第三話
兄上の執務室の前についた。僕はノックしてて入室許可を願った。
「兄上、レオナルド・リンガリア・フォン・ローザムです。入ってもいいですか」
「レオか。昨日の話の続きか?」
「はい、そうです」
「入っていいぞ」
「失礼します、兄上」
「レオ、そういえばローザムってなんだ。」
「兄上、忘れたのですか?ローザムはローザム大公家のもののことで兄上が父上が退位した時に贈与したと聞きましたが。僕は母上に僕のフルネームはそうだと習いましたので、恐らく僕の正式な名前です」
「そうだったか。教えてくれてありがとう、レオ。宰相、今すぐ現ローザム大公が誰か調べよ」
「了解しました、陛下すぐに調べて参ります。殿下、陛下と少し話されませ」
「兄上、早く約束の話をしてください」
「わかった、わかった。レオ、話すからそう焦るな」
「しかし、僕は早く知りたいのです」
「母上はなレオ、そなたが生まれた時は王太后になっていたが王妃だった時はとても厳しかったのだ。余には母上と一緒に食べると少しの音で注意され、礼儀が悪いと怒られて勉強が倍になる。とても怖かった。シャルも同じだ。母上はシャルに王妃教育を施していたがその教育は大変厳しかった。そして王太后になってもそれは変わってはいない余やシャルは母上に怒られたくないから母上と一緒だと緊張してしまうのだ。既に生まれた時はかなりの高齢だったし、末っ子だからレオには甘いんだろうな」
「母上は僕にはとても優しいです。よく本を買ってくれたり新しい魔導書をくれます」
「レオは母上が大好きなんだな」
「はい、僕は母上が大好きです」
宰相が入ってきた。もしこれで調べるのが終わっていたらかなり早いことだ。
「陛下、お申し付けられたこと終わりました」
それは早いと驚いた。貴族家の数は相当だし調べるのは結構時間がかかると僕は予想していたから、予想が良い意味で裏切られた形だ。
「兄上、宰相は優秀ですね」
「そうだな、レオ。で、ローザム大公は誰だったんだ?」
「はっ、資料によると継承権を持つのは先代国王陛下が退位をされ、ローザム大公になったあとの子のみですのでレオナルド王弟殿下のみです。よってレオナルド王弟殿下あなたがローザム大公です。陛下、しかしながらレオナルド王弟殿下の存在はかくされています、それ故にこの爵位の存在があまり知られていなかったのでしょう。貴族名鑑にも載っていませんから。それで、存在を隠す件なのですが、レオナルド殿下は現在、王宮の特別なエリアしか入れません。それ以外ではレオナルド・フォン・ハッサルと名乗られていますが、いつ存在を公表されますか。王太子になさられる以上、存在を公表するのは急務です」
「まずはルイーズ嬢と顔合わせしてからだ。何か相性に問題があっては困る。政略だが完全に不仲というのは避けたい」
「了承しました陛下。すぐに顔合わせの場をセッティングさせていただきます」
「レオ、顔合わせについての詳しいことは後で伝える今日は帰ってもいいぞ」
「わかりました、兄上」
僕は兄上の執務室を出て今回は寄り道せずに僕の執務室に戻った。
そしてローザム大公領の統治に関する執務を行って、執務が終わった後は城下にこっそりと降りて昨日の夜取った魔物を売った。
その日の夜遅くには、兄上の侍従が部屋にやってきて、明日がルイーズ嬢との顔合わせだと伝えられた。かなりの仕事の速さには驚かさせられたこの顔合わせの早さは予想の二倍以上の速さだった。
僕は今日も昨日の夜と同じように魔の森に行って狩りをした。ただし昨日と違って神竜王とフェンリルを連れてかったため、普段より、大漁になった。
次の日、謎に気合が入っている侍女たちにより、僕は普段のシャツの上に豪華なジャケットなどの貴族服を着せられた。僕は普段シャツに青色や緑色のジャケットを着ていたが、今日のジャケットは普段と違って一人ではきれなかった。未来の結婚する相手と会うことに、僕はとても緊張していた。
近衛騎士が僕の部屋をノックして時間だと告げてきた。そのまま僕は近衛騎士の後をついていった。そして本宮の奥深いところにある応接室の中に入った。ここは僕が入れるエリアの中で、普通は入れないところだったが僕の存在を隠しているという事実が影響しているのだろうと予測がついた。
そのまま応接室に入った僕は、兄上に挨拶をした。
「陛下、おはよう御座います」
今回は、公式な場だったので兄上とは言わなかった。
「レオナルド、着席の許可を与える。余の隣に座れ」
「はっ」
今日の兄上は普段と雰囲気が違い、王としての威厳を感じた。その為、僕も余計緊張しながら兄上の隣に座った。
そして、その場にいたリクロール公爵が僕に対して挨拶をしてきた。
「レオナルド王太子殿下、お初にお目にかかります。私はナルト・フォン・リクロールです。リクロール公爵の位を国王陛下より頂いています」
リクロール公爵は僕の立場がよくわからない事もあってか、王太子と呼んでいた。まだ正式ではないが、もう内定している事であったようで、公爵にも伝えられていたようだ。そして、公爵は隣の女の子に挨拶を促していた。
「レオナルド王太子殿下、お初にお目にかかります。私が、リクロール公爵が娘、ルイーズ・フォン・リクロールです。末長くよろしくお願い申し上げます」
リクロール公爵令嬢のカーテシーはさすが王太子妃教育を受け、優秀な成績を出しているだけあって、完璧だった。更に、挨拶も無難なものを選んでいただけに高い教養が伺えた。余計になぜオリバーが婚約破棄したのかがわからなくなる出来事だった。
リクロール公爵とその娘が挨拶をしてきた為、僕も挨拶した。
「はじめまして、リクロール公爵、ならびにリクロール公爵令嬢。僕はレオナルド・リンガリア・フォン・ローザムです。これからよろしく」
僕は、堅苦しいのが苦手だったし、立場が上だったのもあり、わざとラフな感じで挨拶をした。
その後、兄上がリクロール公爵と少し話したあと、二人揃って、僕と公爵令嬢の親交を深めるためとどこかへ行ってしまった。初対面の二人を置いていくなんて馬鹿げているがどうにかする必要があった。人見知りなのもあってどうすればいいか考えていた。
そしたらリクロール公爵令嬢が話しかけてきてくれた。
「レオナルド殿下に何個か質問があるのですが良いでしょうか?」
「もちろんです。答えられる限りは答えます」
「では、まず、レオナルド殿下は国王陛下の第二王子なんでしょうか?」
「僕は違います」
少しこの質問に僕はイラッとした。第二王子だったら存在を隠す必要なんてないはずにしか思えなかったし、僕はそんなに兄上に似ているとは思えなかった。ましてや側妃様や、義姉上にはもっと似ていないとしか思えなかったし、こんなことは見た目でわかるだろうから、庶出の王子扱いされているように感じられた。
「そうでしたか。殿下は今年何歳ですか?あまり情報がなく、殿下の事を先立って知っておけずに申し訳ございません。ちなみに私は12歳です」
「僕は9歳だ」
「最後に、殿下は恋人とかいますか?」
「いない」
そこで会話は終わった。そして、そのまま話すこともないし、気まずくなった為、解散した。本当に女性とはどう接すればいいのかわからずに苦労をした。
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