるが、婚約者が決まっている以上、このようなものを相手にするわけにはいかなかった。
そして、パーティーで僕の存在の公表が終わり、もうすぐでお開きになる時に、僕の婚約者がルイーズ・フォン・リクロール公爵令嬢だと発表された。僕の婚約者に娘をと推していた人々は残念がっていた。
兄上に促されて、僕とリクロール公爵令嬢はファーストダンスを踊った。僕とリクロール公爵令嬢のダンスが終わったのを合図に、他の貴族たちも参加するダンスタイムが始まった。
貴族たちがダンスを踊り始めて、僕等に群がろうとしているのを尻目に、僕と兄上夫妻は会場を退出した。この初めての経験を通して、僕は社交界は面倒くさそうなところだなと思った。出来れば避けたいところだとしか思えなかった。
パーティーが終わると疲れ果てたまま、僕は部屋に戻った。ミカが社交界デビューはどうでしたかと聞いてきた。「社交界はもう懲り懲りだ」
「殿下、殿下はいずれ王太子になり国王陛下となられるお方、社交界に入らないなどということはできないでしょう。パーティーではあまり食べれていないでしょうし、軽食を取りますか?」
「うん、軽食を取る」
「ではすぐに用意させます。もう夜も遅いですし、私はこれで下がりますね」
「うん、わかった。ミカ、また明日」
「はっ、では」
ミカが下がってすぐ、侍女が二人やってきて僕の服を脱がせたあと他の侍女がすぐにやってきてチーズと生ハムのサンドイッチを出して帰っていった。僕のお気に入りのメニューだから嬉しかった。
この速さで出されたのを見るに、おそらくサンドイッチは僕があまりパーティーで食事を食べられていないと思って用意していてんだろう。それにこのサンドイッチは僕の好みだ。さすが僕が幼い頃から使えていた侍女たちだ。
僕は侍女のひとりを鐘を鳴らして呼んで母上のもとに明日の朝訪れるという伝令を送った。侍女から母上が了解をしたという旨を聞いた。母上は僕が社交界に出ることを心配してパーティーが終わったらどうだったか教えに来るようにと言われていたが僕はとても疲れていたため明日にした。そしてお風呂に入ると寝室に入って寝た。この日の夜もいつものルーティーンを繰り返した。
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