第13話
成と話し合いから1週間が経った。
先週末は東京のアパートで夜遅くまで、同じ話しの繰り返しで、疲れ果て一緒にダブルベットに寝たが、端と端で寝た。
次の日は、昼頃起きて明日から仕事だから岐阜に帰ると成が言うので、一緒に岐阜に付いて来てしまった。
和井さんに今月一杯仕事はキャンセルしてもらった。今の俺はとてもピアノが弾ける状態ではない。
しかし1日が長い、暇だが、成との事を考えると疲れ過ぎて、眠くなる。
残り1週間で今月が終わるが結論が出ない。
成の仕事を認めて、俺も仕事を開始して月3回は会おうとか、言えば丸く収まり、前のような恋人同士に戻れるのだろうか?
成の事を囲っていたい俺は異常なのか?何故これ程まで執着して離したくないのだろう。
こんな状態が第三者の悩みで俺に相談して来たなら、別れてやれよと言うんだろな。
全く、俺はどうしようもないな……。
成のアパートにいても、いくら俺が家賃を支払らっているとはいえ、何処か落ち着かない。
夜遅くまで仕事をして帰ってくる成の為に俺が食事を作って待っている日がくるなんて思っても見なかった。
「ただいま」
「おう、今日はカレーだ」
「ありがとう、あっ明日の夜、働いている所の先生が、壱も一緒に食事しようと言ってくれたけど、どうする?」
「えっ、俺の事言ったの?食事会は俺が行っていいの?」
俺の事を他の人に言ってくれた事が嬉しく心が弾んだ。
「友達が東京からきているって言った。壱さえ良かったら3人で食べよう」
あっそうか友達だな、弾んだ俺の心は沈んだ。
「あっそうか。わかった、明日な」
平常心を装って答えた。
一緒にいるのに、この一週間これっぽっちも色っぽい雰囲気にならない。俺は心底嫌われてしまったのか、最近不安に感じる。
しかし、朝早く夜遅い成の邪魔をしない生活を心がけた。
東京で成と暮らしていた時の、成の気持ちが少しわかる気がする。俺の都合次第で仕事部屋に長く滞在する時もあったなと思い出した。
やっぱり寂しいような、だんだん心も離れるのもあたり前か。
ここ最近は特に成に俺の仕事の事、生活の事言っていない、言わなくても理解してくれていると思っていた。……。
やっぱり俺が悪いのか。俺の頭の中も同じ考えの繰り返しだ。
成は、俺にいつ帰るのかも聞かない。
何故、聞かないのかも聞かない。
あーあ、ため息がでる。でも、成と毎日いられるのは嬉しい。ダブルベットの端に横になりながら考えた、昼寝をしたせいか眠くならない。
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