第2話

それから現在に至る。

あれからずっと俺は落ち続けている、不思議なことに俺が落ちてきたはずの穴はもうゴマ粒ほどの小ささになってしまった。

もうとっくの昔に地面に着いてもいい頃なのに未だに地面が見えない。

しかし、地面に着いたとしてもそれから待っているのは衝突死だ。

死を直前にした人間は走馬灯を見ると言われているが、残念なことに俺は見れないらしい。

いや、走馬灯にすらできないほどの記憶や思い出がないのかもしれない、こんな理不尽な最後を遂げるくらいならば旅行や恋人くらい作っておけばよかったかもな。

だが、この人生を歩むと決めたのは紛れもない俺だ。

腹を括ったのか、真に諦めたのか、どちらかは分からないが人生に別れを告げるようにゆっくりと目を閉じた。





次の瞬間床に身体を強く打ちつける衝撃が伝わってきた。

本来なら俺はそこでグシャグシャになり絶命するはずが何故か生きていた。

傷どころかどこも痛くなかった。あんな高さからクッションもなしに落ちてきたというのに俺の体はピンピンしていた。

しかし驚くことはこれだけではなかった、周りを見渡すと、そこは真っ白な空間が地平線のように果てしなく広がっている。

ついでに上から来たはずなのに穴などどこにも空いていなかった。

あまりの情報量の多さに唖然としていると、後ろから声をかけられた。

「えっと〜……誰かな〜……」

咄嗟に後ろを振り返ると中学生ほどの身の丈をした人に声をかけられた。

しかし不思議な格好をしており、服やズボンはよく部屋着などで着られていそうなラフな格好だったのだが、顔には前髪の部分にセロハンテープで目が見えないように紙で隠されていた。だから口元でしか相手の顔が分からなかった。

「えっと、すごく変なこと言ってしまうんですけど、家に帰ろうとしたら変な穴に落ちてしまって……気付いたらここにいて。」

なんとか相手に事情を伝えようと身振り手振りで事の顛末を動揺しながらも相手に伝えた。

「なるほど……いやー、なんかすごい経験してますねwww」

相手は少しケラケラとしながら聞いてくれた。

「そういえば、貴方はなんという方なんですか。ここに住んでいる?ようですが。」

そう聞くと相手は少し笑いながらこう答えた


「私ですか?私はここで神様をしているものです。」

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