第89話 ミズシマダンジョン2

 ◇◇◇◇◇


 次の日の朝。

 龍太郎がいつものようにデスガ150を飛ばしてクランハウスに通常出勤。5分前集合!

 すでに他のメンバー6名も準備万端。


 新生ネオ・ダイアモンズの探検初日。

 みんなで異世界ゲートを通って、販売ショップ前から近くの岩陰に集合。


龍太郎:「夢咲さん、早乙女さん。

 今からミズシマダンジョンに行くけど、転移して行くからな。」


カレン・美紅:「「転移!?」」

カレン:「天堂くん。そんなスキル持ってるの?」


龍太郎:「ああ、すごい?

 これで一瞬でミズシマダンジョンに行けるんだぞ。時短モードだな。」


カレン:「うへー!それはすごいね。」


龍太郎:「同伴転移で行くからな。

 これって条件があるんだよな。

 ちょっと言いにくいんだけど。」


カレン:「条件って何?」


龍太郎:「まずは全員の装備を外す。」


カレン:「装備を外す?」


龍太郎:「ああ、俺はいいんだけど、同伴転移の場合、密着度が関係してるみたいでさ。」


カレン:「密着度?」


龍太郎:「そうなんだよ。簡単に言うとまあなんと言うか……ハグ?」


カレン・美紅:「「ハグ!?」」


美紅:「それってあんたがハグしたいだけなんじゃないの!?」


龍太郎:「違う!断じて俺の願望ではない!」


美紅:「本当なのぉ?」


 美紅はジト目で龍太郎を見ている。


龍太郎:「もう、お前はいい。走って来い!」


美紅:「わかったわよ!もう!」



龍太郎:「で、華那たちは一回行ってるから分かってるんだけど、俺のスキルに〈収納箱〉ってのがあって、これで装備を格納するからな!

 一瞬だぞ。」


カレン:「へぇ。またまたすごいスキル!

 天堂くんってすごく進歩してるよね。」


龍太郎:「そうだろ!むふん。」


 鼻高々の龍太郎くん。



玲奈:「あ!カレンちゃん!聞いて!聞いて!

 この前さぁ。私たちの装備を格納してもらったんだけど……。」


龍太郎:「わぁ!やめれ!」


 龍太郎が焦っている。この前の件だ。


亜実花:「スッポンポン!スポポポポン!って!」


龍太郎:「わぁ!マジやめれ〜!」


カレン:「え?どういうこと?」


 カレンには言ってる意味がわからない。


華那:「でね。この前ね。先生が私たちの装備だけじゃなくて、服装もすべて格納しちゃってさぁ。」

詩音:「そうそう。私たち、ここで見ぐるみ剥がされたんだよ!」

玲奈:「そうそう。全裸家族!恥ずかしかった〜!」

亜実花:「で、なんか、スポポポポン!って変な音楽も流れてくるし……。」


 これには、カレンも龍太郎をジト目で見ている。

 いやーん!そんな目で見ないで〜!


カレン:「天堂くん!そういうことしちゃうんだ?」


龍太郎:「いや!あれは完全に事故でして……。」


美紅:「あんた……やっぱりムッツリ変態チェリ男だったわね。」


龍太郎:「だから〜!知っててやったわけじゃないんだって!誤解だー!」


華那:「でも、私たちの全裸見てたでしょ?」

玲奈:「見てた見てた!」

詩音:「完全に見られてたよね?」

亜実花:「いやーん!先生のエッチ〜!」


 こいつら〜!完全に面白がってるし!


カレン:「天堂くん!見てたの!?」


龍太郎:「それは……。」


 なんで?夢咲さんの顔が怖い。


カレン:「誰を見てたの!?」


 迫り来る夢咲さん!


龍太郎:「うぅ。誰って……。

 ああ、見てたよ!見て何が悪い!」


カレン:「な!天堂くん!開き直ったね!

 じゃあ、私のも見なさいよ!

 ほら、早く!全部格納しなさいよ!」


龍太郎:「え?ちょ、ちょっと待った!」


 なんか、夢咲さんが壊れてる!

 龍太郎に詰め寄ってる!


美紅:「カレンさん!カレンさん!」


 流石に美紅が止めに入ったが……。


カレン:「美紅ちゃん何なの?文句あるの?」


美紅:「いえ、ないですけど〜。」


 怖ぇ!これが本来の夢咲さんだ。

 今まで油断してた!本性が出てるぞ!

 眠れる獅子を叩き起こしてしまったぞ!


カレン:「天堂くん!早くしなさいよ!」


龍太郎:「夢咲さん。落ち着いてくれ!

 俺が悪い!悪かった!頼む!」


カレン:「天堂くん。この際、はっきりしようよ。

 この中で誰が一番なの?」


龍太郎:「え?なんで?」


AI:〈マスター。ここは豪運娘って答えるんだよ。

 ここ間違えたら修羅場だからね。〉


龍太郎:『なんで?どういうこと?』


AI:〈いいから、そうしなよ。〉


 龍太郎は意味がよくわからないのだが、カレンの顔が近い。怖い。


龍太郎:「えーっと。もちろん、夢咲さんだ。」


 なんなんだ、これは?


カレン:「ふーん。そっか。そうだよね。

 ま、天堂くんも男の子だからね。

 でも、天堂くん!もうしたらダメだよ。」


 あれ?落ち着いた?

 よくわからないが、アイちゃんスゲー!

 夢咲さんも負けず嫌いだよな?

 変なプライドだよなぁ。


龍太郎:「ああ、もちろん。もうしないぞ。」


 この状況を見て、4人娘だけでヒソヒソ話をしている。


華那:「カレンちゃんって、こんな一面もあるんだね?」

亜実花:「ちょっと怖かったよね。」

詩音:「でも、これってやっぱやきもちだよね?」

玲奈:「それしかないでしょ?」

華那:「そうだよねぇ。」

玲奈:「どうする?」

華那:「どうするって?」

玲奈:「私たちも参戦する?」

詩音:「いや、たぶん先生が気づいてないみたいだから今は様子見じゃない?」

玲奈:「本当に鈍感だよね。」

華那:「ほんと、先生らしいんだけどね。」

玲奈:「でも、カレンちゃんじゃ、こっちは不利だよね。」

亜実花:「なんで、先生なのかなぁ。」

玲奈:「それ言ったら、私たちもじゃない?」

亜実花:「そっか。確かに。」

玲奈:「なんだかなぁ。」


 美紅が4人娘に声をかけた。


美紅:「もう行くみたいだよ!」


4人娘:「「「「はーい!」」」」



 ◇◇◇◇◇



 みんなの装備を無事に無事故?で格納して、一人ずつ同伴転移していってる。


カレン:「ねえ、天堂くん。これって本当に抱きつく必要あるの?」


龍太郎:「ああ。少なくとも装備をつけたままだと、密着度が足りなくって、俺だけ行っちゃうんだよな。」


カレン:「うーん。なら、仕方ないね。」


 やっぱ、夢咲さん不満そうだな。

 でも、仕方ないんだよなぁ。


龍太郎:「次、夢咲さんでいいか?」


カレン:「うん、いいよ。」


 カレンは、龍太郎にギュッと抱きついた!

 不満そうな割には、思いっきり抱きついている。2つのたわわな果実が潰れるくらいに。



 やっぱ、夢咲さんだと他の人より緊張するよなぁ。それに超バズーカだし……。これは変な気持ちになりそう。ヤバ!



 最後に美紅が同伴転移をして、無事に全員がミズシマダンジョン前に到着した。


 美紅は、最後までずーっと何やらぶつぶつ文句を言ってた。

 こいつは本当にめんどくさい。

 本当に一人だけ走ってきて欲しい。



 ◇◇◇◇◇



龍太郎:「よし!全員着いたな!

 それじゃ、ミズシマダンジョンでレベル上げ再開じゃ!いざ、出陣!

 相手はゴブリンズだ。油断せずに行こう!」


全員:「「「「「「おー!」」」」」」


 龍太郎たち総勢7名は、この後すぐにミズシマダンジョンに入っていった。

 このクランも結構大きくなったよな!


 相変わらず、龍次郎には別行動でレベル上げとマッピングをお願いしている。


 こちら側は、例の如くみんなに鼓舞を掛けて、かつ、重力操作も併用。


 夢咲さんと早乙女さんも問題なく、ゴブリンズ討伐に参加できている。


カレン:「なんか、すごく強くなった気がするね!」

美紅:「はい、これが天堂さん効果かぁ。

 流石にこれはチートだわ。

 華那さんたちの急激なレベルアップも頷けますねぇ。」

カレン:「そうだね!なんか楽しくなってきた。」

美紅:「はい、全然いけますね!」


 ちょっと、君たち、初ゴブリンズですよね?

 コノヒトタチ、ダイジョウブナンデスカ?


 うーん。免疫力が違うのかなぁ?


 みんな順調にゴブリンズ討伐を継続中。

 その日のうちに、夢咲さんも早々とレベル5に到達!


 これで全員がレベル5だな!


 それからも日々、ミズシマダンジョン第一階層でレベル上げ上げ奮闘中です。


 龍次郎のマッピングも進み、第二階層の入り口を発見。

 ただし、龍次郎には、そのまま第一階層に留まるように依頼。討伐継続中。

 どうせ、自分で行かないとスキル鑑定できないし急ぐ必要はない。


 そして、さらに数日が経過し、みんなのレベルが6に上がったぜ!

 ゴブリンズ討伐は、レベルアップも早い。

 国内ランキングも順調に上がってきてるし、モンスターコアの売却で資金もウハウハ。


 その日も、順調に討伐をこなして意気揚々と帰還し、クランハウスに到着すると意外な人物の来訪があった。


 え?なんで?何しに来たの?


 ◇◇◇◇◇

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