第69話 新クラン始動

 ◇◇◇◇◇


 今日から、龍太郎、華那、玲奈、詩音、亜実花の5人のパーティで探検に突入だ。


 龍太郎は、お祝いパーティが終わってから、一旦自分の家に戻って、次の日の朝にクランハウスに来ている。


 他のメンバーもちゃんと支度をして待っていたみたいだ。


龍太郎:「それじゃあ、行くぞ!

 ネオ・ダイアモンズ!

 今日はファーストダンジョンに行くからな!」


4人娘:「「「「はい!先生!」」」」


 なんか、気持ちいい!

 先生ってこんな気持ち?



 A地区からダンジョンゲートに移動してゲートから異世界に突入!


 一瞬にして景色が変わり、みんなの装備一式が装填される。


 うーん……。


 よく考えたら、こいつらの装備も考えないといけないな。

 俺はもらったマジックアイテム装備〈琴音バージョン〉があるからいいけど、みんな初期装備だもんな。


龍太郎:「よし!みんな。まずはショップに行くぞ!」


4人娘:「「「「は〜い!」」」」


 ぞろぞろとメンバーを引き連れて、販売ショップに入った。

 今日は、源さんが店番のようだ。


源三:「おぅ、小僧。今日は大人数だな。」


龍太郎:「おはよう。源さん。

 そう。こいつらは新しいメンバー。

 こっちから、華那、玲奈、詩音、亜実花だよ。」



 いつの間にか、龍太郎がメンバーを名前で呼んでいるが、昨日のパーティで華那から提案があり、名前呼びに変わっている。

 よそよそしいという理由らしい。

 半ば、強引に決まった。

 ちょっと酔っていたのも関係があるかもしれない。



4人娘:「「「「おはようございます。」」」」


 4人は深々とお辞儀をした。長くない?


源三:「おぅ。おはようさん。

 みんな、礼儀よくって気持ちがええのう。

 小僧とはえらい違いじゃ。

 ということは、小僧がリーダーか?」


龍太郎:「ああ、そうだ。

 どうだ?すごいだろ?」


源三:「それ大丈夫なんか?」


龍太郎:「え?何が?」


源三:「小僧はいいとして、この子達が大丈夫なのか?ってことじゃ。」


華那:「はい!それはもちろん大丈夫です。

 昨日、先生のクランに入れてもらいました!

 いろいろ教えてもらう予定です!」


源三:「どういうことじゃ?

 何があったんじゃ?

 先生って何じゃ?」


龍太郎:「源さん、昨日の大総選挙特番見てないのか?」


源三:「見てない。興味ない。」


龍太郎:「あっそう。じゃあ、教えてやるよ。

 俺が第一将持国天になったんだよ!」


源三:「はぁ!?小僧がか?」


龍太郎:「まあ、そうなるだろうな。

 でも、本当なんだよ。

 で、Aランククランを設立するために、こいつらに入ってもらったんだよ。」


源三:「ほぅ。これはまたえらいことになっとるのう。まあ、良かったじゃないかのう。」


龍太郎:「ああ。ありがと。

 で、源さん。こいつらの装備を変えたいんだけど、いいのある?」


源三:「4人か。予算は?」


龍太郎:「詩音。運営補助金ってどれくらいある?」


詩音:「あ、これくらいだけど。」


龍太郎:「源さん。その金額でいけるの見繕ってよ。」


源三:「ああ。ちょっと待っとけ。」


 源さんは何やら奥に行ってしまった。


詩音:「先生。源さんにタメ口って。」


龍太郎:「ああ。あんまり気にしてないと思うぞ。」


華那:「先生。運営補助金を全部使っちゃっていいの?」


龍太郎:「わからん。けど、いいんじゃね。」


華那:「いいならいいんだけど。ありがとね。」


 奥から源さんが戻って来た。


源三:「これでどうじゃ?」


 源さんは4つの色違いのプレートアーマーのようなメタル系の防具を持って来た。


源三:「まずは防具じゃろ。

 ちょっと予算は足りんが、残りは出しといてやる。その皮の胸当てよりはいいじゃろうて。

 強度のわりには軽いから、動きも今まで通り動けると思うぞ。」


龍太郎:「お!源さん、ナイス!サンキュ!」


4人娘:「「「「ありがとうございます!」」」」


 4人は気に入ったのか、すぐに防具を変えている。それぞれ色については好きな色があるらしく、揉めることなく決まった。


華那:「わー!本当だ。軽い!」

詩音:「なんか、強くなった気がしない?」

玲奈:「うん。なんかね〜!いい感じ!」

亜実花:「これ、この色、可愛い!」


 なんか、一人だけ感想が違うくね?


源三:「いいんじゃないかのう?」


 源さんは、孫を見るような顔になってるし。

 俺の時と全然違うんだけど!


華那:「源さん!ありがとうございます!」


源三:「うんうん。いいのう。」


龍太郎:「源さん!じゃあ、行ってくるわ。」


源三:「おぅ。行ってこい。

 お嬢ちゃんたちも気をつけてな。」


4人娘:「「「「はい!行ってきます!」」」」


 よし!装備は追々変えていくぞ。



 ショップを出ると、なんか見覚えのあるエクスプローラ2人がこっちを見ていた。


 目つきのやばそうな奴らだ。

 しかも、見るからに強そう!



龍太郎:『アイちゃん!あれ誰だっけ?』


AI〈喜多川兄弟だよ。

 座ってる方が北斗。立ってる方が南斗。〉


 げっ!なんでこんなところで会うの?

 なんとか、ここは無視していこう。


南斗:「おい!待ちなよ。」


 うわー?やっぱ俺だよな?


龍太郎:「はい?何の御用?」


北斗:「俺は喜多川北斗だ。こっちは南斗。

 知ってるよな?」


龍太郎:「はいはい。もちろん知ってるよ。」


 いえ。さっき、知りました……。


南斗「こいつが天堂かよ。えらい普通だな!

 装備だけは、いっちょまえってか。」


 こっちの南斗の方がやばそうだなぁ。


 と言ってる間に、南斗が一瞬で龍太郎との間合いをつめる動きをした。速い!

 龍太郎もそれを見て反射的に南斗との間合いを開けるために移動。危な!


南斗:「へぇ。お前、Dランクだよなぁ。

 俺の動きが見えてるのか?面白ぇな。」


北斗:「そうだな。これは掘り出しもんだな。

 天堂よ。お前、俺のクランに入る気はあるか?こっちもAランクだ。大丈夫だろ?」


 ちょっと!いきなりの勧誘?なんで俺?

 こいつら反社なんだよなぁ。怖いなぁ。


龍太郎:「いや、俺もクラン作ったばっかだからさ。やめとくよ。」


北斗:「20億でどうだ?」


龍太郎:「に、20億!?」


 何なの?そんなにお金持ち?

 20億って!大きすぎてよくわからん。

 そういえば、宝生も20億って言ってたな。

 朱美社長のところで稼いでるんか?

 例のヤバいアレだな。儲かってんなぁ。


 後ろの4人が不安そうに見てる。


龍太郎:「お金は欲しいけど、やめとくよ。」


北斗:「……そうか。まあいい。今日のところはな。

 まあ、考えておいてくれ。

 気が変わったら連絡をくれ。

 クランコードは、Aー101だ。」


龍太郎:「ああ。わかった。」


 ふぅ。良かった〜。

 ん?それだけのためにここに来た?なんで?


 おっと、立ち去る前にスキル鑑定を!


 ん〜?なんじゃこれ〜!?


 スキル鑑定の結果、北斗のスキルは〈竜人りゅうじん〉、南斗のスキルは〈虎人とらじん〉であった。


龍太郎:『アイちゃん!このスキルって?』


AI〈うん。僕もビックリしたよ!

 これは種族系レアスキルだよ。

 最も希少なレアスキルだね。

 しかも2人も一緒にいるなんてね。

 彼らは双子だからかなぁ。〉


龍太郎:『そうなのか?これが彼らの強さの秘密か?

 どんなスキルなんだろうな。』


AI:〈それはわからないね。

 でも、あまり近づかない方がいいかもね。〉


龍太郎:『ああ、そうするよ。』


 北斗と南斗がゆっくりとゲートから出て行くのを見送った。ふぅ。



龍太郎:「みんな、お待たせ。それじゃ、行くか!」


華那:「あー、怖かった〜!」

玲奈:「もう、ちびりそうだったよ!」

詩音:「あの人たち1位と2位の人だよね?」

亜実花:「圧がすごいよぅ。

 立ってるのがやっとだったよ!」


龍太郎:「ああ、確かにすごい圧だったな。」


華那:「先生……20億って言ってたけど、行かないよね?」

詩音:「私たちはここがいいんだけど。」

玲奈:「先生!どうなの?」

亜実花:「20億だって!桁が!」


龍太郎:「無理無理!行かないに決まってんだろ!

 俺だって20億はすごいと思うけど、身の丈に合ってないし、それに束縛されたくないし。

 たぶん、俺には合ってないことはわかる。」


華那:「そっかぁ!良かった〜!」

玲奈:「安心した〜!」

詩音:「やっぱ先生だね!」

亜実花:「うん。」


龍太郎:「この話は終わり。そろそろ行くぞ!

 じゃあ、みんなに鼓舞をかけるからな!

 急いで行くぞ!ついてこいよ!」


4人娘:「「「「は〜い!!」」」」


 いざ!ネオ・ダイアモンズ始動!!


 ◇◇◇◇◇

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