第5話 朝食

俺は香ばしい匂いで目が覚めた。

 

ふと台所を見るとはるがエプロン姿で料理をしていた。

 

俺は状況を理解するのが遅れた。何故はるが台所で料理をしているのか分からなかった。

 

「おはようございます」

 

はるは俺が起きた事に気づいたのか挨拶をした。

 

「おはよう」

 

「どうして料理を?」

 

「居候させてもらっている身なので、お礼として受け止めてくれたら嬉しいです」

 

たしかに俺は料理をするのが苦手では無いが、得意では無い。だから料理をしてもらうのは有難い。

 

それにしてもはるはテキパキと料理をしている。今時の若い子はこんなにも料理が出来るのかと感心してた。

 

「料理得意なの?」

 

「普通だと思います」

 

俺は買い出しに行くのが余り好きじゃ無いというか、面倒なので具材を溜めているから材料はあっただろう。

 

「すみません勝手に台所使って……」

 

「いや、全然大丈夫」

 

「むしろ有難いです」

 

俺ははるに感謝の言葉を述べた。はるは少し安堵した表情を浮かべた。

 

俺とはるはテーブルを囲んだ。はるの手料理を口に運ぶ。


「美味い」

 

 俺は絶句した。本当に学生が作るレベルなのかというぐらい美味しかった。


「その、食材多いんですね」


「あぁ〜。買い出しが面倒くさいから

 買い溜めしてるだけだよ」


「野菜はしっかり取ってますか?」


「どうして?」


 唐突の質問だった。俺は何故その質問をしたのか分からなかった。


「具材は多いんですが、野菜が使われた様子がなく鮮度が落ちてきてます」


「そ、それは...」


俺は何も言い返せなかった。料理は多少出来るが野菜を使った料理を作らない。野菜全般好きでは無いというところもあるが。


だから好んで野菜を摂取しない。


「栄養をしっかり摂らないと大きくなれませんよ」


「もう成長しないと思います」


はるは俺の食生活を心配してくれてるのだろう。しかし俺は大学生になり身長も伸びる事はそうそうないだろう。


「野菜摂らなくても身長伸びたし、、、」


「好き嫌いはよくありません」


「確かに、それはそうだけど...」


母親のようにはるに俺は小言を言われた。親?という事が俺の中に疑問に思った。


はるの両親の事が浮かんできた。


はるは親との事で公園に居たのだろう。しかし親と何があったのだろう。俺の中で疑問に思い始めた。


だが俺は今聞く事ではないと思い質問をしなかった。


俺はそれよりもはるの服を買いに行こうとはるに提案してみた。


「はるって服とかどうするの?」


「え?」


唐突の質問ではるは困惑の表情を浮かべた。


「その服着続ける訳にはいかないし...」


「服の事は考えてませんでした」


「まぁ。今日休みだし後で買いにかない?」


「それは、迷惑じゃないですか」

 

「大丈夫だよ。女子に同じ服何日も着させる方が申し訳ないし」


家に帰る事は出来ないだろうし、服を何日も着させる訳にはいかない。


しかしはるは申し訳なさそうな表情をしていた。


「買いに行くの嫌だったら、俺一人で買いに行くけど」


「嫌じゃありません」


食い気味に返答され、俺は少し戸惑ったが了承を得たので少し安堵した。


そうして俺たちは外出する準備をして家を出た。



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