第74話 ファーストダンジョン4

 ◇◇◇◇◇


 よし!次いってみよう!次!


 龍太郎は、次はどの超能を合成しようかなぁ?と考えていた。


 毒手ってヤバいけど使い道むずかしいよな。

 これにするか?


 ただし、絶対に混ぜるとマズい組み合わせがあるな。料理長。ぷぷぷ。

 毒料理長とかになりそう。マジやべぇ!


 あとは催眠かな。これも使った事ないよな。

 よし、この2つにしてみるか。


 龍太郎は〈催眠〉を押した。


〈プピ……合成しますか?破棄しますか?〉


 おぅ!合成!


〈プピ……合成する超能を選択してください。〉


 龍太郎は、さっきと同じように〈毒手〉を押した。


〈プピ……超能【催眠】と超能【毒手】の合成は出来ません。〉


 へ?あらら?

 出来ない組み合わせがあるのかな?


 まあ、しゃーあない。他にしよっか。


〈合成は出来ません。〉

〈合成は出来ません。〉

〈合成は出来ません。〉


 なんやねん!

 結構、組み合わせに制約があるんかい!


 なんでも合成できるというわけではないみたいだ。


 これは、いらないものを混ぜるというより、組み合わせたあとに強化する方向で考えた方がいいな。ちゃんと考えないと。


 それから、どの組み合わせが良いのか、いろいろ試したところ、なんとか数個の合成に成功した。


 【指鉄砲】+【毒手】=【毒鉄砲どくてっぽう


 【洗脳】+【催眠】=【支配しはい


 【玄武装】+【強靭】=【龍武装りゅうぶそう


 【旋回斬】+【一刀両断】=【旋回戦斬せんかいせんざん


 これで一応合計5個の合成の成功し、スキルの強化に成功。

 超能枠も5個の余裕が出来たし、当分はこれで大丈夫だろう。


 ステータスボード!


【個体情報】天堂龍太郎 20歳 人間族

【個体強度】レベル4

【固有超能】超能王

【解放超能】超覇気・支配・収納箱・衝撃砲・旋回戦斬・龍武装・重力操作・分身体・並列思考・隠密・鼓舞・伝心・毒鉄砲・宙歩・俯瞰・俊速・浄化・分析・料理長

【解放魔術】火魔術Ⅰ・水魔術Ⅰ・風魔術Ⅰ・土魔術Ⅰ

【登録超能】豪運・召喚・光・闇・癒・心・封印・超会心・回復波・流星弾・炎斬刃・瞬間移動・拳骨


 うんうん。良い感じ!良い感じ!


龍太郎:「おーい!もういいぞ!休憩終わりだ!」


4人娘:「「「「は〜い!」」」」



 ◇◇◇◇◇



 一方で単独で行動している影武者龍次郎も、やっと第三階層に続く転移ゲートを発見した。


龍次郎:『おーい!龍太郎!発見したぞ!』


龍太郎:『おー!サンキュ!ついに発見したな!』


龍次郎:『ちょっと休んだら、先に行くぞ!』


龍太郎:『ああ、わかった。よろしく!』


 休憩後、影武者龍次郎は単独で第三階層の移転ゲートに入った。


龍次郎:『おーい!龍太郎!

 いきなりボス部屋の前に来たぞ!』


龍太郎:『あら、そんな造りなんか?』


龍次郎:『見えてるか?』


龍太郎:『おぅ。すごい扉だな!

 まさにボス部屋って感じだな。』


 目の前には、大きくて豪華な扉がある。


龍次郎:『じゃあ、入ってみるぞ!

 ドッペルゲンガーがいるはずだ。』


龍太郎:『ああ、頼んだぞ!』


 影武者龍次郎は、その豪華な扉を開けて、ボス部屋の中に入っていった。


 部屋の中は、何もない殺風景な造りだが、外のダンジョンとは全く違う雰囲気で格闘場といった感じだ。

 入った反対側にはもう一つの扉があった。


 戦闘が終わるとあっちから出る感じかな?


龍次郎:『さあ、来いよ!ドッペルゲンガーさんよ!』


 シーン……。


龍次郎:『おい!意外に待たせる感じか?』


 シーン……。


 待てど暮らせど、ボス部屋は殺風景なまま、時間だけが過ぎていった。


龍次郎:『こら!めっちゃ待たせるやん!』


 5分経過。

 10分経過。


龍次郎:『アイちゃん。これ、どういうこと?』


AI:〈うん。たぶん、予想だけどマスター本人じゃないとダメなんじゃない?〉


 ガーン!!


龍次郎:『マジか?ショック大!』


 影武者龍次郎は、なんとも言えない顔でショックを隠しきれないでいた。


龍太郎:『龍次郎!一旦戻ってきてくれ!』


龍次郎:『ああ、わかった……。』


 影武者龍次郎はしょぼくれてる……。


龍太郎:『アイちゃん!マッピングは出来てるよな?』


AI:〈それは大丈夫だよ。〉


 たぶん、アイちゃんの予想は当たっているんだろう。

 これは作戦失敗だな。

 やっぱり、ノーリスクでは無理ってことだ。

 しかし、どうやって判定してるんだ?


 仕方なく、影武者龍次郎はアイちゃんのナビゲートの元、龍太郎に合流すべく来た道を引き返していった。



 ◇◇◇◇◇



 その頃、龍太郎たちメンバーは、ひたすらゴブリンズ討伐を実行中。


龍太郎:「レベルってなかなか上がらないんだな。」


華那:「今更だよね。

 私たち何年やってると思ってる?」


龍太郎:「そうだけど。俺も早く強くならないといけないし、お前たちも早く覚醒したいだろ?」


華那:「覚醒!したい!」


龍太郎:「じゃあ、頑張ってレベル上げるぞ!」


4人娘:「「「「おー!」」」」



 そうこうしていると、時間もだいぶ経って、ようやく龍太郎たちメンバーの元に影武者龍次郎が帰ってきた。


龍次郎:『龍太郎。戻ったぞ。』


龍太郎:『おぅ。お疲れ。』


龍次郎:『で、どうする?』


龍太郎:『予定が狂ったから、プランBに切り替える。

 今日はこのまま、こっちの狩りを続けるから待機していてくれ。』


龍次郎:『ああ、わかった。』


 龍太郎たちは、その後もゴブリンズを次々と狩っているが、探していたもう1種類のこの階層のレアモンスターには会うことはなかった。


龍太郎:「やっぱり、今日もレアモンスター見つからなかったな。」


華那:「そりゃあ、レアだからね。

 先生は、第一階層でレアモンスターにあったんだよね?」


龍太郎:「ああ、メタルスライムな。」


華那:「へぇ。いいなぁ。」


龍太郎:「この階層のレアモンスターはメタルゴブリンだったよな。」


華那:「うん、そうだよ。見たことはないけどね。」


龍太郎:「まだまだ、ここで狩りを続けるから、いつかは会えるんじゃないか?」


華那:「うん、そうだといいね!」


龍太郎:「じゃあ、今日はこれくらいで帰るぞ。」


4人娘:「「「「は〜い!」」」」


 アイちゃんナビゲートで最短コースでファーストダンジョンを出て、そこから休憩なしで地上をランニング!

 遅くなる前にクランハウスの前まで辿り着いた。


龍太郎:「みんな、お疲れ!

 俺はこのまま帰るからな。」


華那:「今日は遅くなったもんね。

 じゃあ、明日もお願いします。」


龍太郎:「あ、それだけど、明日は休養日にするから。

 ちょっと急用があってな。」


華那:「あ、そうなの?

 私たちはいいけど。」


龍太郎:「ああ、悪い。明後日、来るから。

 明日は休養しておいてくれ。」


華那:「うん、わかった。

 それじゃ、明後日、いつもの時間ね。」



 ◇◇◇◇◇



 次の日の朝、龍太郎は単独で異世界ゲートに入り、ファーストダンジョンに来ていた。


龍太郎:「ふ。ひさびさのソロだな。」


龍次郎:「ああ、俺がいるけどな。」


 龍太郎と影武者龍次郎でここに来たのは、今日は第三階層のボス部屋の初挑戦をするからだ。


龍太郎:「どんなになるんだろうな。

 情報からだと、俺がレベル4だから、レベル20の俺がいるってことだよな。」


龍次郎:「それ、ややこしいな。」


 龍太郎たちの目の前には豪華な扉がそびえている。


 ボス部屋は一旦入ってしまうとボスを討伐するか、探検者が全滅するまでその扉は開かない。まさに生死を賭けた挑戦になるのだ。

 レベル4で挑むのは普通だと死にに行くようなものだが、あえて行く理由があった。

 それはレベルアップの恩恵。

 あとは運が良ければ、ドロップアイテムをゲッチュできる。


 昨日までのプランは、影武者龍次郎単独でボス部屋に入り、ドッペルゲンガーの強さを確認しつつ、出来れば討伐してしまおう。という作戦だったが、それは出来ないことがわかったので、仕方なく龍太郎、龍次郎のペアで挑む形となった。これがプランBである。


龍太郎:「龍次郎、頼むぞ。

 負けたら死ぬからな。」


龍次郎:「ああ、わかってる。

 最初からマックスで行こうぜ!」


 龍太郎は目を瞑って精神を集中していた。

 一か八かの賭けだが、なんとなくだが、なんとかなりそうな気がする。

 龍太郎は、カッと眼を見開いて気合いを入れていつもより大きな声で叫んだ!


龍太郎:「龍次郎!!そろそろ、行くか!!」


龍次郎:「おぅ!!」


 龍太郎と影武者龍次郎は、目の前にある大きな扉を開いて、ボス部屋の中に入って行った。


 ◇◇◇◇◇

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