変な穴に落ちたと思ったら変な神様と暮らすことになったんだが!?

@Kabovea

第1話

世の中には「事実は小説よりも奇なり」という言葉がある。

その意味は現実の世界で実際に起こる出来事は、空想によって書かれた小説よりもかえって不思議であるという意味のことわざだ。

しかし、人類皆が皆そのような数奇なことがあると言われればそうではない。

俺の場合は、冒険とかチャレンジとかそういう意欲は全くと言っていいほどない。

マジでない。

ファミレスとか行っても、昔から食べてる決まったヤツとか、マックやスタバでも新商品には目もくれず同じやつを頼み続けてる。

大きな出会いはないが、損をしたりすることが無い安全安心な道を歩く派だ。

よく周りからは、「つまらなくないのか?」

と聞かれるがそうでも無い、俺からしてみれば挑戦のほうがつまらなさに比べ、避けるべきものだ。

そんな人生で満足していた、順風満帆だった。

そう、この穴に落ちるまでは。



【10分前】

大学からの帰り道でいつものスーパーで夕飯の買い物をしていた。

「おっ、今日魚安いな。最近ずっと肉だったしたまには食べないとな。」

必要なものがなかったか思い出しながら夕飯の献立を考えていた。

(魚は焼くとして米はまだあったはず、豆腐でも買って付け合せにするか。醤油は買ってたと思うが...鰹節はあったか?)

商品を手に取り会計を済ませ、エコバッグに詰めていく。

何も変わらない、いつもの穏やかな日常、なにも何もかも変わらないわけじゃない。

ただ大きな変化がいらないだけでなんだ。

少しずつ日が沈んで行く中家への帰り道である変なものを見つけた。

なんというか

穴?

普通のマンホールよりもふた周り程のおおきい穴が道路の真ん中にポツンと空いている。

なにかの工事だろうか、それにしては周りにはコーンも何も無かった。

危ないなと思いながら道脇に体を当て避けようと動き出した瞬間、突然体が前のめりになる。咄嗟のことに体のバランスが取れず、吸い込まれるように穴の中へと入っていく完全に体が穴の中に入る前に後ろを見ると、真っ黒な子供がペンキで塗ったような白い笑顔で見下ろしていた。




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