第35話 骨男はかく語りき
◇◇◇◇◇
修羅場の翌日。
美紅からグループチャットで骨男を見つけたとの連絡があった。
その返信で、カレンから龍太郎宅に集合の指令が飛んだ。
指令を受けてからまもなく、カレンと美紅が、龍太郎のアパートのやってきた。
コンコン!
龍太郎:「はいはい、お待ちください。」
ガチャ!
何もない龍太郎の部屋にまた3人が集結。
昨日の件は若干引きずってはいるが、なんとか元の状態に戻っているように見える。
ただ、美紅は先に着いていたらしいが、一人で入るのは気が引けたのか、龍太郎の部屋の前でカレンを待っていたらしい。
カレン:「美紅ちゃん。大丈夫だった?」
美紅:「はい、骨男さんも今日はすんなりと話を聞いてくれました。」
カレン:「そう。良かった。
で、会うことになったの?」
美紅:「はい、今日の午後6時に駅前のファミレスで落ち合うことになってます。」
カレン:「ファミレスね。
なら、人も多いし安心だね。」
美紅:「なんですけど、カレンさんと私だけで来て欲しいそうです。
向こうも骨男さんだけで来るからって。」
カレン:「天堂くんは行けないってことか。
出来れば、3人で行きたかったんだけど。」
カレンは少し考えていた。
龍太郎:「ん?いいんじゃね?問題ないだろ?」
カレン:「え?なんで?」
龍太郎:「夢咲さん、ちょっと耳貸して!」
龍太郎は美紅に聞こえないようにそっとカレンに耳打ちした。
龍太郎:『俺は影武者を使ってついて行くから。』
そのお返しにカレンが龍太郎に耳打ちした。
カレン:『ああ。なるほど、その手があったね。』
龍太郎曰く、影武者を発動する際に、オリジナルと影武者を同時に動かすのは、まだ頭の方が追いつかないらしく、どちらかに意識を集中する必要がある。
なので、オリジナルは部屋に待機して影武者に行動させるのが効率的なのを以前カレンは聞いていた。
龍太郎:『だから、俺はこのまま部屋で待機しておくから、2人で行ってくれ。』
カレン:『うん。わかった。なら安心だね。』
コソコソと二人で耳打ちしている様子が美紅は気に入らない。
美紅:「なんですか?二人で内緒話して!
私にも教えてくださいよ!」
カレンはちょっと困っている。
なので、代わりに龍太郎が意味不明な言い訳をして炎上。
龍太郎:「これは大人の話だ!お前には教えられん。」
美紅:「はぁ!?私も大人なんですけど!
成人式も済んでますよ!
行ってないけど……。」
龍太郎:「いや、酒が飲めるようになってからが、本当の大人だ。
飲んだことないけど……。」
美紅:「お酒とか関係ないし。
だって、歳は一つしか変わらないでしょ?
そんなのもう同級生ですよ。」
龍太郎:「いや、お前3月生まれだから、まだ18歳だろう!
俺は20
2歳違いは大きいぞ。」
美紅:「そんなの四捨五入したら一緒ですよね?
それに精神年齢で言ったら、圧倒的に私の方が年上ですよね?」
龍太郎:「いや、この前、お前は3月9日生まれだから、3月9日はミクの日とか言ってただろ。
それはもう子供の発想だ。」
美紅:「そんなこと言ったら、カレンさんだって、5月5日生まれだから、ゴーゴー!カレンの日って言ってましたよね!」
突然とばっちりを受けたカレンが割って入ってきた。
カレン:「美紅ちゃん!それ恥ずかしいからやめて!
美紅ちゃんに合わせただけだから〜!」
美紅:「あ!すいません……。」
カレン:「天堂くんも意味不明だよ!」
龍太郎:「はい、すいません……。」
カレン:「とにかく、あと1時間くらいだから、作戦を考えて、20分前くらいになったらここを出ましょ。」
それから、少し早く行って席を取ることと、今回はカレンが話をすることなどを決めて、いざ、駅前のファミレスに向かった。
俺は部屋で待機するふりをして、影武者を発動し、2人の後ろからついて行った。
出でよ!影武者!
◇◇◇◇◇
そして2人は、約束の時間の10分前にファミレスに到着。ちょっと広めの席についた。
まだ、骨男は店に来ていない。
カレン:「良かった。まだ来てないみたいね。」
美紅:「そうですね。」
カレン:「美紅ちゃんは奥に座って!
私は真ん中に座るから。」
片側に3人がギリギリ座れるテーブル席に入り口側に一人分空けて座るカレン。
当然、龍太郎が座れるスペースを空けているのだが、不自然な配置ではある。
美紅:「カレンさん。そんなに詰めなくてもそっち余裕ありますけど。」
カレン:「いいの。私が真ん中にいた方が話す時にいいでしょ。」
美紅:「ああ、そういうことですね。」
美紅が納得したので、龍太郎の影武者もカレンの隣の席に座った。
が、そんなに広くはないので、カレンに密着するような形になっている。
かと言って、通路に立っているわけにもいかず、ここはやむなしである。
逆にカレンは横に龍太郎が居るのが分かっているので、ものすごく密着している状況に少し気恥ずかしそうにしている。
カレン:「なんか、ここ暑くない?」
美紅:「いえ、普通ですけど。暑いですか?」
カレン:「なんかちょっとね。」
カレンの体温が少し上がっただけでした。
そして約束の時間の5分前。
ついに宿敵、骨男がやってきた。
骨男も美紅を見つけて、席に近づいてきたが、やけに興奮している。
流石にカレンがいるのだから、仕方がないのだが、何か動きがおかしい。
右手と右足、左手と左足が一緒に出てる。
めちゃくちゃ動きがぎこちない。
やっとのことで骨男も席に着く。
どんだけ時間かけてるんだよ!
骨男が席に付くや否や、待っていた店員が近づいてきて、注文を聞く。
カレン:「私はホットコーヒー。」
美紅:「私もホットで。」
骨男:「びぼぼぼ僕もヒョットコーヒーをください。」
骨男、めちゃくちゃ噛んどるやないかい!
いーや!めちゃくちゃ緊張してるぞ。
骨男:「ふぅ。ハハハ初めまして。
ふぅ。ボボボ僕は、
ふぅ。キョキョキィ今日はお越しいただき、アアありがとうございます。」
めちゃくちゃだ。声が震えてる。
カレン:「初めまして。
夢咲カレンです。知ってるよね?」
細川:「ははい!存じてましゅ。」
また噛んだ。
カレン:「細川さん。」
細川:「はい!」
カレン:「ちょっと落ち着こうか?」
細川:「はい!」
それから少しの間、注文したコーヒーが来るまで無言で待っていた。
その間、細川はものすごい勢いで深呼吸を繰り返して、息を整えている。
ついに注文したコーヒーが到着した〜!
それぞれが一口ずつコーヒーを飲む。
細川も来た当時よりは、だいぶ落ち着いてきたようだ。
カレン:「それじゃあ、話を始めましょうか?」
ここでカレンが口火を切った〜!
本日のメインイベント〜!
第七柱女神・夢咲カレン選手vs骨男・細川素直選手の無制限一本勝負〜!
バトルスタート〜!
カ〜ン!!
◇◇◇◇◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます