僕達の住む町で

紙巻 吸煙

1話 階段

 翌日が休日という事もあり、夜更かしをしておりました。

 ゲームをしたり漫画を読み動画なんかを観ながら実家の自部屋で過ごし。

 夜も更けて深夜の三時頃に差し掛かった頃。

 遅い時間だったのでそろそろ寝ようかな、なんて思い。

 間接照明を点灯させ、部屋の明かりを消して布団に入ると間接照明の明かりも後から消しました。

 瞼を閉じてはいたのですが、この日は何だか寝つきが悪く中々寝る事が出来ずにいました。

 すると、部屋の扉を開けて直ぐ真横にある階段を下りる音が家族全員が寝静まる家に鳴り響いたんです。

 今日は父親が早番で、母親が起こしにでも行ったのかな? 何てこの時は思っていました。

 少しすると今度は階段を上がる音がトントントン、と聞こえ。

 早く今日は起きたんだなぁ、と思いながらも中々寝る事は出来ず。

 このままオールでもしようか、何て考えているとまたしても階段の音がするんです。

 今度はどうしたんだろ、着替えでも渡しに行ったのか?

 そんな風に思っていると階段の音は先程とは変わりダダダダダッ、と走って上る音に変わり、階段を上り下がりする音の感覚が短くなっていく。

 その止まぬ階段の音に恐怖し、掛布団を頭まで被り布団の中で丸くなり耳を塞いでいるといつの間にか寝ていました。

 朝になると掛布団を退け、母親に尋ねました。

「夜中にお父さん起こす為に起きた?」

 すると母親は──

「夜中? 一回も起きてないけど」

 こう言うのです。

 一体あの時に鳴り響いていた階段の音はなんだったのでしょうか?

 今だ分からぬままです。


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