第9話
「大変です!奥様!」
ドタバタと青い顔をしたメイが庭まで走ってくる。
「どうしたのメイ?そんなに慌てて?」
「だ、旦那様が帰られましたが、そ、その」
その反応を見て俺たちはすぐに屋敷にむけて駆け出した」
玄関出ると王家の紋章が入った豪華な馬車が一台止まっていた。
「リオンはどこ!」
母は青い顔をしながら馬車の横に立っていた若い兵士に声をかける
「は!こちらに…」
若い兵士は申し訳なさそうに馬車の後ろの扉を開ける。
そこには全身に怪我を負った父、リオンの姿があった。
右腕は無くなり、傷口は所々腐り、かなり酷い状態であった。
意識が無いが命はあるようで微かに胸が上下している。
「あぁ、なんてこと、聖なる光よ、この者を癒したまえ『ヒーリング』!」
母は急いで傷口に治癒魔法をかける。
しかし一向に怪我が治る気配がない。
「な、なんでよ!聖なる光よ、この者を癒したまえ『ヒーリング!』…『ヒーリング!』」
「わ、我々も手を尽くしたのですが、魔物の呪いで治癒魔法が効かないみたいでして…」
「う、嘘でしょ…」
母は現実が受け入れないのかフラフラと数歩後ずさったあと気を失ってしまった。
「おっと、」
俺は倒れた母をすんでのところで抱き止めた。
「メイさん!とりあえず母様を寝室へ!
父様は僕が運びます!」
俺は幸せな生活が音を立てて崩れるのが耳に聞こえた気がした。
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