第5話

しばらく歩いていると、自称神様が喋り始めた。

「そういえば君の名前ってなんなの?」

「名前…」

「そうそう、まだ聞いてなかったわ。

だからゲームの時も名前わかんなくて〇〇だったし、あれかい?

皇帝と書いてエンペラーとかwwwwww」

「そんなんじゃないですよ、改めて自己紹介します。

本永光輝(もとながこうき)です。」

自分の名前を言うと自称神様は少し笑った。

「なにか、おかしいですか。」

「いや?ただ、主人公らしいいい名前だと思っただけだよ。折角なら私を自己紹介をしよう、ずっと自称神様って思われるのも癪に触るしね。」

全身が冷や汗をかくのがわかる、変に心臓がバクバクしているせいで少し体がきつい、最初から読まれていたのだろうか。

その時思ってしまった、コイツはただのペテン師ではないと。

「色々考えてるみたいだけど、とりあえず自己紹介。

無名だ。よろしく。」

「無名?」

「そう、無名。私はそもそも名前自体が好きじゃい。でも、名前がないとなにかと不便でしょ?」

喋りながら足を進めていると突然無名が、その場で止まった。

どうしたのだろうと、俺もその場で足を止めると。

急に上から人が降ってきた。

そのあまりの衝撃に驚いてしまった。

俺と同じように此処へ、落ちてきてしまったのだろうかと心配しながら近付くとその姿には見覚えがあった。

ゲームで出てきたレッドという人物だった。

「やぁレッド、また黒にぶっ飛ばされたの?」

「聞いてよ無名〜僕は今回本当に何もしてないんだ!!」

「何もしてないのに黒がなにかする訳ないじゃない。」

「ホントに何もしてないよただ……」



《数分前》

「ねぇねぇ黒〜」

「なんだ」

「黒ってめっちゃ強いよね。」

「まぁ、そういう風に作られたからな。」

「コンニャクアタック」

(コンニャクを顔面に投げつける)

「という訳だよ。」

「うんそれは100%君が悪いね。」

「無名も僕を裏切るのかい!?」

ようやくこちらに気づいたのか、レッドが駆け寄ってきた。

「あれ?君誰?」

ゲームとほぼ似たような質問をされた。

「本永光輝といいます。」

そう言うと、こちらに手を差し出した。

「へぇいい名前じゃない!私はレッド。

よろしく〜」

「こちらこそよろしくお願いします。」

差し出された手を握り互いに握手をした。

「ここの世界に落ちてきたんだー。

かわいそーに〜。」

可哀想にと言う割には全くもってそんなふうに思ってる感じはしなかった。

ん?まて、なぜ落ちてきたって知ってる?

「僕は人の心も読めるし、その人の過去の履歴だって分かる。珍しいでしょ!

これができるのは、僕と無名くらいなんだから!」

恐ろしく感じた、このふたりの前ではなんもかもがバレる。命を握られているも同然だ。

「で、今は何してるの?」

「お仲間めぐり、ここで暮らすこのになったから紹介しとかないと、と思って。」

「じゃあ僕も着いてくよ、面白そうだし。」

「それじゃレッツゴー!!」

そう言ってレッド俺の腕を強く掴み走り出した。


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