第2話 カフェで揺さぶる

 お昼休み。

「お疲れ」

「藤木さん。お疲れ様です。どうしたんですか」

 昨日おねだりのメッセージを送って、別部署の藤木が来た。

「昨日も相変わらず残業だったようだね。ねぎらいのランチでもごちそうしようかと思って」

「ありがとうございます」

 マナは本当に嬉しそうだ。私も嬉しい。

「ねぎらいのランチね~ さぞかし豪華なんでしょうね」

「いつものカフェだな」

「社長級のお言葉だったので期待しましたが、まあよしとしましょうか」

「私、あそこ好きです」

「良いよね。俺も好き」

「私はもう少しハイグレードなのがいいんだけど」

「行くぞ」

 私の言葉を無視する藤木。私にそんな態度を取って良いのかな。



 会社から数分のオシャレなカフェに着いて、ランチを食べながら話す。

「先輩は相変わらず週末はスノボー」

「そうだな。この時季は」

「たまには声かけてくれてもいいのに」

「お前に声かけてもいつも寒いからとかって断るだろ」

 マナの強い視線を感じる。


「だけどたまには行きたいじゃん」

「はいはい。わかったよ。今週行くか」

「今週末空いてるから付き合えるよ」

「はいはい。付き合っていただきありがとうございます」

「どういたしまして」

「私、ちょっとトイレに」

 マナが泣きそうになって席を立った。

 かわいい♡


「マナも良いでしょ」

「しょうがないな」

「マナも行くから付き合ってあげるんだから」

「はいはい。マナ様ありがとうございます」



 10分後 。

「マナちゃん遅いな」

「そうだね」

「ミーティングの準備をしないといけないんだ。悪いが先に戻るな」

「はーい」

「週末って明後日の話だろ。夜、tokiで話さないか」

「いいよー」

「また」

 藤木は支払いを済ませて店を出た。


 マナ泣いているんだろうな。

 かわいそうだけどこういうのも必要だし、マナが泣いているところを想像するだけで私はキュンするんだ。

 週末は藤木と遊べるんだ。このくらいは許されるだろ。


 さらに5分程たって、疲れた様子のマナが席に戻ってきた。

「私、早退する」

「どうしたの」

 そんなに睨まれると私は♡

「先輩と仲いいよね」

「そうだね。そのおかけでマナも週末ボード行くでしょ」

 マナの表情が明るくなった。

「私も行って良いの」

「もちろん」

「本当に。先輩、ヒカルと行きたいんじゃないかなって」

「マナにもありがとうって言ってたよ」

「ありがとうって何もしてないけど。行く」

 単純だなあ。だけどそういうところが大好き。

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