8話
その後無名と合流し、これからのことを話し合うことになった。
「さてと、ここで暮らしてもらうとは言ったもののなんか希望とかあります?」
「希望…やっぱり衣食住は欲しいですよね、欲を言えばベットとか。」
少し悩んでいるようだったがなにか思いついたのかおもむろに手を叩く。
「いいこと思いついた!君!瓦礫の世界で暮らせばいいじゃん!」
その瞬間、俺の顔から余裕が消えた。
「嫌です。」
「まあまあそう言わずに」
「嫌です」
「何があろうがあそこだけは無理です」
「でもなぁ、ここの世界は言わば共同部屋みたいなもんだし、ここの一面真っ白な世界に家あったら、え??、ってなるじゃない。」
互い譲らない半分喧嘩みたいな口調になりながら30分近く反論していたら無名からある
提案を出された。
「じゃあジェノと一緒住んじゃったら?
必要なものがあれば用意するし、ほらさっき君が言ったベットとか。
強力な用心棒もついて、女の子と同居なんて…これ以上に好立地な物件中々ないでっせ親分。ゲッヘッヘ」
それはなんともぶっ飛んだ提案だった。
しかし、このまま口論していたらいつか相手をイラつかせて、何も貰えない可能性もある。ここら辺で妥協しなければならない。
あと少し関係ないが最後の口調が腹立つ。
「わかった……そうします……」
「いぇーい!じゃあ早速ジェノに連絡しとくわ。
ポータルは繋げとくから教会のほうに行ってて〜」
妥協したとはいえ、ジェノさんに迷惑をかける形となってしまった。
無名の言っていたポータルへ入ると確かにそこは瓦礫の世界だった。
2回目だがそんじょそこらのお化け屋敷やホラー映画よりも群を抜いて怖い。
小走りになりながら教会の扉を開ける。
すると前とは違い目の前には既にジェノさんがいた。
「無名からお話は伺っています。
こちらに住むということでしたよね?」
そうですと答えると目に見えて喜んでいるのがわかった。
「それではこれからよろしくお願い致します、基本いつも1人でここにいるものですから、誰かと一緒にいられるのが嬉しくて……」
「レッドは?」
「レッドは前ここに暮らしていましたが、無名の元へ言ってしまって、こちらに遊びには来ますが毎日ではありませんから。」
何やってんだレッド、女性をここへおいてけぼりにして!
「立ち話もあれですから、早速お部屋へ案内しますね。」
前来た時には見なかったが教会の奥の方には裏部屋へと繋がるドアがあった。
そこを開けると日本で言う、そこそこのタワマン一部屋分の広さがあった。
「洗面所がここで、寝室は右の部屋にあります。キッチンはありますが、あまり使うことはありませんね。」
一通り部屋を案内をしてもらい少しソワソワしながらソファへと腰掛ける。
その様子を見たのか、ジェノさんが紅茶を入れてくれた。
「良ければどうぞ、リラックスしてください。」
「ありがとうございます。」
心遣いに感謝しながら一口紅茶を喉へ流し込むとなんだか人生で数回は口にしたことがある鉄の味がした。この透き通る紅茶からなぜこの味がするのだろう。
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