第30話
土曜日、昼過ぎにアパートを出て、一駅乗って令のマンションのある駅で降りた。
県庁所在地の駅なので駅には隣接してデパートがある。
約束までまだ時間あるあるので一通り上から下まで見て回った。普段殆どデパートに来ることがないので興味深い物がたくさんあったが荷物になるので見るだけにした。最後は地下で、お惣菜を買いビールとワインも買った。
結構嵩張ったが、駅から10分ぐらいのマンションなのでタクシーに乗るまででもないと思い、天候も晴れていて気持ちがいいので歩くことにした。
令の部屋に入ると綺麗でビックリした。
「モデルルーム見たいに綺麗だ」
と僕が言うと、
「一週間かけて綺麗した。半年振りに掃除したよ、泥棒が入ってひっくり返えしたような部屋だったんだ。
おれの部屋に人が来れば、掃除しなくちゃいけないだろう、成に来てもらって助かったよ」
「だから令のとこだったんだ、お疲れだったなあ」
「まあな、まず座って」
ソファを進めてくれた。
令の部屋は、2人掛けソファとテーブル、セミダブルベッドと机、冷蔵庫と洗濯機。
殆ど僕の部屋と似た様な感じだ
僕は買ったお惣菜をテーブルに出した。令も買ったお惣菜を出していた。ビールで乾杯をした。
「仕事どうだ?」
「まずまず慣れたよ」
「良かったなあ、だんだん慣れてくるとパターン化して飽きないようにな」
「たしかに、そうだよな、難しいのは紹介状書くから、見れる範囲内だけだもんな」
「成には、町医者があっていると思うから大丈夫だろうがな」
「最初は不安だったけど、働いている人達が良い人達で助かった」
「よかったな、職場は人次第だよな」
「そう思うよ」
「これからも続けてそうだな」
「うん、続けたいと思う。…」
「幼馴染くんには言ったのか?」
「ああ、言った」
「丸く収まったか?」
「うん、なんとかなったかな、壱この前迄入院してた。お見舞いに行ったんだ、過労と胃潰瘍らしい」
「ふーん、色々あるんだな」
「あっそうだ、実家にも寄ったんだ、曾祖父がだいぶ弱ってた」
「一緒に住んでいるのか?」
「違うよ、すぐ近所で一人暮らしだったけど最近は僕の両親が曾祖父の家で一緒に生活しているって言っていた」
「そうか、心配だな」
「もうすぐ96歳って言っていた、足腰弱っていて、近所の先生に往診に来てもらっているんだ」
「往診かあ、東京のど真ん中でも田舎と変わりないんだな」
「日本全国どこも一緒」
「まあ、そうだ」
「その近所の先生、僕に働かないかって」
「えっ、詳しく教えてくれ」
「もう70歳くらいなんだ、独身で、自分が閉めれば、地域の人達が困るって思っているんだ
、僕が医学生の頃から声をかけてくれた」
「そうか」
「曾祖父の家からの帰り道でも偶然に会った。正月あたりに返事するって言ったんだ、…迷っている」
「今、働いている所には相談したのか?」
「まだ、令の意見を聞いてから相談するかも」
「まあ、成の考え方次第だからな、行かないって言うのもありだしな」
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