第21話

 お昼過ぎに東京のアパートに着いた。5月に壱と慌ただしく岐阜に帰ったままの感じの部屋だ。部屋の中が澱んでいるので窓を開けて掃除を軽くした。

 夕方にはネットショップで購入した段ボールが大量に届く予定だ。


 いらない物はゴミ袋に入れる、わざわざ岐阜に送るような物はほとんどない。


 夕方、愛ちゃんがお弁当を買って来てくれた。


「どう、捗っている?夕飯まだでしょう?とりあえず休んで食べましょう」


 一緒に食べながら、

「ほとんど捨てるものだよ、ちょっともったいないけど、岐阜にもひと通り揃っているしね」


「そんな事より、昨日の電話では結局、聞けなかったけど、壱と別れたの?」


「はっきりとは、…自然消滅になるのかな、」


「壱が成くんを手放すの?……考えられないけど、2人の事だからね」


「うぅん、そうだね」


 愛ちゃんはもっと言いたそうだったが、気を使ってくれて、僕と壱の事じゃない話題をふってくれた。


 食べ終えた後は夜遅くまで、片付けを手伝ってくれた。凄いゴミの量だった。


「終電に間に合わなくなるから帰るね、また電話するね」

と、言って慌ただしく帰った。

 

 ほとんど休みなく動いてくれたので、相当疲れたと思う。


(今日は、大感謝!)

と、連絡アプリを送信した。


(おやすみ!)

と返ってきた。


 長い一日が終わった。僕も寝ようとシャワーを浴びてベッドに横になった。壱の匂いが僅かにした。

 

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