第2話 出会い
「大丈夫?」
「えっ!」
女の子に突然声をかけてしまい驚かせてしまった。そして琥珀色の瞳がこちらを見つめた。
「な、なんですか」
「いや、もう暗いし危ないよ」
「ほっといてください」
彼女は小柄な体格で可愛らしさが漂っていた。言い表すと小動物の様な可愛さだ。そんな子が一人でいると変な男に声をかけられると思った。
しかし彼女からしたら余計なお世話だったようで俺の事を冷たい目でこちらを見つめてきた。
ここで俺が折れたら彼女はまだ此処に居座るだろう。そうすると風邪を引く可能性がある。そして変質者に声を掛けられ襲われる可能性がある
(俺変質者に思われてるのかな?)
見知らぬ男に声を掛けられ警戒しない方がおかしいかと俺は自分の中で納得した。
でも親が探しに来るから心配する必要はないという事が脳裏によぎった。
俺は一つ気になってる事があり帰れない。それは彼女の悲しそうな表情だ。俺は失礼だと思ったが疑問を問いかける。
「失恋でもしたの?」
「なんですかいきなり」
「いや〜。暖かい格好もせず外にでてるし、
なんか悲しい目してたからさ」
「別に彼氏もいないんで、失恋をする事はありません」
彼女は素っ気な態度で答える。まぁ、見ず知らずの人に自分の事をペラペラ話す人は早々いないか。
「親が心配するよ。家に帰ってこなかったら」
「……」
俺は彼女が返答しない事に心配したが、薄々彼女が公園に居る理由が分かってきた。
しかし此処に長居すると彼女も俺も体が冷えて風邪をひいてしまう。俺は厚着を着てるのでまだ大丈夫だが、彼女は薄着なので、風邪を引いてしまうかもしれない。
「俺の家来る?」
「えっ?」
俺はこの状況でどうするべきか思いつかず、先ずは彼女を暖かい場所に連れて行こうと思い言ってしまった。
警察に連れて行くという選択肢もあっただろう。だが警察に連れて行くと親を呼ばれる。それは彼女は嫌だろう。
彼女が此処に居る理由は親と何かっあったのだろうと俺は頭の中によぎっていた。
その憶測が正しいなら警察に連れて行くのは迷惑になるだろう。
しかし彼女を家に連れて行くのは犯罪になるのか?と俺の脳裏によぎった。保護の為と俺は自分に言い聞かせた。
「あなたの家ですか?」
「うん」
「……」
彼女は少し考え込んだ。俺が安全な人物かを考えているのだろう。
「俺は何もしないよ。
まぁ、外よりはマシでしょ」
「……信用出来ません」
彼女は俺を冷たい視線で見つめる。まぁ、ホイホイついてくる訳ないかと俺は思った。
しかし彼女と会いかれこれ数十分経っている。厚着の俺でも芯が冷えてきた。薄着の彼女はもっとだろう。
「でも、風邪引くよ」
「別にいいです」
俺は何故自分がここまど必死に彼女を家に連れて行こうとしてるのか疑問に思い始めた。
(俺何してるんだろう)
やはり警察に連絡するのが正しいのかと思い、携帯を取り出すと彼女が声を上げた。
「警察には言わないでください。
そ、その親にバレたくなくて、、、」
彼女は少し震えた声で訴えてきた。震えていたのは寒さなのか恐怖なのかは分からない。
「分かった」
俺は携帯をポッケトにしまった。
彼女はホッとため息を吐き安堵していた。
「でも、これからどうするの?」
「此処にいます」
「うーん」
俺はどうするか悩んだ。自分の労力を使うほどのべきなのかと思い始めた。彼女とはついさっき知り合っただけの他人だ。
最初は風邪を引かせない様にしようとした、ただの自己満で行動した事だ。彼女を無理に連れ出す理由がない。
彼女は小刻みに体を震わせていた。寒いのだろう。
俺は彼女が風邪を引かれるのも嫌なので自分の着ていたコートを彼女にかけた。
「え?」
彼女は少し困惑したような視線でこちらを見つめる。
「寒いだろ」
「あ、ありがとうございます」
俺はそして公園を立ち去ろうとした。此処にいる意味もないからだ。
彼女は俺がどれほど言おうが此処から立ち去ろうとする気はないだろう。
(コート着てれば風邪引く可能性も減るか…)
彼女は俺の袖を掴んだ。彼女が何か言いたそうな目でこちらを見つめる。
「どうした?」
「そ、その家に止めてください」
俺は困惑した。先程まで俺を警戒していた彼女が俺への警戒を解いたからだ。
「いいの?信用してない人の家だけど」
「此処にいても親がくる可能性があるので」
もう周りは暗くなり月の光の輝きが分かりやすい。そんな時間まで子供が帰って来なかったら親も流石に心配するだろう。
「そっか」
俺は彼女の願いを断る理由がないので承諾した。
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