5話 電話
これはまだ私が高校生の頃の話です。
自宅で一人ゆっくり過ごしていると、インターホンがなりました。
夜だというのに誰が来たんだ? 何て思いながら重い腰をお越し、しぶしぶ玄関の扉を開くと友人が一人。
中学生以来余り会ってなかった久しぶりに会う友人という事もあり、喜んで自宅へと向かい入れ。
積もる話もあるだろうと、リビングで語る事にしたのですが。
何だか友人の様子がおかしいのです。
顔面は青白く、何だか浮かない様子。
「元気ないのか? 何かあったか」
と、友人に問いかけるもだんまり。
少し遅れてようやく口を開き、「これを見てほしい」と携帯で撮った一枚の写真を見せられました。
そこに写っていたのは、扉が無くなりドアの縁だけになった廊下に通じているのであろう、そんな出入口が中心に撮影された写真。
「これがどうしたんだよ」
「ここだよここ。見えるだろ?」
指を差された画面の所を見やると、そこだけに白いもやが掛かり、割とはっきりと見えたのです、横向きに飛び出しこちらを窺う様に見ている人の顔が。
余りに恐ろしくなった私は「何だよこれ!?」と友人に聞くと。
私の家に立ち寄る前に、友人が通う学校の友達と自転車で心霊スポットに行ってきたそうです。
それも、私達の住む県では割と有名で『ミラーハウス』何て呼ばれている、殆どがガラス張りで出来た一軒家の様な建物に。
最初は何の毛もなしに面白半分で床に散らばった硝子に気を付け探検したり、写真なんかを撮って行動をしていたらしんですが。
ある一室入ると突然悪寒がしだすだけでなく、何かの視線を感じたりしていたらしいのです。
折角だからと、何故かきになってしかたのない先程みせられた場所の写真を撮り、いざ帰ろうとした時。
何処からか、硝子を踏みしめ歩く音に何とも言えない奇妙な声がしだしたので、一同慌ててミラーハウスを後にしたとか。
逃げ疲れた一同はコンビニに立ち寄り一息つき、心霊スポットで順番に撮影した写真を見ていきましたが何も写っていることはなく。
つまんないなぁ、と周りが言いながら自身が乗ってきた自転車に戻っていく中。
見るのを忘れていた、何故か気になって仕方なかった廊下へと繋がるドアの無くなった写真を見たそうで。
そしたらそこには私が見たものと変わりないものが写っていたらしく、その足で私に見せにきたそうです。
「学校を休むなりして、その画像寺にもってけ。んでささっと消しちまえ」
「わ、分かった」
この日は夜も遅くなり、翌日は学校もあるという事で解散しました。
翌日学校も終わり、帰宅すると一本の電話があり出てみると友人からで「今からそっちに行っても良いか?」との事でした。
私は昨日の出来事が気掛かりだったので来る事を了承し、待つことに。
──二〇分も待つと友人が到着。
リビングに通すと座り込み、何も言わずに見せてくるのです、着信履歴を。
「これがどうしたんだよ」
「昨日から掛かってくるんだよ、訳の分からない番号から。この番号から」
なんだよこれ、私はその番号を見て驚きと同時に少し気味悪るさを感じました。
本来の番号であれば、〇二七六、〇九〇、〇八〇、などと言った数字から始まるはずの電話番号。
でもそれは違ったのです。
記号や数字が入り混じった番号からの電話、それも一度ではなく何度も何度も。
「この電話出たんか!?」
「一回だけ……」
「何で出ちゃうんだよ!」
「──気になったから。でも、何か言ってるぽいけど砂嵐みたいな音が大きくて分からなかった」
「そうか……。で、画像の方はどうしたんだよ」
「まだ保存してある。寺もまだ」
「何で行ってないんだよ!! これ以上何があっても知らないぞ?」
「ごめん。明日学校休んで行ってくるわ」
「そうしとけ」
一通り話し終えると友人は帰っていき、自分は学校の支度や寝る準備を始めました。
後は寝るだけという状態になると、自分の時間を唯意義に過ごし。
夜も遅くなってきた頃に友人から電話があり、出ると何だか様子がいつもと違い怯え慌てているようでした。
「た、助けてけれ!」
「どうしたんだよ」
「また電話が掛かってきて、そしたら」
最後まで友人が話し終える前に悲鳴と共に電話が切れてしまいました。
悪戯電話にしては質が悪いな、何て思いながらものんいきに考えていました、この時までわ。
夜が明け気になった私は友人に電話してみますが繋がらず。
また学校が終わったら掛けてみよう、そう思いながら学校に向かいました。
学校も終わり、帰ろうとしている時に携帯が鳴り出てみると母親からで、友人が行方不明だというのです。
この時初めて昨夜の電話は悪戯なんかではなく、本当に助けを求める電話だったと。
学校から帰宅すると行方をくらませた友人を探す為に外に行き、数時間と探し回るも痕跡一つ無く、今日の所は解散しよう、という話になり。
今だ探してはいるものの、見つかってはおりません……。
一体友人は電話で何を話され、襲われてしまったのか。
誰も知るよしもありません。
僕達の住む町で 紙巻 吸煙 @XrulerX28
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