第106話 面会
◇◇◇◇◇
次の日の午前9時。
龍太郎とカレンは、協会本部に行くと、特別応接室に案内されて、部屋で待機していた。
特別応接室というだけあって、超豪華な造りになっていて、座っているソファもフカフカの本革仕様のものになっている。
テーブルの上には、コーヒーにモンブランも付いてちょっと嬉しい。
少し待っているとそこに紗英がやって来た。
野神:「お二人とも、ありがとね。」
龍太郎:「いつもの副会長室じゃないんだけど、今日はなんだ?」
野神:「副会長室には後で行くわ。
その前に面会を希望している人がいてね。
その人に会ってもらう予定なのよ。
当日になってごめんなさいね。」
龍太郎:「別にいいけど、面会って誰?」
野神:「AEA上級顧問のソフィアよ。」
龍太郎:「はぁ!?アメリカの人?
上級顧問って何?会って大丈夫なのか?
俺、英語とかまったく喋れないんだけど。
というか、俺って今、行方不明だよな?」
野神:「ソフィアは日本語ベラベラよ。
確か、4カ国語話せるって話よ。
それとAEAには、天堂くんが帰還したことはすでに知られていたわ。
もちろん、口外しないようには言ってるけどね。」
龍太郎:「むー。そうなのか。
で、その上級顧問様が何の用なんだ?」
野神:「それはわからない。
ただ、会うだけでいいってことなんだけど、ソフィアは、若くして上級顧問になった謎の人物なの。なんらかのスキルホルダーである可能性は高いわね。
その辺りは注意が必要だけど、天堂くんなら大丈夫よね?」
龍太郎:「エクスプローラではないのか?」
野神:「エクスプローラではないわ。
たぶん、非戦闘系スキルね。」
龍太郎:「うーん。何しに来たんだよ?」
カレン:「野神さん。この面会って断れなかったんですか?」
野神:「その辺りはいろいろあってね。
AEAとは同盟関係なのよ。」
カレン:「ああ。確か、アメリカ派と中国派で大きく二分化されてるんですよね?」
野神:「そうね。日本はアメリカ側なのよ。
まあ、これは歴史的な背景から仕方がないのよね。」
龍太郎:「へぇ。でもさ、同じアジアなんだから中国と同盟の方がいいんじゃないか?」
野神:「うーん……そうね。
そういう考えもあるわね。」
紗英もAEAには良い印象を持っていない。
かと言って、中国側に付くとなると、協会だけの問題ではなくなるというジレンマに陥っていた。本当ならどちら側にも付かずに中立を保ちたい所なのだが……。
野神:「まあ、とにかく10時にソフィアが、ここに来るからそれまではここでくつろいでいてちょうだい。」
龍太郎:「ああ、しゃーないな。」
紗英は、一旦応接室を出て行った。
◇◇◇◇◇
そして、午前10時少し前。約束の時間。
応接室には紗英に案内されたソフィアと思わしき人物が入って来た。
ソフィアは、入ってくるなり、いきなり龍太郎に近づいて握手を求めて来た。
ソフィア:「オー!ミスターテンドウ!
ナイストゥミートユー!」
ソフィアは、いかにもアメリカ人女性と言った振る舞いで声もリアクションも大きい。
容姿はウェーブがかかったブロンドの髪型に青い目をしている。
見た目は若くて、ものすごいゴージャスボディで露出が半端ない。お色気ムンムン。
これぞ、アメリカ女性と言った感じだ。
龍太郎もいきなり声を掛けられて、引き込まれそうになった。
龍太郎:「ア、アイムテンドウ?」
龍太郎も立ち上がって、差し出された右手に握手をした。
すると頭の中で機械音が始まった。
やっぱり、この人はスキルホルダーか。
〈ピピプピプ……他者の超能を確認!〉
〈超能【
ひえー!監獄って!ヤバそうなスキルだな!
もちろん!登録だ!カモン!
〈ピピプピプ……超能【監獄】を登録しました!〉
〈ピピプピプ……超能【監獄】の解放に成功しました。〉
〈ピピプピプ……超能王の効果により超能【監獄】を最適化します。〉
〈ピピプピプ……超能【監獄】は超能【
おー!監獄長!さらにヤバいぞ!
ふむふむ。よく分からん。
ソフィアはカレンとの挨拶も終え、龍太郎たちの前の席に座った。
野神:「それでソフィア。
天堂くんとは会った訳だし、他に何かあるのかしら?」
紗英は、もう目的は果たしたと思っている。
早々にお引き取り願いたいところだ。
ソフィア:「ソウネ。ミスターテンドウと2人になりたいです。」
紗英は、どうしようかと迷っていたが、そこに龍太郎から伝心による会話が流れて来た。
龍太郎:『野神さん。聞こえる?』
野神:『ええ、聞こえるわ。』
龍太郎:『やっぱり、この人はスキルホルダーだった。監獄って言うスキルみたいだ。
ちょっと危なそうだから、このあとは俺だけの方がいいと思うぞ。
ちょっと、聞きたいことがあるし。』
野神:『そうなの?
……じゃあ、お願い出来る?』
龍太郎:『オーケー。』
紗英は、龍太郎との伝心による会話で、納得したのか、ソフィアの要求を飲んだ。
野神:「わかったわ。ソフィア。
じゃあ、手短にお願いね。」
ソフィア:「イエス。すぐに終わりますよ。」
紗英とカレンが退席して、ソフィアと龍太郎の二人が応接室に残った。
ソフィアは、じっと龍太郎を見ているだけで、何も喋らない。
龍太郎:『アイちゃん!万が一の時はよろしく!』
AI:〈オッケー!〉
さらに影武者龍次郎も横に待機。
龍太郎:『龍次郎も頼むぞ!』
龍次郎:『オッケー!』
ソフィアは、ニコリと微笑み、龍太郎に話しかける。
ソフィア:「ミスターテンドウ。
大丈夫。すぐに終わりますよ!
リーラックス。リーラックス。」
そろそろ仕掛けてくるか?
ソフィアが、龍太郎の目をじっと見つめてスキルを発動した。
ふふふ。それじゃあ、行きましょうか。
あなたを監獄にお連れしますよ。
そして、ソフィアと龍太郎は、全身の力が抜けて、そのままソファの上で気を失った。
龍太郎は、夢の中にいるような感覚で、突然、監獄の中?に閉じ込められている。
頭はしっかりと働いているが、体がまったく動かない。手足が拘束されている様だ。
しかも、全裸になってる!ちんこ丸出し!
ソフィア:「ようこそ。我がテリトリーへ。
気分はどうかしら?」
監獄の檻の外には、ソフィアが立っている。
ソフィアは、全身が黒皮のボンテージに身を包み、頭には黒皮の官帽、手には黒い鞭を持っていた。
見るからにエロ看守長と言った風貌だ。
もはや、コスプレプレイ!
龍太郎:「なるほど。こういうスキルか?」
龍太郎は冷静に様子を見ている。
ちんこ丸出しなのに、堂々としたものだ。
ソフィア:「あれ?驚いてないみたいね?
普通は怒ったり騒いだりするんだけど。」
龍太郎:「なあ、ここってどこだ?」
ソフィア:「ちょっと冷静すぎない?
まあいいわ。ここはどこって?…知らない。
私のスキルの中じゃない?」
龍太郎:「ふーん、それじゃあ、このスキルってどんなことが出来るんだ?」
ソフィア:「やけに冷静に質問するわね?
言ったでしょ?ここは私のテリトリー。
あなたは私に逆らえないのよ。」
龍太郎:「そういうことか。
それでお前は俺に何をするつもりだ?」
ソフィア:「本当にあなた何?怖くないの?」
龍太郎:「うーん。たぶん、大丈夫。」
ソフィア:「ガクっ!まあいいわ。
その内に私に助けを乞うことになるから。
それじゃあ、尋問を始めましょうか?」
ソフィアは、手に持った鞭をペンペンしながら、檻の扉を開けて、中に入って来た。
ソフィア:「言っておくけど、ここでの時間は外の時間の何百倍、何千倍も長いわよ。
だから、外の世界で異変に気づくことはまずないからね。
それと、ここでの行動は外の実体に影響を与えることは出来ないけど、精神的に快楽と苦痛を与えることが出来るのよ。ふふふ。
じゃあ、ゆっくり、楽しみましょうね。」
ソフィアは、そう言って無抵抗の龍太郎の頭をゆっくりと撫で回している。
ほぅ。なるほど、そういうことか!
だから、外の龍次郎も気づいてないのか。
でもでも、俺にはアイちゃんがいるからな!
全然、問題ナッシングな!はっはっは!
龍太郎:『アイちゃん!』
……あれ?なんで?聞こえてないのか?
龍太郎:『おーい!アイちゃーん!!』
シーーーーン。
えーーー!?嘘ーん!これって想定外!?
龍太郎の額から冷や汗がたらり。
龍太郎:「ちょっと、ソフィアさん!
タイム!タイム!ちょっと待って〜!」
ソフィア:「ふふふ。やっと、自分の置かれている状況を把握した様ね?
楽しくなって来たわ!これよ!これ!」
ソフィアは、龍太郎の焦った表情を見て、舌なめずりをして、鞭をペチペチ興奮している。
実はそういう趣味を持った人です。
龍太郎は、結局、ソフィアの罠に嵌ってしまい、窮地に陥ってしまった。
龍太郎:「いやいや!待ってくれって!」
そして、龍太郎はちんこ丸出しのまま、ソフィアの尋問が始まった……。
◇◇◇◇◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます