第49話 スキルゲッチュ!

 ◇◇◇◇◇


 尾行を振り切った龍太郎は、本日のひとつ目の狩場に到着。


 よっしゃ!強化週間のスタートじゃい!


 チラホラと見えるモンスターは、ホーンラビット。

 初期モンスターの一種で食用肉としての需要が高いウサギ型モンスター。

 通常のウサギよりは数倍大きく、頭に一本の角が生えている。

 攻撃は普通に飛び跳ねての角攻撃だが、そのスピードは速く、初級エクスプローラのうちは攻撃を受ければ致命傷となる。


 龍太郎は改めて龍次郎も呼び出して戦闘を開始した。

 レベルが上がった上に俊速スキルを取ったことで、ホーンラビットの動きは軽々と避けることができるようになっていた。



 最初の攻撃と共に龍太郎の頭の中の機械音が鳴った。


〈ピピプピプ……他者の超能を確認!〉

〈超能【跳躍ちょうやく】を登録しますか?〉


 イエス!登録!


〈ピピプピプ……超能【跳躍】を登録しました!〉

〈ピピプピプ……超能【跳躍】の解放に成功しました。〉

〈ピピプピプ……超能王の効果により超能【跳躍】を最適化します。〉

〈ピピプピプ……超能【跳躍】は超能【宙歩ちゅうほ】へと進化しました。〉


 また、解放!ラッキー!

 これはスカイウォークって感じだな!


 早速、取ったスキルを使って攻撃していく。

 空中にジャンプして、その足で空中を蹴ることが出来る。空中散歩という感じだ。

 これは飛行するモンスターにも有効だな!

 思ったより気持ちいい!


 龍太郎と龍次郎は衝撃波を放ち、次々とモンスターを狩っていく。

 しかも、久しぶりにモンスターコアの剥ぎ取りもすることができて、久々の収入にありつけそうだ。


 ある程度、ホーンラビットを狩ったので、次の狩場に向かうことにした。



 その日は、ホーンラビットの他に2カ所の狩場に行って、狩猟とスキルゲッチュ!


 一つ目は、ブラックスネークンの狩場。

 黒くて巨大な蛇型モンスター。

 素早く動き、敵に巻き付いて締め殺す。

 所有スキルは〈圧迫〉。

 このスキルも解放に成功。

 適正化して進化したスキルは〈威圧〉。

 そのスキルを使用するとモンスターは少しの間、動きを止めることが出来た。

 これも結構使える。


 次に2つ目は、アルマジロウの狩場。

 鎧のような硬い甲羅に覆われたネズミ型モンスター。

 体を丸くして、高速回転しながら突進して甲羅をぶつけてくる。

 所有スキルは〈回転〉。

 このスキルも解放に成功。

 適正化して進化したスキルは〈旋回斬せんかいざん〉。

 その名の通り、体を旋回させて斬るスキルだが、剣を使用した時でないとあまり効果はなさそうだ。

 今のところは、体術中心なのであまり使えなさそうだ。



 それぞれの狩場でモンスターコアを大量にゲッチュして、その日の狩猟は終了!ウハ!



 この日の終了時の龍太郎のステータスはこんな感じに成長!


 ステータスボード!


【個体情報】天堂龍太郎 20歳 人間族

【個体強度】レベル2

【固有超能】超能王

【解放超能】分身体・衝撃波・並列思考・隠密・宙歩・俯瞰・威圧・俊速・浄化・旋回斬

【登録超能】豪運・召喚・封印・超会心・回復波・流星弾・炎斬刃・瞬間移動・火玉・水玉・風玉・土玉


 今日だけで4つの進化スキルゲッチュ!

 その内一つは想定外だったけどね。

 非常に効率に良い1日だったよな。


 それから、ゲートに戻って久々の換金。

 今までの最高額だ!ウハウハ!

 これでダンベルとパワーアンクルの引き落としも大丈夫だな!


 龍太郎は、意気揚々と帰路に着いた。

 


 ◇◇◇◇◇



 同じ日の朝、渋谷ゲート内。

 販売所の前で2人パーティが今から狩りに出ようとしていた。

 ゴッドブレスユー!の再始動。


カレン:「美紅ちゃん。天堂くんが抜けちゃったけど、戻ってくるまで2人で頑張ろうね。」


美紅:「カレンさんと2人なんで、もちろん頑張りますよ!任せてください!」


 そこに珍しくゲートを通って来たイケメンエクスプローラが近づいて来た。


男性:「やあ!ここでエクスプローラと会うなんて珍しいね。

 第七柱女神の夢咲カレンさんと早乙女美紅さんだよね?」


カレン:「はい。そうですけど。

 あなたは誰ですか?」


男性:「あ!ごめんね。

 僕は安藤あんどう未知瑠みちる

 Dランクエクスプローラだね。」


 バタフライ・コーポレーション株式会社

 社長秘書室

 安藤未知瑠


 この男もジェシカの直属の部下である。

 実は社長秘書室には、役割が特殊なためイケメンか美人で選抜されている。


未知瑠:「ここで会ったのも縁があるってことで、今日だけパーティに入れてもらえないかな?」


カレン:「申し訳ないけど、ダメです。」

美紅:「えー。カレンさん!即答ですか?」


 美紅の方は、あまりのイケメン登場にちょっと気持ちが向いているようだ。


未知瑠:「いや、2人ともDランクでしょ?

 人数は多いほうがいいんじゃないかな?

 僕も一人で行くのは不安だし。」


美紅:「カレンさん。

 別に今日だけならいいんじゃないですか?」


カレン:「美紅ちゃん!」


 カレンは、少し声を大きくして絶対に無理なことを強調している。


美紅:「え?はい……。」


カレン:「安藤さん。

 私たち他の人とはパーティ組まないことにしてるので、他を当たってください。」


未知瑠:「うーん。参ったなぁ。

 僕が誘いを断られたのは初めてだよ。

 どうしてかなぁ?」


 安藤は、よほど自信があったのか、すごく首を傾げて驚いていた。

 それもそのはず、安藤の保有スキルは〈魅了〉で、声をかけた人物は効果は人によって差は出るものの、いつもなら少なくとも好意を持つようになるのだが……。


カレン:「それじゃ、失礼しますね。」


 カレンと美紅は、さっさと安藤のそばを離れて行った。


 実はカレンもこの安藤には不思議に興味を持ったが、豪運の第六感が、誘いに乗ってはいけないと告げていたので、断った形だった。


 一方の美紅は、そばを離れてからも安藤のことは気になっていた。

 要するに魅了されてしまった訳である。

 離れてから少し美紅は食い下がったが、カレンの強い口調に渋々諦めたほどである。


 それから2人は、例のランバードの狩場で1日を狩りに費やして帰路に着いた。


 安藤は、断られたのがよっぽどショックだったのか、しょぼくれながらも2人の後を尾けて、その様子を観察して同様に帰路に着いた。



 ◇◇◇◇◇



 その夜、バタフライ・コーポレーションの本社には、調査報告のため社長室に安藤と白河が呼び出されていた。

 社長室には、社長である朱美と2人の上司であるジェシカが待っていた。


ジェシカ:「まず、未知瑠!」


未知瑠:「まあ、想定通りって感じですかね?

 2人とも初級も初級って感じですよ。

 こっちは白ですね。

 ただ、美紅って子はポテンシャルがありそうですね。

 スキルは、モンスターの特徴を消す感じですかね。

 セブンスのカレンは、スキルは非戦闘系でしょうかね?

 使っている様子がないですね。

 ただ、装備が神なので、戦闘が激しくって見ていてヒヤヒヤしますよ。

 それより、この子に僕のスキルが通用しなかったってことですよ!

 もう、ショックで寝れなさそうですよ。」


ジェシカ:「そうか。白なんだね。

 未知瑠が落とせなかったってのは興味あるね。セブンスのカレンねぇ。面白い。」


未知瑠:「面白くないですよ!

 まさかの拒否ってどういうこと?」


ジェシカ:「未知瑠。社長の前だぞ。調子乗んなよ。

 次、翔子!」


翔子:「すいません。

 調査失敗しました……。」


ジェシカ:「はぁ!?何があった?」


翔子:「すいません!見失いました!」


 もう、翔子は半泣き状態。


ジェシカ:「嘘だろ?

 翔子を巻くってどんだけだよ!?」


朱美:「それは不思議ね。

 私が見た感じ、一番可能性が低いと思ったんだけど……。」


ジェシカ:「すいません、社長!

 翔子が見失うってことは何かありますよ。

 次は私が行きますよ。」


朱美:「そうね。ジェシカ。

 そうしてくれるかしら。」


ジェシカ:「承知しました。

 翔子、気にするな。

 未知瑠、調子乗んなよ。」


未知瑠:「えー!なんで僕だけ?

 調査成功したのに……。」


ジェシカ:「うるせぇ。黙れ。」


 これも日頃の行いか?

 ジェシカは、翔子には優しいが、未知瑠には厳しい。

 とにかく、初日の調査は終わった。


 ◇◇◇◇◇

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