第22話 事件解決?

 ◇◇◇◇◇


 龍太郎とカレンは、順調にネズミ狩りをこなしていった。

 かと言って、ネズミ狩りは実入が少ないので、数を狩らないといけない。


 しかも、龍太郎は新しいスキルを試したいのだが……。


 流石に、ここで試すわけにはいかないよね!

 あーあ、分身体試したいなあ!


 もう、やりたいことはやったし、今日のところは早めに切り上げて帰るとするかな。


龍太郎:「ごめん、夢咲さん!

 そろそろ今日は終了ってことで。」


カレン:「うん。いいよ。」


 カレンもネズミ狩りには飽きてきたみたいで、龍太郎の提案に賛成した。


 第2回狩猟大会は、これにて終了。

 龍太郎とカレンは、帰路についた。



 ◇◇◇◇◇



 ゲートを通過して、モンスターコアの買い取りも無事に終えた。


 カレンがスマホの電源を入れると、着信が入っているのを見つけた。


 カレンが折り返しに電話をすると、協会の警務部につながった。


カレン:「あ!もしもし。はい。はい。

 え?捕まった?」


 被害届を出していたストーカー案件の容疑者が捕まったらしい。

 容疑者も犯行について認めているらしく、今から確認のために来て欲しいとのことだった。


カレン:「わかりました。今から伺います。」


 カレンは電話を切った。


龍太郎:「え、なんて?」


カレン:「警務部からで、容疑者が捕まったから、今から来てほしいって。」


龍太郎:「へえ、早かったな。

 警務部はちゃんと仕事してたんだな。」


カレン:「天堂くん。一緒に来て!」


龍太郎:「ああ、いいぞ。」



 ◇◇◇◇◇



 カレンたちは、捕まった容疑者の取り調べ室の隣の部屋にいた。

 この部屋には小窓が付いており、その窓はマジックミラーになっていて、取り調べ室の様子が見て取れる。


職員:「あれが容疑者なんですが、見覚えはありますか?」


 警務部の職員がカレンに尋ねた。

 取り調べ室では、容疑者に対して職員からの事情聴取が続いている模様。


カレン:「あ、はい。見覚えはあります。

 先日もファミレスで見かけました。」


 ふーん。やっぱりあいつか……。


カレン:「でも、どうやって捕まったんですか?

 自首してきたとか?」


職員:「いえ、夢咲さんの家を巡回していた時、あの男がポストに何か手紙らしきものを入れようとしたので、任意でご同行いただいたというわけです。

 その時にポストに入れようとした手紙がこれです。」



 カレンちゃん。

 街で見たよ。男は天堂龍太郎くんだね。

 良くないね。良くないよ。

 僕が君のためにこの男を排除しよう。

 いつでも君を見ているよ。



カレン:「確かに前の文章とそっくりです。」


 カレンが見せられた手紙は犯人であることを断定するのに充分すぎる証拠だった。


 うーん。これは決定的証拠だな。

 相変わらず、キモい文章だな。

 君のために俺を排除って、俺は何もしてねえよ!

 まあ、いっか。

 これで一件落着ってことかな。


カレン:「でも、この人ってエクスプローラなんですか?

 1回目の手紙の時、クラン設立を知ってたんで。」


 夢咲さんが念のために聞いているぞ。

 うんうん。それ重要だよね。

 まあ、俺は確認したけどね。

 そいつは、尾行ってスキル持ってるはず。


職員:「いえ、そこは調べましたけど、エクスプローラではないですね。」


 職員がそう答えた。


 嘘!?えー!?なんで?

 いやいや、国士無双クランの人ですよ。

 アイちゃんに調べてもらったから間違いないはず。


龍太郎:「すいません。ちょっと俺も確認させてもらっていいですか?」


職員:「あなたはどなたですか?」


 あ!そうか。


龍太郎:「俺はその手紙に書いてある天堂ですけど。

 夢咲さんと同じクランの者です。」


職員:「そうでしたか。なら、どーぞ。」


 職員の許可をもらって、龍太郎もマジックミラーの小窓から容疑者を確認した。



 ん?……はぁ?そっちかい!?


 龍太郎が確認した容疑者は骨男だった。

 今日も赤いTシャツに変わってはいるが、胸にデカデカと無双状態の文字。


 流行ってんのかーい!


 確かにファミレスで見かけた男だったが……。


龍太郎:「夢咲さん。本当にこの男なのかなぁ?」


カレン:「うーん。」


 龍太郎とカレンは、違和感があるみたい。


職員:「でも、すでに自供してますからね。

 クランの件は誰かから聞いたんじゃないですか?」


カレン:「そうなんですかね?」


職員:「はい、やっていないことを自供するはずはないですから確定です。

 では、今回は実害が出ていないので、接近禁止命令の処置をとっておきます。

 こちらにサインをお願いします。」


 渋々納得しながら、カレンはサインしたあと、職員の方に礼を言った。


カレン:「迅速な対応、ありがとうございました。」

 


 無事?事件は解決し、龍太郎とカレンは協会本部を後にした。



龍太郎:「夢咲さん。一応、解決でいいのかな?」


カレン:「まあ、そうなるのかな?」


龍太郎:「とにかく、送っていくよ。」


カレン:「うん。ありがとう。

 今日はご飯はどうする?」


龍太郎:「家で食べるよ。

 今日はちょっとやりたいことがあるんだ。」


カレン:「あ、そうなんだ。残念。」


 龍太郎はカレンを家まで送って行って、自分もボロアパートに帰って行った。

 ソロの時は、一日潜ったら、一日休息を取るようにしていたが、パーティになったことで負担は軽くなったということで、明日も潜ろうという約束をして別れた。



 ◇◇◇◇◇



龍太郎:「ふう、帰ってきた〜!」


 龍太郎は部屋に入るや否や、アイちゃんを呼び出した。


龍太郎:「アイちゃん!ついにスキルが解放したよ!」


AI:〈うんうん。見てたよ。やったね!〉


龍太郎:「分身体だって!なんとなくわかるから、ちょっとやってみるよ!」


 ボン!


 龍太郎がスキルを使うと龍太郎が現れた。


龍太郎:「うおー!これ!俺じゃん!」


AI:〈へえ、すごいじゃない。〉


 龍太郎は龍太郎分身体を使ってアイちゃんに分かるように解説しながら、いろいろ試してみた。

 龍太郎分身体は龍太郎の思うがままに動きます。というか、龍太郎が2人になったと考えた方が近い。


龍太郎:「おい!龍太郎。」

分身体:「なんだ!龍太郎。」


龍太郎:「ふふふ。しょーもな。」

分身体:「確かに。」


 そのあともいろいろ試してみたが、出せる分身体は1体。


龍太郎:「やっぱり、お前だけだな。」

分身体:「うん。俺だけだな。」


龍太郎:「じゃあ、また呼ぶよ。」


 ボン!


龍太郎:「すげー、面白いスキルもらっちゃったよ。」


AI:〈良かったね。

 でも、そのスキルは人前で使えないんじゃない?〉


龍太郎:「そうだよなぁ。

 とりあえず、俺の部屋限定ってことか。

 せっかくいいスキルなんだけどな。

 でも、レベル1でも解放できるスキルがあるって分かっただけでも、すっごい嬉しいよ。

 しかも、適正化って神!

 スキルが進化しちゃうからな!」


AI:〈うんうん。僕も驚いたよ。

 その調子でどんどんスキルを取っていきなよ。〉


龍太郎:「ああ。明日も違う狩場に行く予定だから。

 もう、超能王スキルキングって最高!」


 初めてのスキルを使って、ハイテンションになった龍太郎。

 なんか、部屋で一人で踊ってます。

 気持ちはわかるが、はしゃぎすぎです。


 ◇◇◇◇◇

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