第154話 世界称号3
◇◇◇◇◇
ロサンゼルスゲート敷地内。
龍太郎たちがロサンゼルスに到着から2日後、世界探検者協会主催の世界称号授与式イベントが開催されようとしている。
昨日は、1日空いていたので、朝からソフィアの案内でロサンゼルスゲート敷地内を見学して回った。
異世界ゲート自体は、渋谷と変わらないものであったが、その他の施設は流石、エクスプローラ先進国と言わんばかりに日本よりも数段大きく立派なものであった。
ただし、これと言って特に目新しいものはなく、午後からは宿泊先である専用ホテルにてゆっくりと寛いだ。
そして今、敷地内のイベント会場に来ていたのだが、奇妙な形で行われようとしている。
東京ドームより少し大きな広さがあろうかという円形の広場のような場所の中央に授与式が行われるであろうステージが設置されている。
その円形の広場を武装したアメリカ帝国軍の兵士たちが周りを取り囲んでいる。
ここには観客らしき姿は見当たらない。
聞いたところ、イベントの状況は数十機のドローンで撮影して全世界同時配信するらしい。
ただ、このアメリカ帝国軍は何のために配備されてるのか?謎である。
同行者のカレンは、イベント会場には入れず、近くの待機所にいるように指示があった。
イベント会場に現れたのは、龍太郎を含めて、授与式に参加予定の4名のみ。
プレゼンターに当たる者の存在さえない。
龍太郎たち4人は、少し離れた場所に立ち、お互いに全く会話のないまま、その場でイベントの開始を静かに待っている。
龍太郎:『これが世界のトップランカーか。
グリード以外は初めてだな。
でも、以前より格上の感じはしないよな。
俺も成長しているということかなぁ。
それにしても重い空気だな。
グリードも突っかかってこないし。
なんだ?この空気は?仲が悪い?』
スタッフ:「まもなく、始まります!」
そして全世界配信の世界称号授与式が、盛大なオープニング曲とともに開会のアナウンスが流れた。
レディースアンドジェントルマン!
イーーーッツ ターイム!
これより、世界探検者協会プレゼンツ世界称号授与式を開催することを宣言致します!
周りを囲んだ帝国軍兵士が盛大に拍手をして場を盛り上げる。
全世界一斉生中継。
各国の国民がこのイベントを見守っている。
このあと、続いて現在の世界情勢をまとめた映像をムービーで流し、エクスプローラへの期待を引き立てる演出がなされた。
世界の危機と希望を演出している。
長いムービーだが、かなり凝った飽きさせない演出で全世界が興奮している。
そして、ムービーが終わり、再び授与式現場の映像に切り替わった。
そして、現場のアナウンスが続く。
この全世界のエクスプローラの中で、ファイブスターに到達した者は現在たったの4名!
まさにキングオブエクスプローラズ!
この地球の運命は彼らに委ねられた!
ウォーーーーーーーーーー!
そして今回、ファイブスター到達者4名に与えられる世界称号は……
『
今まで公にはなっていませんでしたが、この4名は、世界でも最も稀有な超激レアスキル系統であるキング系スキルの持ち主です!
まさに王の資質を持つ4人が!
ここロサンゼルスに集結しています!!
龍太郎:『おいおい!そんなスキル系があったんかい!初めて聞いたぞ!
こいつら、全員がキング系スキル?
もしかして、俺のもキング系スキル?』
ジョブ系、種族系、覚醒系などのスキル系統の他にどんな特殊スキル系統があるのか?
まだまだ、スキルについては奥が深い。
それでは、今回の世界称号授与者にご登場いただきましょう!
まず最初は、世界序列第1位のこの人だ!
グリード・キング!
アメリカ!
名前を呼ばれたグリードが颯爽とステージまで走って移動して、ステージに上がり両手を突き上げて雄叫びを上げた。
ガオ!アイムキング!
帝国軍兵士から、地が割れるほどのもの凄い歓声と喝采で盛り上がっている。
龍太郎:『ちょいちょい!
俺って何も聞いてないんですけど!
真似すりゃいいんですかぁ?』
イベント会場に来たのはいいけど、龍太郎は何も聞かされていないのだ。
前もって手順は教えておいて欲しい。
世界的イベントなんでしょうよ!
そして、グリード・キングに与えられる個人称号は……!
『
種族系スキルのそのトップに君臨するキング系統の持ち主だ!
体術に関しては、その右に出るものはいない、体術マスター!
龍太郎:『グリードは体術特化のようだな。』
このあとも、いろいろアナウンスがあったが、特に何かを手渡されるということもなく、称号が与えられるのみのようだ。
続いて同様に2人目、3人目が紹介される。
次に世界序列第2位のこの人だ!
ユエ・ワン!
チャイナ!
名前を呼ばれたユエは対照的にゆっくりとステージまで歩いて移動して、静かにステージに上がった。
そして、ユエ・ワンに与えられる個人称号は……!
『
魔術系スキルのそのトップに君臨するキング系統の持ち主だ!
火、水、土、風の4属性の魔術を操る魔術マスター!
続いて、世界序列第3位のこの人だ!
スーラジ・レイ!
インダス!
そして、スーラジ・レイに与えられる個人称号は……!
『
ジョブ系スキルのそのトップに君臨するキング系統の持ち主だ!
華麗な剣技を操る剣術マスター!
龍太郎:『へぇ。ユエは魔術特化、スーラジは剣術特化のなんだな。』
そして、残るのは龍太郎1人。
どんな紹介をされるのか?
最後に、世界序列第4位のこの人だ!
リュウタロウ・テンドウ!
ジャパン!
少しはそれらしいところを見せようと、鼓舞、重力操作を自身に掛けて、かつ飛翔、風魔術まで重ねがけで一気にステージまで駆け上がった。
もちろん、走っているようには見せかけているが、そのスピードはグリードを圧倒していた。
待ち構えていた3人が、それに驚いて一様に不思議な視線を送っていた。
グリード以外の2人は初対面だが、やはり、一番注意すべきはこの男だと察したようだ。
この登場で、全世界配信を見守る日本国民だけは大いに盛り上がっていた。
それとは対照的に三大帝国の国民については、こんなやつがいたのか?とさらに注目を浴びることとなった。
そして、リュウタロウ・テンドウに与えられる個人称号は……!
『
この男の存在は謎に包まれており、昨年まではツースター、そこから一気にファイブスターにまで駆け上がった若干20歳の青年だ!
まさにミステリーキングの名に相応しい底辺からの成り上がり男だ!
龍太郎:『おい!いい加減にしろよ!
ミステリーってどういうこと?
俺だけ、変な称号じゃね?』
龍太郎は、ステージの上で半泣き状態。
せっかくのお披露目が台無しだよ……。
世界配信の画面には、今発表された称号がテロップに表示されている。
世界序列第1位
四始王・猛獣王
グリード・キング(アメリカ帝国)
世界序列第2位
四始王・精霊王
ユエ・ワン(中華帝国)
世界序列第3位
四始王・剣豪王
スーラジ・レイ(インダス帝国)
世界序列第4位
四始王・謎王
リュウタロウ・テンドウ(日本国)
これにて、世界称号授与式を終了します。
それでは各称号授与者の4名はステージから降りて少しお待ちください。
龍太郎:『え?もう終わり?嘘っ!
なんだか、あっさりしたイベントだったなぁ。まあ、これで帰れるか。無事に終わって良かったのかな?』
授与者の4名がステージを降りたタイミングで、今まであったデカいステージが、綺麗に地面に格納されて無くなった。
ステージが無くなると、ものすごくデカい天下一武道会の闘技場のように見える。
龍太郎:『へぇ。これすごい仕組みじゃん!
でも、まだなんかあるのか?』
そして、再び、会場にアナウンスが流れた。
それでは、本イベントのスペシャルコンテンツに移りたいと思います!
皆さん!期待してお待ちください!
また、オープニング曲とは違った、闘争心を煽る系のカッコいい曲が流れている。
それでは!本日のスペシャルコンテンツ、エキジビジョンマッチを開催いたします!
皆さんには、トップに君臨するエクスプローラがどれほどまでの戦闘力を持つのか?
実際にその目で確認していただこうという趣旨で、このコンテンツをご用意させていただきました!
ウォーーーーーーーーーーー!
龍太郎:『え?嘘だろ!?聞いてないぞ!』
では、グリードとリュウタロウはその場に残ってください!
ユエとスーラジは、会場の外に退出お願いします!
龍太郎:『はぁ!?本当に聞いてないぞ!』
龍太郎以外の3人は、事前に聞いていたみたいで、さほど驚いた様子はなく、淡々と行動を起こしていた。
グリードに関しては、むしろニヤリと表情に笑みを浮かべていた。
それでは、準備が整いました。
レディースアンドジェントルマン!
イーーーッツ ターイム!
本日のスペシャルエキジビジョンマッチ!
猛獣王グリード・キング 対 謎王リュウタロウ・テンドウの模擬戦を開始します!
龍太郎は、ここで完全に騙されたことに気付いた。
龍太郎:「クソっ!マジでやられた!
そういうことかよ!グリード!!」
ここで初めてグリードも口を開いた。
グリード:「おい!チビ猿!ファイブスターになったからって調子に乗るなよ!
お前と俺の格の違いを見せてやるからな。」
両者!構えて!
グリードはやる気満々。手加減する気はなさそうだ。
リュウタロウも仕方なく構えを取った。
全世界ライブ配信で、今まさにグリードと龍太郎の天下一武道会が始まろうとしていた。
◇◇◇◇◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます