2話 井戸
幼少期の頃。
幼稚園も夏休みという事もあり、長期休みを家の庭で遊んで過ごしていました。
サッカーボールを蹴り壁当てをして飽きたら昆虫採集なんかを。
その時絶対視界の端々に映る物がありまして。
自宅と壁に挟まれた裏庭へと続く通路、その通路の端に積まれた岩の山、岩山から突き出す長いパイプ。
それを見る度に思うのです。
あそこには一体何があるのだろうか? 何の為にパイプが刺さっているのだろうか? と。
今日も今日とて庭で遊んでいるといつものように見える岩山にパイプ。
少しすると、家の中から母親が二足の靴を片手に持ち、出てきたのです。
いつも気になっていた事を今日尋ねてみよう! と思い、小走りで近づき。
「ママ、あの岩の中ってなにがあるの?」
と、指を差し。
「あそこ? あそこには井戸があるの」
「じゃ、何でパイプが刺さってるの?」
「それはね、息が出来るようによ」
それだけを述べると母親はニッコリと笑顔向け、自宅の中へと消えていきました。
井戸の中に一体何が住み着いているというのだろうか。
それとも、家族の知らない秘密を母親は抱ええているというのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます