第4話

「ゲーム?」

「そう、ゲーム。」

突然目の前にテレビの画面のようなものが映し出された。下の方には謎の吹き出しまでついている。

「これって……」

「これに仲間の気難し度順で表示していくから、選択肢の中から選んでこたえろよー。」

画面にある人物が出てきた。一見するとただの陽キャのようにしか見えない。

黒い上着の下に赤いセーターを着たいかにも同窓会とかではっちゃけるタイプの人だと分かる。

「それじゃ、始めるよ〜」

アイツの言葉と同時に画面の吹き出しに文字が現れた。

『おや?君誰だい?ここには普通の人間は入れないはずだけど?』

なるほどこれに返答すればいいのか…

それで選択肢はなんだろう…

『お前こそ誰だよ、ここから出せよ』

『俺の名前は〇〇といいます。』

いや簡単過ぎないか?

こんなん上選んだらまともな人でもイラつくわ。

『俺の名前は〇〇といいます。』

『へ〜そうなんだ、僕はレッド!よろしくね!』

無事に突破したのか画面にはCLEARの文字があった。

「さぁこれで初級編は終わりだ……

だが油断するなよ…これはあくまでチュートリアルに過ぎないんだからな!」

タチの悪い悪役みたいなことを言いながら次の人物が画面に映し出された。

その人物はシスターの格好をしているが何故か右肩から左脇腹にかけて酷い切り傷のようなものがはっきりと分かる。そして右目は包帯が巻かれており、全体的に病人めいた雰囲気がある。

そう考えていると吹き出しに文字がでてきた


『おや、もしかしてここに来た罪人さんですか?貴方は何の罪を犯したんですか?』

ん?罪人?

シスターの格好をしているし、懺悔にでも付き合わなきゃいけないってことか?

さてと選択肢は…

『いや、罪人ではないですが』

『レッドさんの紹介できました』

『ここに迷い込んでしまったんです』

3択に増えてる…

しかもどれもこれも普通に言いそうなことばかりだ。

とりあえず、1番上はやめておくか。

真ん中のレッドの紹介ってさっきのヤツか、

なんかたよりないイメージしかし湧かないな……

ここは1番下にしておこう。

『ここに迷い込んでしまったんです』

『ふふ、罪人の方はみんなそう言うんです。

さぁ、断罪を受け、私達の家族になりましょうね。』

『気がつけば四肢を拘束され、彼女がこちらへ巨大なナタを振り下ろした。』

間違えてしまった、まじで選択ミスると殺されるのか…しかし、下がダメなら上か中ということになる。

どっちだ…

「いやー間違えちゃったね〜wwww」

控えめに言ってかなりウザイ、次間違えたらさらにからかわれるだろう。

なんとか次で正解を当てなければ。

『いや、罪人ではないですが』

『レッドさんの紹介できました』

ここは真ん中にしてみよう、彼女とレッドが友人ならば信用されるはずだ。

『レッドさんの紹介できました』

『あっ、そうだったんですね!てっきり罪人かと思ってしまって、何もないところですがゆっくりしていってくださいね。』

画面にはCLEARの文字が浮かび上がった。

彼女とレッドは友人関係のようだ、会った時にレッドの名前を出せば何とかいけるかもな

それにしてもなんだか丁寧な人だった。

「これが最後だよ、かなりムズいからしっかり考えてね。」

画面が切り替わり黒髪の綺麗な長髪の人物にが出てきた。

しかしなんというか、近寄り難い雰囲気が画面越しでもヒリヒリと伝わってくる。

『誰だ』

今までと比べ文字数の少なさに少々驚いたがそれでもこの威圧感……

『〇〇といいます。』

『ジェノさんのお知り合いですか?』

『レッドさんのお知り合いですか?』

普通なら1番上の名前の選択にするが、名乗った瞬間に殺されるような気配もする。

知り合い関連で行くならまだ安全かもしれない。

レッドは分かるが、ジェノって誰だ?

「なあ、ジェノって誰のことなんだ?」

「ジェノはさっき画面に写ってた子だよ、ほら包帯してる子。」

なるほど、ジェノは普通に礼儀を重んじてる風格があったし、レッドよりも全然安心出来る。中にしてみよう。

『ジェノさんのお知り合いですか?』

『ジェノになにかしたのか…』

『次の瞬間視界が突然落下し、目の前には微動だにしない自分の身体が立ち尽くしていた。』

まじ?これで殺されるの?

気難しいのレベルじゃないやんもう。

しょうがない、レッドに頼ってみよう。

『レッドさんのお知り合いですか?』

『お前あのクソ野郎の知り合いなのか!?

すげぇなどこも怪我してないなんて……

大変だったな。』

画面にはCLEARの文字が浮かび上がる、俺は謎の達成感に包まれた。

「おぉー!おめでとう!

これで仲間とのコミュニケーションもバッチリさ!(多分)」

中々にきついものがあった。

疲弊して座っている俺に手を差し伸べた。

「じゃぁ、実際に会いに行こうか!」

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