第3話 保護?

そうして俺は彼女を自分の家に連れて行った。


俺は大学生になり親の承諾を貰い一人暮らしを始めた。部屋は一LDKで学生にしては広いぐらいだ。


「まぁ気が向いたら帰ればいいよ」


「ありがとうございます」 


 別に彼女がいつまで居座ろと嫌ではない。たしかに女子と一緒に住むのは少し緊張するが、、、。


しかし彼女に対して恋愛意識も無いし、彼女に何かしようとも思っていない。


 親にバレない為の隠れ家程度に使ってもらえばいい。 


 彼女のお腹が鳴った。長時間外にいて何も口にしていなかったからだろう。


「何か食べよかっか」


 俺は食事の準備を始める。一人暮らしをしているので多少は料理が出来る。


「料理は自分で作るんですか」


「まぁ。時々な」


 彼女は意外という目でこちらをみつめる。


俺は食事を用意し彼女に振る舞った。彼女は食事を美味しそうに食べていてその姿はなんとも可愛らしい姿だった。


「そういえば、自己紹介まだだったね

 俺は航生」 


 「私ははるです」


「そうなんだ。よろしく」


「よろしくお願いします」 


 彼女は俺と視線を逸らして答えると彼女はまた食事を再開した。彼女は小さい口をハムハムと動かして食べていた。


「どうしました?」


 じっと視線を向けていたせいか、彼女が質問してきた。


「いやなんでもない」


 俺は咄嗟に視線を逸らす。


「美味しいです」


「ありがとう」 


 料理を褒められて俺は少しホッと安堵した。料理が彼女の口に合って良かった。そうして彼女が食事を終えた。


「ご馳走様でした」


「そ、その食事ありがとうございました」


「おう」


 俺は食器を片付けると、彼女は俯いて哀しげな表情を浮かべている。琥珀色の瞳には光が宿っていないようだった。


「これからどうするの?」


「行くあてもないので止めて欲しいです」


「まぁ、帰りたくなったら帰ればいいよ」


「はい」


 俺はこれ以上彼女を言及する気もないので話を終わらした。

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