第59話 モンスターバトル
◇◇◇◇◇
今日も潜ってスキルゲッチュするぜ!
来週から本番のファーストダンジョンだ。
強化週間中に準備をしておかないとだ!
今週は今日と明日の2日間が稼働日。
というのも、夢咲さんの話では、今週の日曜日は年に2回の大総選挙があるからと念を押されているからだ。
その日は、だいたいのエクスプローラは、潜らずにその結果をリアルタイムで見ているらしいと言っていた。
今まで見たことないが、今回はどんなものか見てみようと思う。
という訳で、あと2日でどれだけスキルを増やせるか?ということだ!
今日は、少し遠くになったが、スパイシードッグの狩場に到着。
全身が真っ赤な巨大犬型モンスター。
食用としても人気があり、肉そのものがスパイシーなことからその名がついた。
もうこの辺りのモンスターは、初級でも結構厄介になってくる。
さらに、ここに来る少し前から龍太郎の俯瞰スキルで別のモンスターも確認している。
どうも、群れでスパイシードッグの狩場に近づいてきているモンスターがいる。
たぶん、モンスター同士の縄張り争いが起ころうとしているのかもしれない。
珍しいイベントに遭遇した感じだ。
群れで近づいて来ているのは、ソルティードッグだ。
全身が真っ青な巨大犬型モンスター。
食用としても人気があり、肉そのものがソルティーなことからその名がついた。
ソルティードッグの遠吠えに気付いたスパイシードッグも遠吠えで仲間を呼び、群れを成して、ソルティードッグを目指して走り出した。
あちらから青の群れ、こちらから赤の群れ。
すげ〜!赤と青のコントラスト!
俯瞰スキルで見ると爽快な光景だ!
龍太郎は、両者が激突するであろう中間ポイントまで素早くダッシュして、絶好の観覧ポイントを押さえた。場所取り成功!
まさか、〈モンスターバトル〉のイベントに遭遇するとはね!ラッキー!
戦国の合戦さながらの大迫力の覇権争奪戦!
エクスプローラとしても、漁夫の利で大量のモンスターコアを入手出来るイベントで、宝くじに当たるようなものだ。
ただし、合戦後のモンスターの残党を討伐出来る実力があればの話だ。
実力のないものが、漁夫の利を得ようとすると逆に命を失う危険がある。
うわー!来たー!爽快!
両サイドから迫りくる迫力!
今、東軍と西軍が激しくぶつかった!
スパイシー徳川とソルティー石田。
関ヶ原の合戦の始まりだー!
モンスターバトル!かーませ!
1時間経過……。
2時間経過……。
3時間経過……。
ちょっとー!いつまでやってんの?
互角の争い過ぎて、膠着してるし!!
スパイシー武田とソルティー上杉だったか?
全然、決着つかないじゃんかよ!?
もう我慢の限界だ!
龍太郎:「龍次郎!そろそろ行くぞ!」
龍次郎:「おぅ!龍太郎!」
二刀流剣士が2人。ついに参戦を決意した!
今日は龍次郎も影武者じゃないよ。
第三勢力のリュータローズ参戦!
トーンタンタン!トーンタンタン!
戦場の中に剣士2人が割り込んでいったことで、関ヶ原の合戦から、三国志演義へと進化した。
リュータロー劉備軍が、次々とスパイシー孫権軍とソルティー曹操軍を狩っていく。
三つ巴の戦いは、リュータローズが優勢。
ついでにスキルもゲッチュ!
〈ピピプピプ……他者の超能を確認!〉
〈超能【
なるほどね防御力が高い理由はこれか!
ほい!登録!
〈ピピプピプ……超能【赤武装】を登録しました!〉
〈ピピプピプ……超能【赤武装】の解放に成功しました。〉
〈ピピプピプ……超能王の効果により超能【赤武装】を最適化します。〉
〈ピピプピプ……超能【赤武装】は超能【
お!これもパッシブ系スキルか!?
なんか、体の周りが武装で覆われてる感じだな。なるほど。
〈ピピプピプ……他者の超能を確認!〉
〈超能【
こっちも武装系ってことね。
だから互角かよ!
もちろん!登録!
〈ピピプピプ……超能【青武装】を登録しました!〉
〈ピピプピプ……超能【青武装】の解放に成功しました。〉
〈ピピプピプ……超能王の効果により超能【青武装】を最適化します。〉
〈ピピプピプ……超能【青武装】は超能【軽武装】へと進化しました。〉
おーけー!ダブり!
〈ピピプピプ……超能【軽武装】が重複したため合成しました。
超能【軽武装】は超能【重武装】へと再進化しました。〉
よっしゃ!防御力アップ!いいね!
どんどん、スキルアップしていくぜ!
どんどん、どんどん、狩っていく!
どんどん、どんどん、狩っていく!
どんどん、どどんぱ、どんどどん♪
さらに狩りの途中で、待ちに待った瞬間が訪れる!
〈ピピピプッピ〜!レベルアップを確認!〉
〈個体強度がレベル3に上がりました!〉
やっぱ、ちょっと気持ち悪りぃ。
けど、レベル2の時よりだいぶマシだな。
やったぞ!1年半全然上がらなかったレベルが、1ヶ月程で2つも上がったぜ!
〈個体強度の上昇により、超能【火玉】の解放に成功しました。〉
〈ピピプピプ……超能王の効果により超能【火玉】を最適化します。〉
〈ピピプピプ……超能【火玉】は魔術【
ん?なんか、新しいパターン来た。
〈個体強度の上昇により、超能【水玉】の解放に成功しました。〉
〈ピピプピプ……超能王の効果により超能【水玉】を最適化します。〉
〈ピピプピプ……超能【水玉】は魔術【
〈個体強度の上昇により、超能【風玉】の解放に成功しました。〉
〈ピピプピプ……超能王の効果により超能【風玉】を最適化します。〉
〈ピピプピプ……超能【風玉】は魔術【
〈個体強度の上昇により、超能【土玉】の解放に成功しました。〉
〈ピピプピプ……超能王の効果により超能【土玉】を最適化します。〉
〈ピピプピプ……超能【土玉】は魔術【
ほぅ。スライムのスキル4種類が属性魔術に進化しました。
龍太郎:『アイちゃん!魔術って?』
AI:〈これはよくわからないね。
魔術なんて見たことないよ。
マスターのスキルがおかしいってことだよ。
後ろに数字が付いてるってことは、まだ進化するってことじゃない?
よくわからないけど。〉
龍太郎:『そっか。ま、いっか!
魔術ゲッチュ!ナイス!』
龍太郎は、試しに魔術を使ってみたが、確かにファンタジーな術だな。
ただ、攻撃に使えるか?というとあんまり大したことなかった……。
手のひらの上で、火、水、風、土を出すことが出来る。
それを前方に発射することが出来る。
うーん。これだけ。
まあ、スライムくんの火玉、水玉、風玉、土玉の強化版ってところだな。
攻撃以外で使い方次第ってことだ。
ファンタジー世界の魔法学園なら、
わっ!4属性持ち?エリートじゃん!
ってなるところかもしれないが……。
ステータスボード!
【個体情報】天堂龍太郎 20歳 人間族
【個体強度】レベル3
【固有超能】超能王
【解放超能】覇気・洗脳・収納箱・衝撃砲・重力操作・分身体・並列思考・隠密・鼓舞・宙歩・俯瞰・重武装・俊速・浄化・旋回斬・料理長
【解放魔術】火魔術Ⅰ・水魔術Ⅰ・風魔術Ⅰ・土魔術Ⅰ
【登録超能】豪運・召喚・光・闇・癒・心・封印・超会心・回復波・流星弾・炎斬刃・瞬間移動
戦況に戻すと、モンスターたちの防御力が高かったせいで時間はかかったが、リュータローズが参戦してから1時間もするとスパイシードッグとソルティードッグは徐々に数を減らし、残党がお互いの棲家の方に向かって散り散りに走って逃げて行った。
すでに相当な数のモンスターを狩った龍太郎は、それを追うことはしなかった。
龍太郎:「ヘイ!」
龍次郎:「よっしゃ!」
龍太郎と龍次郎はハイタッチして、狩りの終決を喜んだ。
よっしゃ!ここからは、お楽しみモンスターコアの剥ぎ取りタイム。
これは、かなりの数になりそうだ。
ただ、少し前に取った料理長スキルを確認しようと思っていた。
使い方はわかる。面白そうだ。
普通なら、剥ぎ取り用ナイフを使って、1体ずつモンスターコアを剥ぎ取っていき、残ったモンスターの亡骸は放置するところ。
だが、ここで料理長スキルを使用すると!
あら、不思議!
食用肉とその他の素材に分離している。
さらに食用肉に関しては1食分ずつに小分けされて、皮に包まれているという優れもの。
モンスターコアもその他素材の中から取り出すだけで、圧倒的にお手軽簡単な作業に変化している。
龍太郎:「ウッホッホ!これは予想以上に便利だな!実に興味深い。」
龍太郎は、エアメガネの中央をくいっと指で押し上げた。ガリレオ風に。
龍太郎:「ちょうど腹減ったし、これ食ってみよう!」
スパイシードッグの食用肉とソルティードッグの食用肉を一つずつ食ってみた。
龍太郎:「うめー!激うま!何これ!?
売ってる肉の数百倍うめー!」
ちょっとピリ辛な旨辛肉とちょうど良い塩味の旨塩肉を交互に頬張りながら、その美味しさの感動を噛み締めている。肉だけに。
龍太郎は、モンスターコアを新調した大型リュックに、モンスターの食用肉は収納箱にダイレクトにせっせと収納していった。
ものすごく時短!これ最高!
食用肉ももう一生買わなくていいな(笑)
【収納箱】
革の胸当て:1
革の籠手:1
革のブーツ:1
大型リュック:1
剥ぎ取り用ナイフ:2
飲料用ボトル:3
ランバード食用肉:9
スパイシードッグ食用肉(旨辛):819
ソルティードッグ食用肉(旨塩):799
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