第2話 体験会(5月)

 天気に恵まれた5月1日の日曜日。絶好のラグビー日和である。本日は天満少年ラグビークラブの体験会である。体験会というのは文字通り、ラグビーを体験してもらってラグビーの魅力や楽しさを知ってもらい、宜しければラグビーを始めませんか、入部してみませんか、という緩い会である。当然激しいラグビーの体験会ではない。が、他チームに比べ、部員数の少ない天満少年ラグビークラブにとってはチーム存続の死活問題である。特に5、6年生が特に少ない。合わせて14人である。11月の県大会では最低15人の参加登録を行わなければならず、現在足りていない状況だった。もちろん新規で入った5、6年生が、わずか半年で県大会公式戦に出場できるまで成長するのは、難しいかもしれない。しかし天満少年ラグビークラブにとっては、1人でも多くの子に入部してもらわないと今後の運営が非常に困難になってしまうのだった。

 

 体験会のお世話をするコーイチローの母が言った。『参加者は幼児2名、1,2年生が3名、3,4年生が3名、あと6年生が1名です。よかったですね、北コーチ。6年生がいますよ。』北ヘッドコーチは目を見開き、『ほんと!どの子?あの大きい子?』と、指差した。『いや、あの子は4年生です。身長150cm以上はありそうですね。6年生は、あっちの小っちゃい子です。』北ヘッドコーチにはわからなかった。幼児は別として残りの子は全て同じような背丈の子だったからだ。『リューノスケ君と言います。』コーイチローの母は黒い練習着を着ている子を指差した。≪えっ嘘やろ、身長はどう見ても130あるか、ないかだぞ。体重も30はないな。大丈夫か≫北ヘッドコーチは落胆した。≪身長160以上、体重60以上ぐらいの大型選手がよかったなぁ。贅沢は言えんが…≫しかし北ヘッドコーチの落胆は一瞬で消えた。≪いや、待てよ。体の動きがいいぞ。見ればわかる。体験会なのにスパイクも履いてきているし、練習着も着ている。何かやってるな。サッカーかな?≫北ヘッドコーチは長年の経験と勘でリューノスケの身体能力の高さを一瞬で見抜いていたのだった。

 

 『では体験会の子たち、パスの体験をします。まずはボールを持ってみようか。』

体験会担当コーチが声を張り上げた。体験会に来た子供たちは、楕円のラグビーボールなんて初めて触ったであろう。『手を大きく振って最後は小指のスナップを利かせてパスをしましょう。これがストレートパスです。』体験会担当コーチが右に大きく振りかぶり腕を出すと同時に小指に力を加え、それでもそっとパスをした。しかし1年生ぐらいの男の子はノッコン(ノックオン。ボールを前に落とすこと)した。体験会に参加した子たちの全員の前に、お父さんコーチたちが立ち、それぞれパスを出す。

 

 北ヘッドコーチは目が釘付けになった。≪リューノスケ、スクリューしてるやん!≫スクリューパス。ボールに回転をかけ、より早く、より遠くにパスを出すことができる小学生にとっては高度なパスである。思わず体験会担当のコーチが声を掛けた。『リューノスケ君、うまいね。でもストレートパスでいいよ。』言う。北ヘッドコーチは我慢できず『いやいや、スクリューでいいよ。ところでどっかのラグビーチームにいたの?』と体験会担当コーチの間に割って入った。『いや』小さな声でリューノスケは答えた。『じゃあ何かしよった?』と矢継ぎ早に聞く。リューノスケは『サッカーを…』とさらに小さな声で答えた。≪やはり≫北ヘッドコーチはうなずいた。『だからスパイク持っとうんやね。サッカーはどこのチーム?』北ヘッドコーチの質問攻めだ。『北九州』北ヘッドコーチは手を広げややオーバーアクションをとりながら『北九州!引っ越してきたの?』と、またまた質問を繰り返した。もう取り調べである。リューノスケは『うん』と短く答える。『わかった。じゃあ楽しんでいってね。』と手を振りながら後ずさった。体験会担当コーチは≪やれやれ…≫とあきれ顔だった。北ヘッドコーチは笑みがこみ上げるのを必死で我慢した。≪これはすごいのが来たぞ。絶対に入部させらないかん!≫他のお父さんコーチたちは、北ヘッドコーチのにや顔を見て≪リューノスケ君、北ヘッドコーチにロックオンされたぞ≫と思ってやまなかった。

 

 『それでは最後にタグラグビーをします。体験会の子たち集まって。』体験会の子たちと、中学年(3、4年生)を混ぜた形でタグラグビーを行った。タグラグビーとは腰にひらひらとした布(タグ)を付けタックルの代わりに、そのタグをとればタックル成功とみなす安全性を考慮したラグビー競技の一種である。タグを取られないようにパスをつないでトライを目指す。保護者席がざわつく。『ダントツであの子がうまいね。』『体は小さいけど6年生やけん、うまいのは当たり前やろ』とお父さんコーチ達や保護者の視線を集めていた。。リューノスケは一人で、右に左にステップで交わして、誰もリューノスケのタグを取ることはできなかった。それを見ていた北ヘッドコーチはリューノスケを呼んだ。『ちょっとこっちに来てもらってもいいかな』

 

 北ヘッドコーチは勝手にリューノスケを高学年のところに連れ出した。体験会担当コーチもあきらめた。他のお父さんコーチたちや保護者の方が『何を始めるんだ』と注目した。北ヘッドコーチは、高学年3人を呼び出し、指示を出している。どうやら4列パスでもさせるようだ。間隔は5メートルほどか。コーイチロー、リューノスケ、アン、ユージの順に配置した。3人は天満のエースだ。北ヘッドコーチは『ランパスするね。わかるかな。ラグビーでは前にパスをしてはダメやけん』『知ってます』ぶっきらぼうにリューノスケは答えた。さっそく始まった。コーイチローはリューノスケにやや速めのパスを出す。受けたリューノスケはスクリューでアンにパス。速い。パスも速いがランも速い。何年もラグビーをやっている子たちと遜色ない。そして観客をどよめかせるプレーが出る。

 

 リューノスケが4番目の位置に配置された時、最後にパスを受けて終わるはずだったが、たまたま、リューノスケの目の前にお父さんコーチが一人立っていた。その時、軽くステップを踏んでかわしたのだった。グランド内が『オオゥ』とどよめく。そのお父さんコーチも別に邪魔をしようとして立っていたわけではない。しかも、立っているだけなので、かわそうと思えば誰でもかわすことができる。しかしリューノスケの機敏な動作や俊敏性に≪これはただものではない!≫と、周りの大人たちは魅了されてしまったのだった。≪こりゃ絶対に入れないかんぞ≫北ヘッドコーチの目が光った。4人のランパスを見ていたコースケは≪あいつ、絶対ゼンヤン(ゼンマイヤングラガーズの略称。強いチーム)から来たバイ≫と思った。

 

 コースケ5年149cm.56k。天満の5年生の中では大きい方でフォワードをしている。理由は簡単だ。パスが下手い。ラグビーの基本となるパスは簡単そうにみえて難しい。楕円のボールを時には速く、時にはふわっと、相手が取りやすい位置に、取りやすい角度で投げる。コースケは5年のラグビー歴だが、パスは苦手だった。コースケは4人のランパスを見て≪あんぐらいできたらいいな≫と感じた。コースケはパス以外はうまかった。ラグビーIQも高く、キックは6年のユージの次ぐらいにうまいだろう。北ヘッドコーチは≪フォワードにしておくのはもったいない≫と当然思っていたが、パスミスが多い。すぐノッコンする等で残念ではあるが、フォワードに回した。≪パスさえ上達すれば俺はバックスできるのに…≫コースケはバックス志望だった。後にコースケはリューノスケに最も影響を受ける一人となる。

 

 『それでは天満少年ラグビークラブのラグビー体験会を終わります。礼、』『ありがとうございました。』無事に体験会は終了した。体験会に参加した子供たち全員におやつとジュースが配られた。おやつとジュースで必死の勧誘である。北ヘッドコーチはリューノスケの保護者を探した。もちろん、ぜひ入部して欲しいとお願いするためだ。リューノスケを見つけた。横には背丈165cmぐらいの腹の出たオッサンがいた。さっそく声を掛けてみる。『いやぁお疲れさまでした。』『こちらこそありがとうございました。』とオッサン。『リューノスケ君、ラグビー楽しかった?』と尋ねる北ヘッドコーチにリューノスケは『楽しかった』と小さく答える。『お父さんはどうでしたか。』と、オッサンに振ってみた。『私も見ていて楽しかったですよ。』オッサンは早く帰りたさそうだった。逃がさん!『では入部も検討して頂けないでしょうか。もちろん仮入部ということで3か月間は無料で参加できますし、合わなかったら辞めて頂いても全然構いません。』北は必死だった。『北九州ではサッカーをやっていたと聞きましたが?』得意の質問攻めだ。『えぇ、1年生からサッカーを習っていました。』『こちらの方にはいつ頃引っ越しされて来たんですか。』オッサンの顔がちょっと曇った。『去年の8月です。サッカーはもちろん、他のスポーツでもいいので、何かさせたいとは思っていたのですが、入院したりしてたので。』今度は北の顔がやや曇った。『どこか悪いんですか。』不安がよぎる。『まあちょっと。大したことはありませんので』『そうですか。それはよかった。』北は安どした。『ところで何小学校でしたっけ。』『五日市小学校です。こちらの6年生のタケミ君と同じ小学校みたいです。』リューノスケが今日の体験会の冒頭で自己紹介した時、『おぉ』とタケミが手を振ったそうだ。タケミとはクラスは違うが、人づてにリューノスケの存在を知っていたらしい。そのことをリューノスケから聞かされていたのだった。『ああ、タケミと同じ小学校ですか。』北ヘッドコーチはにやけた。『ぜひ仮入部の手続きだけでも…』北は懇願する。焦る北は振り向きざまに、コーイチローの母に『仮入部の用紙あるー』と叫んだが『今日はありませんよ』と冷めた口調で言われ、肩を落とした。オッサン、失礼、リューノスケのお父さんは『すいません、今日は急ぎの用がありますので。でも必ずまた、体験に来ますので。』と踵を返した。『リューノスケ、また来いよ』北ヘッドコーチはこういうのが精いっぱいだった。あきらめきれない北ヘッドコーチはコーイチローのお母さんに『体験会に来た人は、名簿に名前や住所書くやろ。リューノスケお父さんの携帯だけでいいけん教えてよ』と情けなさそうな顔で懇願したが、即座に『個人情報は教えられませんっ』と言い放たれ、またも、コーイチローのお母さんに踵を返された。

 

 それでもあきらめきれない北ヘッドコーチは『松尾コーチ、ちょっと』と、やや尖った口調で松尾コーチを呼びつけた。『はい、何でしょう』と松尾コーチ。松尾コーチは6年のタケミのお父さんである。タケミが1年生の時からコーチをしているのでコーチ歴は6年というところだ。『タケミは五日市小学校やったろ、今日来たリューノスケも五日市小学校なんだそうだ。何とか入部させたいんだけど』『タケミに入部するように言わせればいいんですね。タケミ、ちょっといい』と、タケミの父は、タケミを呼び寄せた。だるそうにタケミは『なに』と近づいてた。『今日来たリューノスケ君、知っとう?』父は尋ねる。『知ってるちゃ知っとうけど、知らんっていえば知らん。』『どっちね』『だって去年来た転校(転入)生やもん、クラス違うし。でもすごい子が転校してきたって噂になっとった。』『どんな?』『めちゃめちゃサッカーがうまい』『なるほど。声かけて入部してみらんって言える?』『無理ぃ、だってしゃべったことないもん』『タケミ!!!』突然北ヘッドコーチが割って入り、声を張り上げた。『絶対に入部させろ、これは命令だ。松尾コーチ、あなたも連帯責任で必ず入部させるように。わかりましたかあ!』目が血走っている、北ヘッドコーチの面前にいる松尾父子は『わかりました…』と力なく返事するしかなかった。

 

 土曜日が来た。ラグビーの練習日だ。松尾父子は車で練習場へ向かうが、とても憂鬱だった。北ヘッドコーチからの業務命令が重くのしかかっていたからである。タケミは≪とりあえず学校で『入部してみらん』とは言ってはみたけど…。でも必ず入部するかは、それはわからない。だって元々サッカーをしていたんだし、サッカーの方にいくのが普通だろ、そもそもリューノスケは、ラグビーがしたいのかわからんし。北コーチ、無理があるよ≫と苦虫を嚙み潰したような顔でカリカリしていた。父の方は開き直っていた。≪だってリューノスケのお父さんの名前も知らんし、住所や電話番号も知らんし。あちらのお父さんも『また体験会に来ます』と言ってたんだったら、そちらの方に期待した方がいいと思うけどね。そりゃあ同じ町内に住んでいるんだから偶然、通りでも会えば声くらい掛けるけどね…。そうそうそんな偶然はないと思うけどね≫その時、助手席に座るタケミが叫んだ。『リューノスケだ。』

 

 リューノスケと父は五日市小学校のグランドでバスケットボールで遊んでいた。毎週土日は二人でトレーニングと称してサッカー、バスケット、ラグビーそしてフリスビーで遊ぶことが日課になっていた。今日も朝ごはんが終わると9時からトレーニングに出かけた。何をするにも二人なのでやることは限られている。サッカーならリフティング、シュート練習、センターリング、1on1。バスケットならハンドリング練習、ドリブル、フリースロー、1on1。ラグビーならパス練習、ランパス、キック、1on1。フリスビーは何回地面につけずにキャッチできるか、最高は306回だ。通常は1~2時間、汗を流すのだが、その日は12時近くまで遊んでいた。もうそろそろ帰ろうかと思ったその時、小学校グランド沿いの県道から1台の車がクラクションを鳴らしてきた。窓から子供が手を振りながら『リューノスケッ』と叫んでいた。タケミだ。リューノスケは駆け寄っていった。『リューノスケ、今からラグビーの練習があるけど来ん?』と目を輝かせた。リューノスケは父の顔を見上げた。車から降りた松尾父が『突然すいません。何をしてらっしゃたのですか。』と声を掛けてきた。『いや、バスケットして遊んでいたんですよ。』リューノスケ父が答える。『宜しければ13時から猿登り公園でラグビーの練習があるんですけど来ませんか。猿登り公園はご存じですか。』チャンスが来た、との表情で、タケミの父はリューノスケの父を誘った。『ええ、わかりますけど。でも今の時間じゃ13時には間に合わないと思いますけど、いいんですか。』突然のお誘いでリューノスケの父は困惑した。『遅れてきてもいいですよ。まだ体験期間ですから。』と笑顔で松尾父は答えた。リューノスケの父は子の顔を見ながら『行く?』と聞いてみるとリューノスケは『行きたい』と返事した。リューノスケ父は松尾父に『それでは遅れると思いますが、お邪魔させていただきます。』と答えた。その言葉を聞いた松尾父子は安どしたのだった。

 

 松尾父は猿登り公園で北ヘッドコーチに報告した。『でかした!』と今にも泣きそうな笑顔で松尾父の肩をたたいた。14時。リューノスケ登場。北ヘッドコーチのニタニタ顔が止まらない。通常練習に参加した。オールメンではスクラムハーフのポジションに入るよう指示した。身長132cm、体重26kの体は、5年生を含めても最も小さいリューノスケに適したポジションと北ヘッドコーチは考えたのであった。≪しっかりとタックルにも入れる。すぐにラックが形成されたところに行きパスを出す。ボールが出にくい時は足でかき出している。ラグビー初めてじゃなかったのか。≫北ヘッドコーチは驚きを隠せない。子供たちもスーパールーキーの登場でいつもよりテンションが高いようだ。所々でリューノスケ、リューノスケ、と笑顔で話している。興味津々なのだろう。お父さんコーチたちもリューノスケの身体能力、適応能力に驚いているようだ。北ヘッドコーチは終始ニタニタが止まらず次の日、頬が筋肉痛になることになる。


 ソータ。6年。146cm、37k。天満の正スクラムハーフである。ハーフとして重要な能力、パスの飛距離や正確性は天満一であり、俊敏性や判断能力も申し分ない。1年生の頃は、ラグビーに行くのはいやだ、いやだ、と駄々をこねていたが、3,4年生の頃から積極性が発揮してきた。ソータのお父さんコーチの影響も大きいのだろう。北ヘッドコーチもソータの成長は認めている。それをひしひしと感じ取っていたソータだったが、新入り、リューノスケの身体能力、ハーフとしての適応能力に驚いてる一人だった。≪早かれ、遅かれ、ハーフのポジションは、リューノスケに奪われるな≫リューノスケの入部には賛成だが、ソータにとってはライバルになる。複雑な心境だ。ソータもまた、リューノスケの影響を受ける一人だった。


 練習も終わり、ダウン(整理体操)をしていたところ、北ヘッドコーチはリューノスケ父のもとへ向かった。『今日も生き生きとしていましたよ、リューノスケ君』『いやあ、2週連続でお世話になりすみません。』と、頭を掻くリューノスケの父。『ところで入部の件は、ご検討いただけたでしょうか。』と北ヘッドコーチは下でに出た。『リューノスケに聞いてみます。』と、即答を避けたリューノスケの父。ならばと北ヘッドコーチは『ごめん、体操中に。リューノスケ、ちょっといい?』と、リューノスケを呼び寄せた。北ヘッドコーチはせっかちだ。整理体操の後でもいいのに。『リューノスケ、入部したい?』としゃがんで、できるだけ優しく聞いてみた。リューノスケは即答で『うん』と言った。≪これはやばい≫と、リューノスケ父は申し訳なさそうに『あの、入部はいいんですけど、コーチはちょっと…』と言ってみた。『ああ、コーチはしなくてもいいですよ』北ヘッドコーチはリューノスケの入部を最優先させた。リューノスケ父は続けた。『あと母親のお茶当番とかあるんでしょうか。その頻度はどのくらいでしょうか。』とリューノスケの父は食い下がる。北ヘッドコーチは≪こう来たか!≫と、一瞬、顔が曇った。北ヘッドコーチは冷静さを取り戻し、『ああ、そのことでしたらコーイチローのお母さんに聞いてみましょう。コーイチローのお母さんがその辺、取り仕切っていますんで。』と踵を返し、母親たちが集まっているテントへ向かった。北ヘッドコーチは、コーイチローのお母さんに二三言しゃべったのちに、笑顔でコーイチローのお母さんを連れ、戻ってきた。『母親のお茶当番のことはコーイチローのお母さんの方から説明させていただきます。』とコーイチローのお母さんに説明を譲った。コーイチローのお母さんは時折、北ヘッドコーチの目を二、三度目配せしながら『実は…コロナの影響もあって…お茶当番は…ないんですよ』と上ずりながら説明した。『それ、ほんとですか。』と聞き直したが、コーイチローのお母さんは、やはり、北ヘッドコーチの目の色を伺いながら『あい…』と声を裏返しつつ答えた。北ヘッドコーチの眼光はこれまでにない凄まじいものだったと、後日コーイチローの母は話した。そして整理体操が終わり、練習終了のあいさつの中で北ヘッドコーチはリューノスケが天満少年ラグビークラブに入部したことをみんなの前で発表していた。まだ入部届も書いていないのに。

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