第105話 久しぶりの休日
◇◇◇◇◇
紗英は、龍太郎に会った後、協会本部に戻っていた。
秘書:「野神さん。ハワード会長からお電話です。」
紗英:「またなの?しつこいわね。繋いで。」
紗英は、ハワードからの電話に出た。
用件は分かっている。
ハワード:『ハロー。ミスノガミ。
ミスターテンドウはジャパンの副会長に就任したそうだな。やってくれるじゃないか?』
紗英:「ええ。その辺りはアメリカを見習ってそうさせてもらいました。」
ハワード:『ふ、なるほどな。まあいい。
ソフィアはすでにジャパンに着いて待機しているぞ。面会はどうなった?』
紗英:「少し待ってもらえるかしら。
天堂くんの都合が付き次第、そちらに連絡させてもらいますから。」
ハワード:『ほぅ。表向き、彼は行方不明だったかな?』
紗英:「その口振りだと、そちらは何か情報を掴んでいるのかしら?」
ハワード:『そうだな。我々の情報網を舐めてもらっては困るな。
すでにミスターテンドウが、こちらの世界にに戻って来ていることは把握しているよ。ミスノガミ。』
なるほど。流石はAEAね。
予想外に早かったわね。
紗英:「なら、隠しても仕方ないわね。
ええ。天堂くんは戻って来ています。
くれぐれも外に漏れないようにお願いしますね。」
ハワード:『ああ、わかっている。
では、面会は明日でいいな?』
このオッサン、本当に強引ね。まったく。
天堂くんの帰還情報と交換条件ってことよね。本当に腹が立つわ。
紗英:「ええ。もちろんです。
ただ、これから明日というのは急なので、明後日の午前10時にこちらに来るようにソフィアの伝えていただけますか?」
ハワード:『ああ、わかった。それでいい。
では頼むよ。』
用件を済ませるとさっさと一方的に電話を切るハワード。こういうところも紗英を腹立たせる一因であった。
ふふふふふ。
紗英の専属秘書は、紗英の笑いながら引き攣った表情に声をかけられないでいた……。
◇◇◇◇◇
翌日のクランハウスAー103。
龍太郎とカレンは、いろんな荷物の受け取りに大忙しだ。
というのも、昨日の話で、善は急げとばかりに、当分クランハウスに住むことになった龍太郎の家具や備品、筋トレ用器具を次々とネットショップで注文していた。
各自、寄ってたかって、いろんな注文をしたので、誰が何を注文したのか、把握するのに大変だった。
この辺りは、夢咲さんがまとめてくれたので助かったが、早乙女さんだけは、しょーもないもんばっかり頼みやがる。
それに、しれっと自分の欲しいものとかも注文してたりしたものだから、みんなにも欲しいものがあったら、買っていいと言ったばっかりに、ここぞとばかりにみんなで遠慮なしにネットショッピング大会となってしまった。
金額的には全然余裕なので構わないが、受け取りが大変なんだよ。
それと俺の部屋だが、クランハウス最上階の一番広い部屋を当てがってくれた。
夢咲さんが、もともと俺が来た時のために、そこは空けておいたらしい。
通常、クラン代表のための部屋ではあるらしいが、夢咲さんの配慮には、頭が下がる。
基本、寝るだけの部屋なので、筋トレ用器具が多めに届くようにした。
それがないと、暇で仕方がない。
趣味、筋トレオンリーの男なのですから!
マイトレーニングルーム!夢のようだぜ!
それと、クランハウスには、現在、俺と夢咲さんの二人しかいない。
他のメンバーは?と言うと。
軍資金が手に入ったので、ゲート内の販売ショップにお買い物に出掛けている。
協会に聞いたら、販売ショップはもう通常営業中だとか。
源さんかお千代さんかはわからないが、どうせ店でくつろいでるんだろうな。
という訳で!
ついに、彼女たちも装備をグレードアップする日が来たのだ!
彼女たちには、出来るだけ良いものを揃えるように言ってある。
マジックアイテム装備なのは必須で、デザインにこだわっても余りある軍資金である。
いやー!どんな装備になっているか、今から楽しみだ。
旧ダイアモンズの4人組に関しては、自分のお気に入りのカラーにこだわりがあるらしく、そこは譲れないのだとか。しょーもない。
早乙女さんも、一緒について行ったのだが、借金を返済しても、まだ余裕はあるので、こちらも思い切ってマジックアイテム装備にグレードアップするつもりらしい。
それには俺も賛成だ。
みんな、掘り出し物があれば、良いけどね。
なんと言っても、装備は大事だ。
装備は命に直結するアイテムだ。
お金より、まずは装備。これ大事!
装備が整えば、それからお金は稼ぐことができる。また、貯めれば良いのだ。
でもさ。クラン全員がマジックアイテム装備とか、ちょっと凄すぎない?
今から、ワクワクしちゃうよね!
俺は頂き物だけど、かなり良い装備がある。
夢咲さんのは、最上級の装備だ。
だから、俺たちは買い替える必要はない。
長くなったが、今はクランハウスで、俺と夢咲さんの二人きりの休日なのである。
カレン:「これでだいたい、運び込んだんじゃない?」
龍太郎:「ああ、サンキュ!助かった。」
カレン:「ちょっと、お茶にしよっか?」
龍太郎:「そうだな。コーヒーでいいか?」
カレン:「うん。それとモンブランね!ふふふ。」
龍太郎:「ああ、一択だな!」
二人は、一階のソファに座って、コーヒーとモンブランの休憩タイムに突入!
うーん、やっぱり一択だな。美味い!
龍太郎:「あ!そうだ。さっき、野神さんから連絡あって、明日の午前9時に夢咲さんと一緒に来てくれって。」
カレン:「うん。了解。
たまにって言ってたのに、いきなりだね?」
龍太郎:「なんか、先が思いやられるよな。
頻繁に呼ばれそうな。」
カレン:「でも、ちょっと笑っちゃうね。
天堂くんが副会長で、私が専属秘書だって。
しかも、二人とも役員だって。
私たちが出会った頃からすると、想像出来なかったよね。」
龍太郎:「ああ。あの時は変な宗教だと思ってたからな。」
カレン:「そういうことじゃなくって!
私たちって、エクスプローラの中でも底辺だったじゃない?」
龍太郎:「ああ、そっちか。
夢咲さんは底辺じゃなかったような。
俺はバリバリのど底辺だったけどな。」
カレン:「今はAランククランだよ。
やっぱり、私の直感ってすごい(笑)」
龍太郎:「それは感謝してるぞ。
その頃から、なんかいろいろあったなぁ。
人生が変わったって感じだよ。」
カレン:「私の方がもっと感謝してるよ。
天堂くんと出会ってなかったら、どうなってたんだろう?」
龍太郎:「夢咲さんは、大丈夫じゃない?
もともと女神だしさ。」
カレン:「そんなことないよ。
自分でもビックリするくらい変わったと思うよ。」
龍太郎:「そうなのか?」
カレン:「うん。変わったよ。
あのさ。前から思ってたんだけど、私たちって付き合って結構経ったじゃない?
なのに、未だに天堂くんと夢咲さんって、なんか、よそよそしくない?」
龍太郎:「そうか?別に思ったことないぞ。」
カレン:「だからさ。私のことは、カレンって呼んでよ。私も龍太郎って呼ぶから。」
龍太郎:「俺のことは龍太郎でも全然いいけど、カレンって呼ぶのはちょっとなぁ。」
カレン:「嫌なの?」
龍太郎:「嫌ではないけど……嫌ではない。」
カレン:「じゃあ、決まりね。龍太郎!」
龍太郎:「わかった。カ、カレン。
って小っ恥ずかしい(笑)」
カレン:「すぐに慣れるよ。龍太郎!」
なんだ?この感じは!?
小悪魔だ。いや、女神か。
前の〈アレ〉からすごく気になってたんだけど、無理だとわかってても、本気で好きになりそうだ。ヤバ。マジでヤバい!
マジで恋する5秒前……。あ!ヒロスエ?
◇◇◇◇◇
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