4話 四〇七号室

 当時警備員でアルバイトをしていた頃の話です。

 客足は然程多くはなく築年数も結構経っていそうな建物で、そのせいか外観も古めかしいホテル。

 初めての現場ではあるけど、他の場所での警備と変わらず内容は至ってシンプル。

 出入口にたっての警備、ホテル内での巡回警備、四〇七号室での休憩を一時間交代で行っていくだけの仕事。

 この日は半日勤務で、翌日は一日勤務という事もあり何処も寄り道もしないで帰ろう、と思い。

 何だか肩が重く痛いな、何て感じながら右肩を回しながら愛車へと向かいました。


 帰宅すると荷物を置き衣服を脱ぎ捨て浴室へ。

 今日の疲れを湯船で癒し、体を隅々まで綺麗にすると洗い流し浴室を後にする。

 夕食の支度を終え、食事を済ませると明日は一日仕事という事もあり、軽く自分の時間を過ごすと就寝した。


 朝八時に起床すると仕事の支度を始め、朝食のバナナを片手に愛車へと歩を進める。

 車を運転していき、現場に到着すると駐車場に停車。

 朝礼をする為に今日の当番である三人の警備員が集まった。

 持ち場に付くとこの日はAという出入口、巡回、休憩の順番で作業をする当番。

 昨日と同じく順調に仕事を進めていき、何事もなく夜を迎え最後の休憩をとりに電器は点灯しているが薄暗く。

 一ヶ所電器が消えては点灯し、その照明の音だけがよく聞こえる人の影一つとしてない静かな廊下を進んで休憩室として使はせてもらっている、四〇七号室へと向かう。

 残す所自分はもう交代で出勤してくる朝番の人を待つだけ。

 疲れから睡魔に襲われ、仮眠をベッドでとる事にし、就寝した。

 アラームの音で目を覚まし、日光を浴びながらソファーに腰を落ち着かして待つ事にした。

 しばらくして、部屋のドアをノックする音が聞こえ、扉まで行くとカードキーを外してドアを開ける。

 交代勤務で来た朝番の人達に挨拶を交わし、荷物を置くと朝礼の為に外へ出ていきました。

 朝番の人達を見送ると、仕事の時間が終わるまで少しの時間を四〇七号室で過ごし。

 仕事の終わり時間を迎え、荷物を手に持ち部屋の出入口から少し距離のある場所に立つとコンコン、ってノックの音が聞こえてきました。

 忘れ物でもしたのかな? 何て考えながらカードキーを手に取りドアをあけました。

 するとそこには誰も居ないのです。

 おそるおそる顔だけを廊下の方へと覗き込むと、人の影一つ無く何時もの様に朝だというのに薄暗い廊下が続き。

 他の部屋をノックしたには大きく鮮明に聞こえ。

 恐ろしくなり慌てて四〇七号室を振り向くことなく、急ぎ足で後にしました。

 自分には何も見えていなかっただけで、眼前には何か居たというのだろうか?

 良からぬ何かを招き入れていない事を切に願うばかりです。



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