第158話 龍太郎包囲網3

 ◇◇◇◇◇


 ソフィア、龍太郎、カレンは三者伝心中。

 さらに、ソフィアと紗英は電話で会話している。


紗英:『ありがとう。状況は把握したわ。

 それにしても、やってくれたわね!全く!』


ソフィア:「それに関しては、何も言い訳できないわね。」


野神:「まあいいわ。ソフィアは知らなかったんでしょ?

 それで、今後のことよね?

 ソフィア。天堂くんたちに2日、いえ3日ね。

 3日待ってもらうように伝えて!

 それまでにこちらで対応するから。』


ソフィア:「3日?何か策があるの?」


野神:『うーん。とにかく、3日待って。

 その間、そっちはソフィアでなんとかして!

 それは頼んだわよ。』


ソフィア:「わかったわ。こっちは任せて。

 じゃあ、3日後ね?」


 ソフィアと紗英は電話を切った。


ソフィア:『リュウタロ。サエからの伝言。

 3日待ってって。その間に対応するって。』


龍太郎:『3日か。紗英さんすごいな。何すんだろ?』


カレン:『3日間、ここで待つの?』


ソフィア:『それは、こっちでなんとかするわ。今からどこかで落ち合いましょう!

 今、どこなの?』


カレン:『ゲートの近くです。』


ソフィア:『そう。じゃあ、カレン。今からそっちに行くわ。

 あと、二人ともスマホは持ってないわよね?』


カレン:『あ!持ってますけど、電源は切ってます。』


ソフィア:『OK。今は絶対に電源を入れちゃダメよ。

 じゃあ、後で会いましょう!』



 ◇◇◇◇◇



 クランハウスAー103にて。


 ここ一階のリビングには、世界配信のイベント中継を一緒に視聴するために、覚醒4人娘と叶姉妹の6人が集結していた。

 本日は完全休養日。

 一階の大画面モニターでイベントを見ながらワイワイ騒いでいる。


亜実花:「謎王って先生らしくって笑える。」

華那:「本当に謎だもんね?」


華那:「エキジビジョンマッチだって!

 1位の猛獣王じゃん!?大丈夫?」

玲奈:「ちょっと〜!聞いてないよ〜!」


亜実花:「あ〜ん!やられちゃったじゃん!」

詩音:「あ!脇腹!もう!無理〜!」


玲奈:「わー!先生、完全勝利!!」

詩音:「良かった〜!世界一だ!」


 ワイワイ、ガヤガヤ。

 イベント中継の最中もひたすら喋っている。

 この娘たちは、とにかく仲が良い。

 英莉花と世莉花は、静かにモニターを眺めている。


華那:「あれ?中継終わったよ?」


玲奈:「おい!勝利者インタビューはどうなったんじゃい!?」


詩音:「えーーー!もうちょっと見せてよ!」


亜実花:「本当だよ〜!何なの?

 今からいいとこなのに〜!」


英莉花:「まあ、明日帰ってくるんでしょ?

 その時にゆっくり聞けばいいじゃない?」


亜実花:「そうだけど……。なんか消化不良。」


玲奈:「そうそう。この番組のディレクター何やってんのよ!」


 覚醒4人娘は、ブーイングが収まらない。

 ただ、騒ぎたいだけのような気もするが。


英莉花:「それじゃあ、私たちは戻るわね。

 それと、私たちは、明日もダダダダンジョンでレベルアップですからね。

 今日はちゃんと休養しなさいよ。

 影武者さん。明日もよろしくね。

 世莉花さん。行きましょ。」


世莉花:「はい、お姉様。」


 覚醒娘4人とエロシス2人は、龍太郎たちのいない間も、影武者龍次郎の同伴の元、レベルアップ活動は継続している。

 龍太郎が時間が勿体無いからと、龍次郎は日本に残し、連れて行かなかった。

 まさか、こんなことになるとは予想していなかった。



 ◇◇◇◇◇



 先ほど、ソフィアとの電話を切った紗英は、すぐさま首相官邸に直接連絡を取り、総理へ緊急のアポを取った。


宗方:「おぅ!野神。どうした?」


野神:「総理。実は……。」


 紗英は、アメリカ、ロサンゼルスで起こった出来事をまずは報告した。


宗方:「そんなことがあったのか。

 いや、俺も不思議に思ってたんだよ。

 急に中継がストップしただろ。

 勝利者インタビューはどうしたんじゃい!?

 って叫んでしまったよ。」


野神:「見てたんですか?」


宗方:「もちろん見てたさ。

 あれを見てないやつはいないだろ?

 あれの視聴率って100パーじゃね?

 んで、どうするつもりだ?」


野神:「もちろん、迎えに行きます。

 政府専用機を貸していただけますか?

 それと、それに関わるアメリカ帝国との交渉もお願いしたく。

 渡航は3日後でお願いします。

 それまでに全ての手続きを終わらせていただきたいです。」


宗方:「ぷっ!なんだ?その畏まった言い方は!

 二人だけなんだぞ。気持ち悪ぃな。」


野神:「ふっ。それもそうね。」


宗方:「で、3日か……。わかった。いいぞ。」


野神:「え?確認しなくていいの?」


宗方:「おまえ、俺を誰だと思ってんだ。

 なんでも強引に進めちゃうことで有名な暴走バカ総理なんだぜ。知らなかったか?」


野神:「それは知ってるけど……。

 自分で言っちゃうのね?」


宗方:「まあ、自覚あるからな。

 ただ、そう思われてる方が、こっちも動きやすいんだよ。

 だから、あえて否定はしていない(笑)」


野神:「そうね。当たってるから、否定のしようもないわよね?」


宗方:「いや、お前も似たようなもんだぞ。」


野神:「私は違うわよ!それは工藤でしょ?」


 二人の仲がどうなのかは誰も知らないが、二人きりだといつもこんな感じだ。

 この関係があって、協会は助けられている。

 だが、逆も然りでお互い持ちつ持たれつの関係というのが正しい。


野神:「それで、もう一つお願いがあってね。

 例の件は進んでる?」


宗方:「例の件ってあれか?」


野神:「そう。あれよ。」


宗方:「まあな。準備は完了したよ。

 で、お願いって?」


野神:「今回の件をトリガーに一気に進めて欲しいの。協会同士の話し合いはすでに終わってるわ。いつでも行けるわよ。

 あとは、国家間の調整のみってところかしら。」


宗方:「まさか、それも3日か?」


野神:「そう。3日でお願いしたいわ。」


宗方:「それはまた難題を……。

 お前、本当に無茶苦茶だな。」


野神:「あら。それこそ、暴走バカ総理の出番じゃないの?」


宗方:「うっ!痛いところを。

 わかった。なんとかしようじゃないか!

 その代わり、今度、奢れよ。」


野神:「ええ、なんでもいいわよ。」


宗方:「そうだな……。

 メインディッシュは、お前がいいな。」


野神:「張り倒すわよ。」


 この人たち、一体どういう関係なの?

 昔、いろいろあったようです……。



 ◇◇◇◇◇



 ソフィアは、急いで駆けつけた。

 龍太郎たちの元にソフィア到着。

 誰も引き連れずに一人で来たみたいだ。


ソフィア:「ちょっとここ、狭いわね?

 早速、ダンジョンに入りましょうか?」


龍太郎:「1人で来たのか?」


ソフィア:「当たり前でしょう。

 ここはアメリカ帝国なんだから。どこから情報が漏れるかわからないでしょ?」


カレン:「それって大丈夫なんですか?

 ソフィアさんは、WEAの役員でもあるわけですよね?」


ソフィア:「あら、まだ、信用出来ない?」


カレン:「あ!そうじゃなくって。

 私、第六感でその人の悪意とかがわかるんです。だから、ソフィアさんに悪意がないことはわかります。

 それより、後でソフィアさんがまずいことにならないかって。」


ソフィア:「へぇ。そうなのね。ありがと。

 だから、監獄にいる時も耐えられたってことなのかしら?」


カレン:「そうですね。ソフィアさんが危害を加えることはないと思ってましたよ。

 龍太郎への異常な興味は嫌でしたけど。」


ソフィア:「ふーん。そういうことなのね。

 不思議に思ってたけど、納得したわ。

 でも、協会なら大丈夫よ。

 それに、知らなかったとは言え、こうなったのも私にも責任があるからね。」


龍太郎:「なぁ。今から、ダンジョンゲートに入るのか?なんで?」


ソフィア:「そっちの方が安全でしょ?

 こっちの世界は、もうどこにいても危険だから。」


龍太郎:「そうか。わかった。

 で、どうやって入るんだ?

 見張りがいるみたいだけど。」


ソフィア:「そんなの簡単じゃない?

 見つからなければいいんだから。

 私が先に行くからついて来て!」


 ソフィアは、真っ直ぐダンジョンゲートに向かって走っていく。そして、そのまま、ゲートの中に入って行った。


龍太郎:「え?なんで?」


カレン:「龍太郎。私たちも行くよ。」


龍太郎:「お、おぅ。」


 カレンと龍太郎も同じようにダンジョンゲート内に入って行った。


 ◇◇◇◇◇

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