第76話 ファーストダンジョン6

 ◇◇◇◇◇


 扉を開けてボス部屋の中に入る。

 さっき来たばかりなのだが、さっきよりさらに緊張が走る。


 後ろの扉がゆっくり閉じて、ゆっくりと中央のドッペルゲンガーが現れる。

 

 超覇気ダブルマックス!!


 2周目は流石に気絶というわけにはいかないみたいだ。レベル50には効かないか。

 レベル50の俺か。いつのことやら?


龍太郎:『よっしゃ!龍次郎!』


 龍次郎が先制攻撃でまたもや首筋に致命傷を与えた。

 やはり、隠密だと察知されないのはありがたい。

 俺への攻撃は続くが、なんとか耐えられないことはない。

 こっちは鼓舞と俊速と重力操作でスピードを上げてるし、さらに重力操作でドッペルゲンガーのスピードを下げている。


 今のところ、スピード勝負なら負けてない。

 むしろ、こちらに分があるくらいだ。


 龍太郎はひたすら攻撃を躱すことに専念、龍次郎に攻撃は任せている。


 よっしゃ!負ける気がしねぇ!


 ズルいとは思うが、スキルなしでレベル50に勝てるわけがない。これは作戦だ。


 通常であれば、レベル50とレベル10では、大人のトラと子どものウサギほどの差があるらしい。(アイちゃん情報)


 ただし、あくまでスキル抜きの話。


 その差は確実に埋まってる。

 子どものトラに凶暴なウサギ2匹くらいにはなってるはず。(龍太郎見解)


 龍次郎の攻撃、龍太郎の防御、すでに相手のダメージも蓄積されて相手の動きも鈍くなってきている。そろそろ最後かな。


 龍太郎もついに攻勢に出る。


 シャキーン!ズブ!


 ドッペルゲンガーは、地に崩れ落ちた!


龍太郎:「よっしゃ!勝ったど〜!」

龍次郎:「ほとんど、俺な!」


 そしてドッペルゲンガーは、光の粒となって消えていった。


 2周目の討伐成功!よっしゃ!


 あれ?うぷっ!なんで?さっきより酷い。

 またレベルアップ酔いあんの?


〈ピピピプッピ〜!レベルアップを確認!〉

〈個体強度がレベル11に上がりました!〉


〈ピピピプッピ〜!レベルアップを確認!〉

〈個体強度がレベル12に上がりました!〉


〈ピピピプッピ〜!レベルアップを確認!〉

〈個体強度がレベル13に上がりました!〉


〈ピピピプッピ〜!レベルアップを確認!〉

〈個体強度がレベル14に上がりました!〉


〈ピピピプッピ〜!レベルアップを確認!〉

〈個体強度がレベル15に上がりました!〉


〈ピピピプッピ〜!レベルアップを確認!〉

〈個体強度がレベル16に上がりました!〉


〈ピピピプッピ〜!レベルアップを確認!〉

〈個体強度がレベル17に上がりました!〉


〈ピピピプッピ〜!レベルアップを確認!〉

〈個体強度がレベル18に上がりました!〉


〈ピピピプッピ〜!レベルアップを確認!〉

〈個体強度がレベル19に上がりました!〉


〈ピピピプッピ〜!レベルアップを確認!〉

〈個体強度がレベル20に上がりました!〉


 あれ?嘘?レベル20!?

 今度は一気に10レベルもアップ!?

 もしかしてレベル50を討伐したからか?

 めっちゃ上がるやん!?うぷ。



〈個体強度の上昇により、超能【炎斬刃】の解放に成功しました。〉

〈ピピプピプ……超能王の効果により超能【炎斬刃】を最適化します。〉

〈ピピプピプ……超能【炎斬刃】は超能【黒炎斬刃こくえんざんじん】へと進化しました。〉


 うぷっ。物々しいことになって来たな!

 百地さんのスキル進化版だな。



〈個体強度の上昇により、超能【流星弾】の解放に成功しました。〉

〈ピピプピプ……超能王の効果により超能【流星弾】を最適化します。〉

〈ピピプピプ……超能【流星弾】は超能【大流星弾だいりゅうせいだん】へと進化しました。〉


 うぷっ。嘘!これもヤバそうなやつ!

 蜂須賀さんのスキル進化版だな。


〈個体強度の上昇により、超能【回復波】の解放に成功しました。〉


 えー!まだあるのか?

 もう空き枠が最後の1個だぞ!


〈ピピプピプ……超能王の効果により超能【回復波】を最適化します。〉

〈ピピプピプ……超能【回復波】は超能【治癒空間ちゆくうかん】へと進化しました。〉



 ふぅ。止まった。空き枠なくなったな。

 また、合成しないといけないぞ。

 でも、回復系スキルゲッチュ!

 琴姐さんの進化版か!

 これはデカい!一番欲しかったやつかも。

 これであいつらも多少やられても大丈夫!


龍太郎:「ってか、龍次郎!

 レベル20になっちゃったな。

 エクスプローラの基準がよくわからないけど、結構強くなってるんじゃないか?」


龍次郎:「それは俺に聞いても知らん。」


龍太郎:「そうだよな。あ!合成しないとな。」


龍次郎:「おぅ。とりあえず、部屋を出ようぜ。」


 今回は、ドロップアイテムがなかったので、そのまま部屋を出た。

 毎回、出るわけではないんだなぁ。残念。


 ステータスボード!


【個体情報】天堂龍太郎 20歳 人間族

【個体強度】レベル20

【固有超能】超能王

【解放超能】超覇気・支配・転移・収納箱・治癒空間・衝撃砲・旋回戦斬・龍武装・大流星弾・黒炎斬刃・重力操作・分身体・並列思考・隠密・鼓舞・伝心・剛拳・毒鉄砲・宙歩・俯瞰・俊速・浄化・分析・料理長

【解放魔術】火魔術Ⅰ・水魔術Ⅰ・風魔術Ⅰ・土魔術Ⅰ

【登録超能】豪運・召喚・光・闇・癒・心・擬態・封印・超会心


龍太郎:「難しいなぁ。何を合成すりゃいいんだ?全部、いいのばっかりだしな。」


龍次郎:「慎重に行けよ。」


 龍太郎、龍次郎、それにアイちゃんも加わって、スキル合成作戦会議。


 効果が似ている同系列と判定されるものが、合成可能となるみたいなので、そういう観点で合成してみた。主にアイちゃん頼み。


 【治癒空間】+【浄化】=【治癒浄化空間】


 【衝撃砲】+【剛拳】=【衝撃剛拳】


 【旋回戦斬】+【黒炎斬刃】=【黒炎旋回戦斬】


 【宙歩】+【俊速】=【飛翔ひしょう


 とまあ、なんとかすごくいい感じに仕上がったのだが、一つだけ失敗した合成がある。


 【分身体】+【並列思考】=【武者】

 →【武者】+【隠密】=【影武者】


 結局、影武者龍次郎がスキル統合された。

 失敗というのは、龍太郎自身が隠密状態になれなくなるという結果に。

 さらにその逆で、龍次郎はずっと影武者状態という結果に。

 なんでも混ぜると良くないという例だ。

 その他は一緒なので、まあ良しとしよう。



 ステータスボード!


【個体情報】天堂龍太郎 20歳 人間族

【個体強度】レベル20

【固有超能】超能王

【解放超能】超覇気・支配・影武者・転移・収納箱・治癒浄化空間・黒炎旋回戦斬・衝撃剛拳・龍武装・大流星弾・飛翔・重力操作・鼓舞・伝心・毒鉄砲・俯瞰・分析・料理長

【解放魔術】火魔術Ⅰ・水魔術Ⅰ・風魔術Ⅰ・土魔術Ⅰ

【登録超能】豪運・召喚・光・闇・癒・心・擬態・封印・超会心


 これでスキルは18個になった。

 空き枠が6個。これで当分大丈夫かなぁ?


 それにしても、今日はものすごく強化してるなぁ。この調子でどんどん強くなってやるぞ!


 転移ゲートを通ると第一階層に戻った。


AI:〈もういいよね?〉


 戻るや否やアイちゃんが呟いたが……。


龍太郎:「何が?」


AI:〈とぼけてるの?

 もうやめた方がいいよ。〉


龍太郎:「龍次郎!どう思う?」

龍次郎:「決まってるじゃん!」


AI:〈ちょっと!一人小芝居しないでよ!〉


龍太郎:「まだ、行けるって!」

龍次郎:「そうそう。ここでやめたら後悔する。」


AI:〈どんな神経してるんだか。〉


龍太郎:「アイちゃん。次が最後だから。

 次はあれ使うんだよ。」


AI:〈あれね……。ちゃんと効くのかな?〉


龍太郎:「俺の第六感が大丈夫と言ってる。」


AI:〈何、豪運娘みたいなこと言ってんの?〉


龍太郎:「じゃあ、次行ってみるか?」

龍次郎:「おぅ。行こうぜ!」


AI:〈もう、言うこと聞かないんだから!

 僕はどうなっても知らないからね!〉


龍太郎:「ああ、自己責任だ。」

龍次郎:「そう、自己責任だ。」


 龍太郎は、最後にレベル100ドッペルゲンガーに挑む覚悟ができている。

 流石にそれ以上は無理だと思っているみたいだが、もう一つ。


 龍太郎たちは、第3周目の挑戦に向けて、ボス部屋に転移した。


 ◇◇◇◇◇

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る