第120話 セカンドインパクト2

 ◇◇◇◇◇


 日本探検者協会本部の会議室にて。

 工藤、野神、三上の3名が集結している。


野神:「工藤。乃亜。これがリストよ。

 全国で総勢48名。かなり減少したわ。」


◎現スキルホルダーリスト

 渋谷:百地景虎〈カーバンクル〉

 渋谷:如月琴音〈カーバンクル〉

 渋谷:蜂須賀亜蘭〈カーバンクル〉

 渋谷:片桐ジェシカ〈国士無双〉

 渋谷:周央幸雄〈国士無双〉

 渋谷:国立鉄男〈国士無双〉

 渋谷:・・・・〈国士無双〉

 渋谷:・・・・〈国士無双〉

 渋谷:天堂龍太郎〈ネオ・ダイアモンズ〉

 渋谷:高梨玲奈〈ネオ・ダイアモンズ〉

 渋谷:百枝華那〈ネオ・ダイアモンズ〉

 渋谷:玉置詩音〈ネオ・ダイアモンズ〉

 渋谷:佐々島亜実花〈ネオ・ダイアモンズ〉

 渋谷:夢咲カレン〈ネオ・ダイアモンズ〉

 渋谷:早乙女美紅〈ネオ・ダイアモンズ〉

 渋谷:月城麗香〈パラドール〉

 渋谷:・・・・

 渋谷:鶴岡甚八〈鶴太郎〉

 渋谷:・・・・

 渋谷:叶英莉花〈エロティカ・シスターズ〉

 渋谷:叶世莉花〈エロティカ・シスターズ〉

 渋谷:喜多川北斗(渡米中)

 渋谷:喜多川南斗(渡米中)

 渋谷:宝生舞夢(服役中)

 渋谷:北条源三(協会)

 渋谷:望月千代(協会)

 梅田:御剣京介〈スカイピア〉

 梅田:葉月静華〈スカイピア〉

 梅田:・・・・

 梅田:・・・・

 梅田:・・・・

 梅田:・・・・

 梅田:・・・・

 梅田:・・・・

 栄 :風魔宇宙〈電撃シャチホコ〉

 栄 :・・・・

 栄 :本玉亜里珠〈ラビットラビリンス〉

 栄 :・・・・

 栄 :・・・・

 栄 :・・・・

 札幌:雫石萌乃〈ホワイトリリー〉

 札幌:・・・・

 札幌:榎本伊庵〈五稜郭ドリーム〉

 札幌:・・・・

 天神:城之内遥香〈水鏡〉

 天神:・・・・

 天神:黒田勘九郎〈クロカン〉

 天神:・・・・



工藤:「48人かよ。減りに減ったな。

 エクスプローラだけでも3000人以上はいたよな?」


野神:「ええ…3233人。スキルホルダーなら5000人はいたはずよ。それが48人。

 もう、今までの様にはいかないわね。」


三上:「エクスプローラ以外のスキルホルダーも調査したのよね?」


野神:「わかっている範囲だけどね。

 全員にヒアリングをかけたわ。

 でも、エクスプローラ以外でスキルが残っていたのは、ほとんどいなかったわ。」


工藤:「そうだろうな。このリストを見てもトップランカーがほとんどだからな。

 何か条件があるんだろうな。」


三上:「そう。渋谷管轄が多いわね?」


野神:「そうね。旧横浜管轄が加わっているから他より多いのはそうなんだけど、それにしても約半数は渋谷管轄よね。」


工藤:「野神のお気に入りのネオ・ダイアモンズは全員が残ってるな。

 天堂は、あの異常さだから分かるとして、他のメンバーもどうなってんだ。」


野神:「天堂くんのせいだと思うわ。

 あの子達、全員がレベル10になってたわ。

 天堂くんはレベル22よ。」


工藤:「マジか?そんなに早く上がるもんなのか?天堂含めて、数ヶ月前までは確かDランクで、しかもかなり底の方だったよな?

 天堂が絡むと異常になるってことか。」


野神:「まあ、こちらとしては、良い方向の異常だけどね。」


工藤:「それで今後のことだな?」


野神:「ええ。スキルが無くなったエクスプローラは相当ショックを受けているわね。

 ヒアリングでも、かなり困ったわ。

 それで……。」


工藤:「ああ。それは野神の案でOKだ。

 協会のプールしているものを捻出すればなんとかなるんだろ?だったらそれでいい。

 それに国からの補填も了承を得たぞ。

 もう少し上乗せしても大丈夫だ。」


野神:「そう。ありがとう。

 じゃあ、もう一度、計画書を修正してみるわ。後で提出するわね。」


工藤:「ああ。あとは、管轄の再編の件だな。

 三上。ゲートの件はお前の言う通りにしようと思う。」


三上:「ええ。これを機に早めに手を打っておくのがいいと思うわ。」


工藤:「じゃあ、管轄再編も野神の案でOKだな。」


野神:「今回は、異動が多いから細かいところは個別に対応するわ。」


工藤:「オーケー。じゃあ、準備するか。

 野神。世界緊急会議はいつになるんだ?」


野神:「まだ、連絡は来ていないけど、そろそろじゃないかしら?」


工藤:「まあいいや。それは任せるからな。」


野神:「言われなくてもそうします。

 工藤には無理でしょ?」


工藤:「ああ、無理。頼む。」


 このあと、協会は決定事項に沿って準備に入った。今回はやることが目白押しだ。職員は昼夜問わず、準備作業を進めていった。



 ◇◇◇◇◇



 後日、協会主催で説明会が開催された。

 元を含めて全エクスプローラが参加してのWEB会議である。


野神:『今日はお集まりいただきありがとうございます。

 これから説明会を開催させていただきます。

 今、ここには全エクスプローラの方たちが参加していますが、一部の方については、先日の異変にてスキルが消去された方もいらっしゃると思います。

 まずは、その方たちへのご連絡になります。

 

 本日を持って、自動的に引退になります。

 今まで本当にお疲れ様でした。』


 紗英は、余計なことはあえて言わない。

 それはどうしようもないことだから。


 WEB会議の向こう側では、涙を浮かべるものがほとんどであった。

 すでに覚悟はしていたが、協会からの決定事項として言われると、本当に探検者生活が終結したことを改めて理解した。

 多くは、探検を生き甲斐に生活していたものがほとんどで、悔しさと不安しかない。


野神:『なお、本日引退となった方々には、協会から補償を行うことといたしました。

 補償額については、これまでの活動に応じた金額を算出し、お支払いいたします。

 補償額の算出式と個人の保証金額については、今お送りした資料に記載してあります。

 それをご確認いただき、こちらを第二の人生にお役立ていただければ幸いです。』


 たった今、送られてきた添付資料の補償額を確認した元エクスプローラは、その金額の大きさに少し驚いているみたいだ。

 少しでも不安を払拭してもらえればと協会側は相当頑張って捻出した様だった。



野神:『それでは、ここからは現在のスキルホルダーの方たちへの連絡事項になります。

 先程、引退した方は抜けていただいて構いません。』


 ぱらぱらと抜け始めるものもいたが、興味があるのか、ほとんどの人はそのまま参加している様だった。



野神:『それでは、説明を続けます。

 まず、日本所属のスキルホルダーは調査の結果、48名に減少したことがわかりました。

 こちらも対象の方にリストを送付しています。

 名前があることを確認してください。』


龍太郎:「48!?どんだけ減ってんだ!

 俺たち全員残ってるんだけど。」


カレン:「予想外に減ってんだね?」


華那:「リスト見ても、トップランカーばかりだよ。この中に入ってるって嘘みたい。」


玲奈:「だよね。うちらだけ浮いてる。」



野神:『まず、現在、すべてのゲートが封鎖状態にあると思いますが、数日後行われる世界緊急会議の後、渋谷および梅田ゲートのみを開放することになります。

 よって、栄、札幌、天神の3つのゲートは永久に封鎖することとします。

 これは、先日の横浜ゲートと同様の兆候が見られていることにより、近日中に消滅の恐れがあり、早期に永久封鎖することに決定しました。』

 

龍太郎:「えー?またかよ!」


カレン:「でも、これは仕方ないよね?」


龍太郎:「まあ、そうか。

 同じことになっても、すごい時間がかかるしな。北海道とか、九州だとヤバいよな。」



野神:『3カ所のゲート永久封鎖に伴い、栄、札幌、天神管轄のエクスプローラは、梅田管轄への異動になります。

 渋谷、梅田管轄の方の異動はありません。

 なお、異動の要望に関しては受け付けますので、個別に協会登録課の方にお願いします。

 本日の説明会は以上になります。

 ありがとうございました。』


龍太郎:「なんか、すごいことになったな。」


カレン:「気にしても仕方がないよ。

 私たちは出来ることをするだけだよ。」


美紅:「そうですよ。

 もう48人しか居ないんですからね!

 嘘みたいだけど、その中の1人!

 ファンクラブの会員も増えるんじゃないですかね!グフフ。」


龍太郎:「お前。本当に刺されるぞ。」


美紅:「あんたの方がアンチ多いからね。」


龍太郎:「え?マジ?」


 渋谷管轄のエクスプローラは、特にすることもなく、クランハウスから出ることも出来ず、世界緊急会議までは、休養ということになった。


 そうして、2051年を迎えることになる。


 ◇◇◇◇◇

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