第68話 ネオ・ダイアモンズ

 ◇◇◇◇◇


 協会本部最上階の副会長室。


カレン:「とにかく、みんな座って。」


龍太郎:「早乙女さん、呼んでないんだけど。」


美紅:「いいじゃない!

 こんな機会滅多にないんだから。」


野神:「いいですよ。座って。」


 野神さん、優しい。


野神:「じゃあ、みんな揃ったんで、もう一度言いますね。

 今回、天堂くんが第一将持国天の称号を得た特典としてAランククランの設立をしてもらうことになりました。」


華那:「Aランククラン!?」

玲奈:「うそっ!?」

詩音:「じゃあ、私たちも?」

亜実花:「うわー!すご〜い!」


美紅:「ちょっと!聞いてないわよ。

 あんた、戻るんじゃなかったの?」


カレン:「美紅ちゃん。私たちはあとで合流するから。」


美紅:「そうなんですか。ふん。だったらいいわ。」


 こいつ、ややこしいな。

 黙って聞いとけ!このヤロー!


野神:「ふふふ。それじゃ今から登録するからね。

 クラン名は、ネオ・ダイアモンズ。

 天堂くんが代表で、メンバーは百枝さん、高梨さん、玉置さん、佐々島さんの4人ね。

 皆さんのIDカードを出してもらえるかしら?」


4人娘:「「「「は〜い!」」」」



 俺とダイアモンズ4人のIDカードを持って係の方が部屋を出て行った。


野神:「じゃあ、登録が終わるまで少し待ってましょう。」


華那:「ねえ、先生!クラン名ってそんなのでいいの?」


龍太郎:「ああ。勝手に決めて悪いけど、思いつかなくってな。」


華那:「ならいいけど。他の考えようか?」


龍太郎:「いや、いい。」


華那:「そっか。ありがと!嬉しいかも!

 で、クランハウスも変わるよね?

 私たち、引っ越ししないといけないんだよね?」


龍太郎:「ああ、そうだな。」


亜実花:「むー!楽しみ〜!」


龍太郎:「今日中に引越ししてしまおう。

 明日から潜りたいからな。」


玲奈:「うん。そうしよう!」


美紅:「あんたたち、いいわね。

 Aランクのクランハウスかぁ。」


カレン:「美紅ちゃん。ちょっとの間は辛抱ね。引っ越しは私も手伝うからね。」


華那:「カレンちゃんが手伝ってくれるの?

 すごいレアな感じ!

 先生に会えて良かった〜!」


 コンコン!ガチャ!


 登録を終えた係の方が戻って来た。


野神:「登録の手続き完了しましたよ。

 IDカードはお返ししますね。

 クランハウスはAー103が空いていたので、そちらにしました。

 メンバーの5人は登録済なので、いつでも入れますよ。

 一応、情報を確認しておきましょう。」


〈クラン:検索結果〉


【クラン】ネオ・ダイアモンズ

【登録日】2050年10月10日

【ランク】A

【代 表】天堂龍太郎(D:2600)

【メンバ】高梨玲奈(D:3108)

【メンバ】百枝華那(D:2132)

【メンバ】玉置詩音(D:3156)

【メンバ】佐々島亜実花(D:3188)


龍太郎:「おお。登録されてるな。

 ありがとうございます。

 しかし、みんなDランクだな(笑)

 じゃあ、行くか。」


4人娘:「「「「は〜い!」」」」


 未だかつてない、全員がDランクのAランククランの誕生だ。

 これも世間で注目を浴びるとか、浴びないとか……。



 ◇◇◇◇◇



 それから御一行様は、クランハウスのA地区に向かって歩いて行った。

 敷地内は造りが単純なので、迷うことはない。


 俺は2回目だけど、みんなは初めてらしく周りの景色に驚いている。


華那:「もう、別世界だよね。」

詩音:「高級住宅街?ってやつ?」


玲奈:「それにしても、すごいことになったよね!」


 なんか、一人だけ拗ねてる奴がいるな。


亜実花:「先生!カレンちゃんとミクミクは後で合流ってどういうこと?

 なんか、ミクミクが拗ねてるんだけど。」


龍太郎:「ちょっと、いろいろあってな。

 俺と宝生の問題なんだけど、今は俺と夢咲さんがパーティを組めないんだ。」


華那:「宝生って宝生舞夢さん?」


龍太郎:「ああ、その宝生だ。」


華那:「なんかわからないけど、先生の周りって、有名人ばっかりだね。」


龍太郎:「最近はな。ちょっと前まではずっとソロだったし、会話するって言ったら、源さんとお千代さんくらいだったんだけどな。」


玲奈:「源さんとお千代さんももっと有名人だよ。」


龍太郎:「そうだな。最近まで知らなかったけど。

 お!ここだな。Aー103。」


華那:「すごーい!大きいね。」

亜実花:「ここに住んでいいんだね!」

玲奈:「ウヒョー!嬉しすぎる!」


龍太郎:「じゃあ、入るか!」


 ヴィーン!ガチャ!


華那:「うわー!すごーい!」

玲奈:「中はもっとすごいね。」

詩音:「家具も備え付けってやつ?」

亜実花:「1階がリビングって感じかな?」

詩音:「いや、事務室兼会議室って感じだよ。」

玲奈:「やっぱリビングの方が近いんじゃない?」

華那:「上にも結構部屋がありそうだよね?」

詩音:「うん、ちょっと見に行こうよ!」

亜実花:「うんうん。行こ行こ。」


 御一行様で内覧会が開かれて、みんながあーだこーだ言いながら、興奮気味に盛り上がってる。なんか、嬉しいかも。


亜実花:「じゃあさ。さっさと引っ越しやっちゃおうよ。」

玲奈:「うんうん。そうしよう。」

華那:「とりあえず、荷物を運んじゃえばいいよね?」

詩音:「そうだね。片付けは後でもできるしね。」



 旧ダイアモンズのメンバーと俺は、D棟とA地区を行き来して、せっせと荷物を運び込んでいる。いい筋トレになる。


 その間、夢咲さんと早乙女さんは、買い出しに行ってもらった。

 せっかくだから、引っ越しが終わったら、このメンバーでお祝いをしようということになったからだ。


 俺はまだ慣れていないんだけれど、すでにAランククランの運営補助費として結構な額がプールされていた。それを使います。ざる会計!

 Aランクともなると額が半端ない!

 お金の管理は俺じゃなくて、前のクランで慣れている玉置さんにお願いすることにした。

 これで安心。俺はそういうの絶対無理。

 代表も今回は俺がなったが、合流後は夢咲さんにお願いしようと思ってる。



龍太郎:「これで終わりか?」

華那:「うん。全部だね。」


カレン:「こっちも準備終わりそうだよ!」


 夢咲さんが、お祝いパーティの準備をしてくれている。すごい量の食事が並んでる。


華那:「先生はどうするの?

 ここすごく広いから、引っ越した方が良くない?」


 え?この言葉に夢咲さんがこっちを見て睨んでるような……。


カレン:「それは、良くないんじゃないかな!?

 女性ばっかりのところに男性が住むのって、やっぱ変じゃない!?」


 あれ?なんか口調がいつもと違うぞ。


華那:「私たちは全然平気だけど。ねぇ?」

詩音:「うん。全然平気。」

玲奈:「私も気にしないよ。」

亜実花:「先生ならいいよ。」


カレン:「天堂くん!ダメでしょ!断りなさい!」


 えーーー!なんで怒られる!


龍太郎:「いや、住む気ないから。」


美紅:「そうそう。いくら天堂さんがチェリ男でも、魔がさすってこともあるからね。

 絶対危ないよ!

 この男は何考えてるかわからないよ!」


龍太郎:「ちょっと、お前!誰がチェリ男やねん!」


 早乙女さん!そういうのやめれ!

 なんで、お前が知ってるんだよ!


カレン:「もう!美紅ちゃん!

 とにかく、天堂くんは住まないってことで決定だね。」


龍太郎:「ああ、決定だ。」


華那:「そっか〜。残念だね。」


 夢咲さんの口調が戻って良かった。

 確かに一緒に住むのは良くない。

 いくら俺が安全牌でも、俺も男だ。

 間違いがあるかもしれません。



カレン:「じゃあ、そろそろお祝い、始めるよ!」


全員:「「「「「「おー!」」」」」」


 早乙女さん以外は、とりあえずビールで乾杯することに。


カレン:「じゃあ、乾杯の音頭は天堂くん、よろしく!」


龍太郎:「ああ。夢咲さん、第二柱女神おめでとう。

 皆さん、これからもよろしく!乾杯!」


全員:「「「「「「乾杯!!」」」」」」


 ぷはー!うまい!


 ワイワイ。ガヤガヤ。

 パクパク。ゴクゴク。


 こんな大勢でこんな楽しい食事が出来るなんて、これってリア充ってやつですか?


 夢咲さんと合流するためにもっと頑張って強くならなくては!

 あとは4人のスキルを覚醒させることだな。

 

 よっしゃ!やってやるぞ!おー!


 ◇◇◇◇◇

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