第51話 刀剣乱舞!

 ◇◇◇◇◇


 今日も初級モンスター狩り。

 と言うか、スキル調達だ。


 最初の狩場は、カムカムキャット。

 縁起が良さそうな巨大猫型モンスターで、手でカムカムすると、された相手は高速で引き寄せられる。

 そこを猫パンチで攻撃し、地面に叩きつけられる。

 このモンスターも初級泣かせの一種。


 ただ、今日は覇気スキルを取ったことで、昨日よりも圧倒的に狩りが楽になった。


 覇気を使用すると初級モンスターだと、漏れなく次々と気絶して倒れていくのだ。


 ウッヒョ!快適生活!


 そして、龍太郎の頭の中の機械音が鳴った。


〈ピピプピプ……他者の超能を確認!〉

〈超能【引力いんりょく】を登録しますか?〉


 そんな感じか!引き寄せるやつ!

 

 もちろん、登録!


〈ピピプピプ……超能【引力】を登録しました!〉

〈ピピプピプ……超能【引力】の解放に成功しました。〉

〈ピピプピプ……超能王の効果により超能【引力】を最適化します。〉

〈ピピプピプ……超能【引力】は超能【重力操作】へと進化しました。〉


 やりぃ!かっちょええ!重力操作!


 龍太郎は、今取った重力操作スキルを早速試している。

 モンスターに使用すると、明らかに動きが重く、動作が遅くなっている。

 龍太郎は久々に剣を抜いて、遅くなったカムカムキャットの首を旋回斬で斬っていく!


 気持ちええ!

 俺って今、秘技・剣の舞!って感じだよな!


 しかも、この重力操作を自分にかければ、体が軽くなり、さらにスピードが上がった。


 マジ使える!重力操作!

 対ドッペルゲンガー対策に充分な効果が期待出来そうだぜ!


 影武者龍次郎も同様に旋回斬でモンスターを斬りつけて行く!


 圧倒的戦力差!俺たちって最強?


 さらに宙歩スキルで空中に上がり、旋回斬で斬りつける様は剣技上級者の様だ。


 トーンタンタン!トーンタンタン!

 思わずやりたくなる!


 願わくば、もう一振りの剣が欲しいところだ!

 旋回斬は二刀流の方がカッコいい。


 おりゃ!おりゃ!ピシューン!

 おりゃりゃりゃりゃー!気持ちいい!

 モンスターコアも大量でウハウハ!


 よっしゃ!次の狩場に行くぞ!おー!



 ◇◇◇◇◇



 次の狩場は、キックカンガルー。

 少し離れた場所にあったので、移動に時間がかかったが、やっと到着。

 このモンスターは、巨大カンガルー型モンスターで、両脚の前蹴りで攻撃してくる。

 ただ、印象としては体がでかいだけで、攻撃の前蹴りもそんなに脅威では無い感じ。

 狩場が少し遠いので、あまり人気はないが、初級者には美味しい狩場だ。


 こいつってどんなスキルなんだろうな?

 普通に前蹴りとかかなぁ?

 あまり、特徴がないんだよな。


 龍太郎はまず初めにキックカンガルーのスキルを確認した。


 そのスキルはなんと収納!えー!?

 確かにこのモンスターには腹のところに収納できるポケットがついている。

 これって四次元ポケット?


龍太郎:『アイちゃん!収納だぞ!』


AI:〈うんうん。これはいいね!

 人間界では、アイテムのマジックバッグですら貴重だからね。

 スキルに収納ってあったんだね?

 ぜひ欲しいスキルだよ!

 やったね!マスター!〉


龍太郎:『ああ、これはでかいぞ!

 まさか、こんな初級モンスターのスキルが収納だなんて誰も考えないからな!

 こいつら、食糧を蓄えてるのかもな。』


 うーん!楽しみ!解放されてくれ!


 ウキウキの龍太郎は、まずモンスターに気づかれないように影武者龍次郎をダッシュさせて、カンガルーの体にタッチ!アンド衝撃波!


 まず、一体を討伐し、頭の機械音を待った。


〈ピピプピプ……他者の超能を確認!〉

〈超能【収納しゅうのう】を登録しますか?〉


 イエス!イエス!もち登録!


〈ピピプピプ……超能【収納】を登録しました!〉

〈ピピプピプ……超能【収納】の解放に成功しました。〉

〈ピピプピプ……超能王の効果により超能【収納】を最適化します。〉

〈ピピプピプ……超能【収納】は超能【収納箱しゅうのうばこ】へと進化しました。〉


龍太郎:『うおー!やりぃ!!ゲッチュ!

 アイちゃん!収納箱だぞ!』


AI:〈うんうん。これはでかいね!〉


龍太郎:『元の収納がよく分からないけど、収納箱は仕分けができるのが違いなのかなぁ?

 それとも容量が違うのかぁ?』


AI:〈マスター。何か入れてみれば?〉


龍太郎:『ああ。リュック入れてみるか。

 おー!こんな感じなんだな。』


 龍太郎の背中にあったリュックが消えて、頭の中にリュックが格納された状態がわかった。

 よくゲームであるアイテムボックスのような区切られた1マスにリュックが入っている。


龍太郎:『アイちゃんも見える?』


AI:〈うん、見えるよ!

 すごいスキルだねぇ!

 これなら手ぶらで狩りができるね!〉


 続けて持っていた剣を収納。

 すると別の1マスに剣が収納されている。


 取り出すと剣は元の龍太郎の右手に。


龍太郎:『すげー!ゲームみたい。

 これで収納箱の使い方はわかったぞ。

 あとは容量だよな。

 どれくらい入るんだろ?』


AI:〈まあ、それはあとでいいんじゃない?〉


龍太郎:『そだな。まずは狩りを始めるか!』


龍太郎:「おい!龍次郎!」

龍次郎:「なんだ?龍太郎。」

龍太郎:「お前の剣を貸せ!」

龍次郎:「ああ、ほれ!」


 龍太郎は、龍次郎から受け取った剣を反対側の腰に装着した。


龍太郎:「よっしゃ!これで二刀流!

 龍次郎は体術と衝撃波でなんとかしてくれ!

 俺は二刀流剣舞で行く!」

龍次郎:「ああ、わかった!」


龍太郎:「オーケー!ほんじゃ、狩りを始めるぞ!

 いつもの通りに行くぜ!」


 龍太郎は二刀流剣舞で、影武者龍次郎は体術衝撃波で次々とキックカンガルーを討伐して行った。

 もはや、リュータローズのとって初級モンスターは無傷で楽勝できるほど、圧倒的戦力差がついている。


龍太郎:「ところで龍次郎!」

龍次郎:「なんだ?龍太郎。」

龍太郎:「今更だけど、よく考えたら、なぜ、お前、剣持ってたんだ?

 防具も一式着けてるよな?」

龍次郎:「分身体だからだろ?」

龍太郎:「ほんじゃ、今お前を戻してまた出したら、二刀流になるのか?」

龍次郎:「おー、なるほど!それすごいな!」

龍太郎:「だろ!やってみるか?」


 そう言うと龍太郎は龍次郎を解除した。

 そうすると、龍太郎の持っていた龍次郎の剣も消滅した。


 あらら。そうか。一緒に消えるのか。


 龍太郎は、龍次郎を再度呼び戻した。


龍次郎:「ダメだったな!」

龍太郎:「ああ。いい案だと思ったんだけどな。

 でも、確かにこれが出来たら無限増殖するもんな。」

龍次郎:「ああ、そんなにうまく行かないよな。」


 この検証で、装備は分身体の一部として認識はされているが、分身体の解除と共に装備も消滅することがわかった。

 その他のアイテムは、分身体とは認識されず、龍次郎は持っていない。

 なので、龍太郎の背負っているリュックも龍次郎は持っていなかった訳だ。

 なるほど。そう言うことな。

 なら、剣はもう一振り買うしかないな。


 それからもリュータローズの狩りは続き、大量のモンスターの屍を収納して行った。


龍太郎:「よし!龍次郎。そろそろ終わるか!

 今から一気にモンスターコアの剥ぎ取りするぞ!」

龍次郎:「おぅ!承知の助!」


 収納していたキックカンガルーの屍を次々に取り出して、コアを剥ぎ取っていく。

 いっぱいになったモンスターコアは、収納箱から取り出したリュックにしまっていく。

 剥ぎ取った後のモンスターの屍も収納箱に格納できるのだが、持って帰ったとて買取センターに出せるわけでもないので、それはそのまま放置することにした。

 収納箱スキルがバレる方がヤバいもんな。

 後々、レアな素材なんかは収納することにして、食用の素材は今後も放置する予定だ。


龍太郎:「オーケー!剥ぎ取りも終わったしそろそろ帰るか!」

龍次郎:「ああ。そうしよう。」


 今日は移動に時間を費やしたので、2カ所の狩場で終了!


 リュータローズはゲートに向かって走って帰って行った。


 ゲートを出た龍太郎は、今日も換金の最高額を叩き出してウハウハ状態だ。

 今日はモンブランを買って帰ろう!



 今日も4つの進化スキルをゲッチュ!


 ステータスボード!


【個体情報】天堂龍太郎 20歳 人間族

【個体強度】レベル2

【固有超能】超能王

【解放超能】覇気・洗脳・収納箱・重力操作・分身体・衝撃波・並列思考・隠密・宙歩・俯瞰・俊速・浄化・旋回斬

【登録超能】豪運・召喚・封印・超会心・回復波・流星弾・炎斬刃・瞬間移動・火玉・水玉・風玉・土玉


 よっしゃー!順調!順調!


 ◇◇◇◇◇

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