第48話 スキル強化週間
◇◇◇◇◇
次の日は朝から始動開始。
渋谷ゲートから異世界ダンジョン。
例のファースト・ダンジョンの件については、帰った後にアイちゃんと相談した。
レベル上げには効果的な情報であったが、ドッペルゲンガーのついては不確定要素が多く、一旦保留ということになった。
ただし、現在個体強度レベルが2しかない俺にとっては、ワンチャンありと考察されることより、もう少しスキルを増やしてから挑戦するのがいいのでは?という結論のもと、今週は他の初級モンスターについての狩りをすることにした。
よっしゃ!スキル収集の強化週間!
いっちょ、やりますか!
で、その前に!まずは販売所にGO!
源三::「おぅ。小僧。今日も早いな。」
龍太郎:「源さんこそ、いつでもいるな。
ちゃんと休暇とってるのか?」
源三:「家にいても、ここにいても大して変わらん。
毎日が休暇みたいなもんだ。」
龍太郎:「そっか。暇なんだな。
ところでお千代さんって伝説のエクスプローラって呼ばれてたんだって?」
源三:「お前、知らんかったんか?
そうじゃ。ちょっと異常じゃからな。
お千代はヤバいぞ。気をつけろ。
滅多にないが、あやつの逆鱗に触れたら最後じゃ。」
龍太郎:「源さんでもか?
そんなにヤバいのか……。」
源三:「ああ。あれはバケモンじゃな。
まあ、でもお前は大丈夫かもな。」
龍太郎:「え?なんで?」
源三:「お前なんぞ、気にしておらん。
象が蟻を気にせんようなもんじゃ。
それにお前の馬鹿は天然じゃ。」
龍太郎:「どういう意味だよ!」
源三:「死んでも治らん。」
龍太郎:「ぐはっ!痛恨!」
源三:「まあ、お前はそのままでええじゃろ。
それと預かってるぞ。」
龍太郎:「ああ。お楽しみのやつな!くれ!」
源三:「ああ。ちょっと待っとれ!」
源さんが奥から例のマジックアイテム装備を持って来たぞ!
源三:「ほれ、これじゃ。」
龍太郎:「うおーー!かっちょええ!」
防具3点セットは、セット品だけあって色が統一されている。
しかも、龍太郎の好きな赤色を基調とした装備で黒い線で縁取りされている。
源三:「お前、そんなにカーバンクルの奴らと仲が良かったんか?」
龍太郎:「うーん。仲がいいというか、弟分って感じだな。」
源三:「そうか。そりゃ、よかったのう。
あいつらは信頼できる。
仲良うしてもらえ。」
龍太郎は早速、装備を装着した。
やっぱり、マジックアイテムはジャストフィット。めっちゃカッコいい!
源三:「ええじゃないか?
ただ、悲しいかな、顔に合っとらんのう。」
龍太郎:「ほっとけ!源さんまで言う?」
源三:「まあ、ええじゃろ。
せっかくもらったんじゃ。
頑張ってこい!」
龍太郎:「ああ。行ってくる。」
◇◇◇◇◇
販売所を出ると珍しくエクスプローラが1人立っていた。
女性:「おはようございます!ソロですか?」
龍太郎:「ああ、そうだけど。」
女性:「私も今日はソロなんですよ。
なんか、奇遇ですね。」
龍太郎:「はぁ。そうだな。」
女性:「今日は何を狩りに行くんですか?」
龍太郎:「ん?あれ?なんだったっけ?」
女性:「決まってないんですね。
私も決まってないんですよ。
なんか、奇遇ですね。」
龍太郎:「はぁ。そうかなぁ。」
女性:「じゃあ、ご一緒しませんか?」
龍太郎:「なんで?いや、遠慮しとくわ。」
女性:「いやいや、そんなこと言わずに。
すごく良い装備してますね。」
龍太郎:「装備は貰い物だから。
俺、ソロがいいんだよな。」
女性:「はぁ、そうですか。
なら、仕方ないですね。
じゃあ、また機会があれば。」
そう言うと声をかけた若い女性は龍太郎から離れていった。
龍太郎:『アイちゃん。
装備がいいと声をかけられるのかな?』
AI:〈ん?そうかもね?〉
龍太郎:『今まで俺を見て誘ってくるやつなんていなかったんだけどな。』
AI:〈マスター。一応、スキル確認しておけば?
まだ、近くにいるみたいだし。〉
龍太郎:『ああ、そうだな。
スキルは……〈遠視〉だな!
変わったスキルだな。
遠くまで視えるってことか?』
AI:〈そうだね。一応、登録しとけば?〉
影武者モード龍次郎が近くまで行って、さっき話しかけられた女性の肩に軽く触れた。
流石にその女性には気付かれなかったが、ちょっと後ろめたい気持ち。
龍太郎の頭の中の機械音が鳴った。
〈ピピプピプ……他者の超能を確認!〉
〈超能【遠視】を登録しますか?〉
登録!
〈ピピプピプ……超能【遠視】を登録しました!〉
〈ピピプピプ……超能【遠視】の解放に成功しました。〉
お〜!成功!
〈ピピプピプ……超能王の効果により超能【遠視】を最適化します。〉
〈ピピプピプ……超能【遠視】は超能【
また、解放したぞ!ラッキー!
うわー!これめっちゃ使えるぞ!
龍太郎はスキルを使うと、上空から見た景色が頭の中に広がった。
いいスキルゲットー!
それじゃ、そろそろ行きますか!
龍太郎は、今日の狩場に向けて走り出した!
◇◇◇◇◇
前回よりも速く走れるようになった龍太郎は、トレーニングも兼ねて全速力で走っていた。
道中、先程解放された俯瞰スキルを使用した時、誰かが遥か後方から同じ方向に向かって走ってくる人物を発見。
龍太郎:『アイちゃん。誰か後ろから来てるみたい。』
AI:〈そうみたいだね。
同じところに行くのはマズイね。〉
龍太郎:『じゃあ、行く順番変えるか?』
AI:〈そうだね。そうしよう。〉
龍太郎は、明日行く予定だった狩場に急遽方向を変えて、また走り出した。
龍太郎:『あれ?アイちゃん!
後ろの人も方向を変えたみたいだな。
もしかして尾けられてるかも?』
AI:〈確認したほうがいいかもね?
マスター。ちょっと休憩するふりして、影武者龍次郎をそっちに見に行かせてみてよ。〉
龍太郎:『ん?ああ、わかった。』
龍太郎は立ち止まって、休憩している素振りを取った。
すると、後ろから来る人も同じように立ち止まった。
これは確実に尾けられてるじゃん!
影武者龍次郎がダッシュして来た方向に戻っていくと、その人物を発見した。
それは販売所前で声をかけて来た女性だった。
もう!断ったのに!
なぜ尾いてくるんだよ!?
AI:〈マスター。さっきの女性だね。
待ってて。ちょっと調べてみるから。〉
龍太郎:『ああ。頼むよ。』
アイちゃんは、その女性の容姿から該当する人物の情報を検索し始めた。
なんらかの情報がネット上に落ちていれば、検索出来るはず。
AI:〈マスター。ちょっと面白いことがわかったよ。
あの女性はDランクエクスプローラなんだけど、他に違う肩書きがあるみたい……。〉
バタフライ・コーポレーション株式会社
社長秘書室
ジェシカの直属の部下である。
龍太郎:『また、バタフライ関係かよ!?』
AI:〈そうみたい。
これは関わらないほうがいいね。〉
龍太郎:『そうだな。どうせ、朱美社長だっけ?が絡んでるんだろうな。
宝生が本当に俺がソロになったのか確認しに来たのかもしれないな。
どのみち、ふざけんなよ!案件だな。』
AI:〈うん。上手く巻いて振り切れば?〉
龍太郎:『ああ、そうするよ。』
龍太郎は影武者龍次郎を解除して、その白河翔子からは見えない位置で自らに隠密スキルを使用した。
おっしゃー!これで追ってこれないだろ!
龍太郎はステルスモードで、再度方向転換をして、さらに違う狩場に向けて走り出した。
一方、白河はそれ以降、龍太郎を完全に見失った状況で、焦って探したが結局見つけることができず、やむ無くゲート方向に帰って行った。
◇◇◇◇◇
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