第14話 「これ小」をIT化する。(その2)「何を書くか」
元ネタは「これさえ知っておけば、小説は簡単に書けます。」(中村航、祥伝社新書)です。今後は略して「これ小」で行かせていただきます。ほんますんません。
第2弾は、小説の題材をユニークなものにするというお話です。
何でもそうですが、他人と同じことをやっていては売れない。商品でも芸能人でも、自分だけの個性を持たなきゃならないということ。
そのためには、「ネタ」をひねり出す必要がありますね。それを「ブレインストーミング」という手法で行おうという提案になっています。
■ブレインストーミングとは?
大技の魔法みたいな言葉ですが、経営工学とか経営管理の分野で用いられる手法です。
乱暴に言えば、「みんなで案を出し合う」というだけのことです。中学校のクラス会と変わりありません。
かわりばんこに意見を出し合って、黒板に書き出す。誰でもそんな経験がありますよね。あれです。
普通上手くいきません。
失敗する理由は、「声の大きい奴が勝つ」からです。クラスの人気者とか、我の強い奴とか、先生のお気に入りとかが意見を出すと、結局その意見が主流になります。
日本人は同調圧力に弱いので、独自の意見を主張するのはつらいですよね。
ブレインストーミングが成功するコツは、2つあります。
・批判禁止
・便乗上等
とにかく制約なしに、自由に意見を出させることにつきます。予想外の発想が、次なる連想を生み、アイデアがどんどん転がり、増殖していくことが成功の秘訣です。
今回は自分1人での案出しなので、批判する人間はいません。ですが、「常識」という奴が邪魔をしてきます。常識を捨てて、空っぽの頭で思いつくままにアイデアを書きなぐることが、「1人ブレインストーミング」での重要なポイントです。
そんな時に役立つツールを、今回は2つご紹介します。ブレインストーミング用のアプリなんて検索すればいくらでもヒットするので、自分に合ったものをチョイスしたら良いと思います。
【PC用アプリ】
オンラインワークスペース環境「Notion」。
無料版でも利用できます。そのものずばり「ブレインストーミング」というテンプレートが存在するので、それを呼び出して「何を書くか」というテーマでアイデアをぶち込むだけです。
ブラウザからも利用できるので、場所やプラットフォームを選びません。スマホからでも作業できます。
【Androidアプリ】
「Microsoft Whiteboard」。
黒板じゃなくてホワイトボードに書き出そうぜ、ってわけですね。こういうジェネリックなネーミングを堂々としてくるところが、いかにもマイクロソフト。
誰かに金を払って買い取ったのかな? お金持ちは羨ましい。
このアプリも本来オンラインでの共同作業を前提としています。それを1人で使うってことですね。
ホワイトボードなのでお絵描きしても、写真を貼り付けてもOK。自由度高いです。
パーツの1つに付箋紙みたいなメモがあり、自由に文章を書き込んでホワイトボードにペッタンと貼り付けることができます。
【画面イメージ】
🔗https://kakuyomu.jp/users/hyper_space_lab/news/16818023213700407863
メモはホワイトボード内で自由に配置することができます。現実のボードにポストイットを貼り付けるのと、同じイメージですね。
ちなみに、Android用アプリと紹介しましたが、PC用のアプリも利用可能です。Windowsの左下にある検索窓に「Microsoft Whiteboard」と打ち込めばダウンロードサイトを呼び出せます。
作り出したホワイトボードはスマホ、タブレットとPCの間で共有できます。
結局「Notion」も「MS Whiteboard」も、環境を選ばず使用できるということですね。ありがたいことです。
■さて、どう「料理」するか?
前半で、ブレインストーミングがうまくいかない理由を述べました。実は、それ以外にもブレインストーミングが失敗するケースがあります。
それは「まとめ方」のミスです。
案出しがうまくいって、使えるアイデアが出たとしても、往々にしてアイデアというものは埋もれてしまいます。案が出ているのに、掘り出せないことが多いのです。
以下は、筆者が考えるブレインストーミングの成功法です。
【出てきたアイデアを上手くまとめる方法】
①「便乗」を十分行うこと
②共通項でグルーピングすること
③関連付け、序列付けをして構造化すること
①は前にも述べました。とにかくアイデアを出しつくすことです。自由な連想を遊ばせましょう。弾がたくさんないと、良い結論は出ません。
②は「似た者同士」を集めること。「似た者」を決める基準は自由です。たくさん並んだメモを見ながら、これとこれは似ているな。これとこれは遠いな、と、メモ紙を動かしてやれば良いでしょう。
ある程度決まった基準に当てはめても良いでしょう。「尖ったテーマvs.一般受けするテーマ」を縦軸にし、「シリアスvs.コメディ」を横軸にするなど、「評価軸」を決めてマッピングする方法もあります。
③は似た者同士の中で、「こっちのメモの方が原則に近いな」、「こっちのメモは具体例だな」とか、「こっちが原因で、こっちは結果だな」、「目的と手段だな」といった感じの関連付けをしてみることです。
そうやって整理し、構造化し、原則を抽出した中から、「書きたいもの」にヒットするテーマを選び出せば良いと思います。
何でもそうですが、難しくし過ぎると続きません。面倒くさくなって投げ出してしまっては元も子もない。できる範囲で楽しくやってみたら良いでしょう。
逆に、「過去に書いた作品」のテーマをホワイトボードに並べて眺めてみるのも、「振り返り」の方法として面白いかもしれません。
自分はこういうジャンルで良い作品が描けているな、とか、こっちは手つかずだからやってみようかな、とか。新たな発見があるかもしれません。
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