第21話 第2回狩猟大会

 ◇◇◇◇◇


 我らがゴッドブレスユー!は、一日の休暇を挟んで、第2回狩猟大会のため、本日も渋谷ゲートからイントゥザ異世界ダンジョン!


 龍太郎は、飽きもせず、まずはゲート内の販売ショップへ。


龍太郎:「今日も源さんか。

 相変わらず、暇そうだなぁ。」


源三:「また、お前か。小僧。

 飽きもせずによう来るのう。」


龍太郎:「いいだろ。

 俺の日課みたいなもんだから。」


 今日も店番は源さん。

 お茶を飲みながら、くつろいでいた模様。

 龍太郎はいつもの定位置に。


源三:「お前なぁ。何回も言っとるがな。

 それは飾っとるだけで、非売品だからな。」


龍太郎:「もう!分かってるよ。しつこいなぁ。

 なあ。これって誰が付けてたやつなの?」


源三:「お前こそ、しつこいのう。知らん。

 というか、そいつは誰も持てんじゃろ。

 おっと、口が滑ってしもうたな。」


龍太郎:「ん?源さん!

 今のどういう意味なんだ!?」


源三:「忘れろ。お前には一生装備できん。

 そういう意味じゃ。」


龍太郎:「あーそうですか!

 見るだけならいいよな!」


源三:「ああ、見るだけなら、好きにしろ。」


 相変わらず、源さんには容赦ない龍太郎。


カレン:「ちょっと!天堂くん!

 源さんに失礼だって。」


源三:「ああ、お嬢さん。構わんよ。

 小僧のことは気にせんでええ。慣れたわ。」


カレン:「すいません。源さん。

 ねえ、天堂くんっていつもこれを見に来てるの?」


龍太郎:「そう。一目惚れってやつかなぁ。

 初めて見た時にビビッと来たんだよな。

 これって第六感?」


カレン:「いや、それ私のでしょ。取らないでよ。

 でも、神秘的だよね。」


龍太郎:「あっ、わかるー?そうなんだよねぇ。

 なんか、心が吸い込まれるような感じなんだよなぁ。触ってみたいなぁ。」


 見るだけで触れないですけどね。


龍太郎:「あっ!そういえば、源さん!

 カーバンクルの師匠なんだってね?」


源三:「ん?誰が言っておった?」


龍太郎:「百地さん。」


源三:「ほぅ。お前たち知り合いか。」


龍太郎:「うん、1回だけしか会ったことないけど。」


源三:「そうか。師匠ではないが、引退する前にいろいろ教えてたことはあるのう。

 あいつらは若いが、お前と違って出来がいいからな。仲良うしとけ。」


龍太郎:「源さんってやっぱすごいんだな。」


源三:「なんじゃ。気持ち悪いこと言うてからに。

 しかし、あいつらも難儀なことになったのう。」


龍太郎:「え?何かあったのか?」


源三:「いや、ないない。

 お前と喋っとると変なことを言うてしまうのう。気にするな。

 それより、もう行ったほうがええんじゃないか?お嬢さんが待っとるじゃろ。」


龍太郎:「ああ。そうだな。

 じゃあ、また来る。」



 ◇◇◇◇◇



 龍太郎とカレンは、販売ショップを出て少し離れたところで作戦会議。


龍太郎:「悪いけど、今日は違う狩場でお願いな。」


カレン:「うん、いいよ。で、どこにするの?」


龍太郎:「ああ。俺のよく行ってるところな。」


カレン:「ちょっと待って。マップ出すから。」


 カレンは、例の立体マップを取り出した。

 マップとしては広げるとかなりデカい。


龍太郎:「ホログラムやっぱすげーわ。

 何回見ても感動するな。」


カレン:「うん。で、どこ辺りなの?」


龍太郎:「えーっと、ここかな?

 この辺でネズミ狩りの予定なんだけど。」


カレン:「ああ。ホーンラットだね。懐かしいね。

 初期の頃はよく狩ってたよ。

 近場で安全重視だね。」


 ホーンラット。初級モンスターの一種。

 小さな角があるネズミである。

 姿はネズミだが、猫ほどの大きさはある。

 チョロチョロと動き回り、攻撃は噛み付きだが、よほどのことがない限り、致命傷になることはない。

 ただし、数が多いため、初心者は囲まれないよう注意が必要だ。


龍太郎:「うん。ソロだとそんな感じだよ。

 それと、前から気になってたんだけど、このマップのこれ何かな?」


 龍太郎は立体マップの1点を指差した。


カレン:「あ!私もそれ気になってたんだよね。

 そこだけ、黄色く光ってるんだよね。

 なんだろう?よくわからない。」


龍太郎:「うーん…なんか重要なポイントなのかなぁ。

 ま、いっか。どーせ行けないしな。」


カレン:「そうだね。どーせすぐには行けないしね。

 じゃあ、そろそろ行こっか!」



 ◇◇◇◇◇



 前回より勝手知ったる近場とあって、龍太郎にも余裕がある。


龍太郎:「よし!着いたぜ!」


カレン:「早速いるね!」


 ネズミは、強くない代わりに数は多く、狩っても狩ってもわらわらと出てくるのだ。

 この辺りはゴツゴツとした岩が沢山あり、ネズミの棲家になっている。


 龍太郎はネズミの様子を伺った。


 こいつはどんなスキル持ちかな?

 ベタに噛み付きとかかな?

 

 龍太郎は、一瞬、自分の前歯が大きくなって、逆にネズミに噛み付くところを想像してしまった。


 いやいや、とにかく想像するのは確認してからにしよう。


 龍太郎はスキルを使った。


【固有超能】繁殖


 へ?ネズミのスキルってまさかの非戦闘系?

 しかも繁殖ってなんで!?

 このスキルって!?


 龍太郎が、一瞬、変な想像をしてしまった。


 いやいや、とにかく取ってから考えよう。


カレン:「天堂くん!どうしたの?顔が赤いよ。

 今からそんなに興奮してると持たないよ。」


龍太郎:「あ!いや。大丈夫。

 それじゃあ、そろそろ行きますか!」


 龍太郎は、雑念を振り払って狩りを開始した。


 いざ、狩猟を開始するとカレンがどんどん討伐していく。

 相変わらずの装備頼みの戦闘方式だが、ホーンラットの攻撃は全く効いていない。

 しかも、攻撃は常に一撃必殺であった。


 一方、龍太郎はというと……。


 うわっ!あぶね。間一髪!


 なんとか、無傷を保っている。

 少しずつではあるが、龍太郎もホーンラットを狩っていく。


 数十匹狩ったところで、残り1匹となった。


龍太郎:「夢咲さん!最後のネズミは任せて!」


カレン:「あ、うん。お願い!」


 よし!こいつで試すぞ!


 チョロチョロと接近してくるネズミが噛みつきで襲ってきたタイミングで龍太郎パーンチ!

 ネズミの横顔辺りに龍太郎のブーメランフックが炸裂!と思いきや、ネズミの顔が少し歪んだが、そのままの勢いでネズミが衝突し、龍太郎は後方に倒れた。


 見かねたカレンが横からふらついたネズミを一閃。息絶えた。


カレン:「もう!いきなり素手で攻撃って!」


 カレンが龍太郎に怒鳴っているが、頭の中に意識は集中していた。


〈ピピプピプ……他者の超能を確認!〉

〈超能【繁殖】を登録しますか?〉


 よし、来た!

 微妙だけど、登録します!


〈ピピプピプ……超能【繁殖】を登録しました!〉


 おっしゃ!登録成功!


〈ピピプピプ……超能【繁殖】の解放に成功しました。〉


 え!?嘘!マジで!?

 成功するのかい!?繁殖が成功って!?

 うわー!ヤバい!頭が追いつかん!


〈ピピプピプ……超能王の効果により超能【繁殖】を最適化します。〉


 え!?えー!?

 続きがあった!最適化!?


〈ピピプピプ……超能【繁殖】は超能【分身体】へと進化しました。〉


 はひ?分身体?繁殖が分身体?


 よくわからないけど、とりあえず。


 ステータスボード!


【個体情報】天堂龍太郎 20歳 人間族

【個体強度】レベル1

【固有超能】超能王スキルキング

【解放超能】分身体

【登録超能】豪運・超会心・回復波・流星弾・炎斬刃・駿足


 

龍太郎:「うおーーーーーーー!やったぞ!」


 なんかすごそう!初スキルゲット!


カレン:「えーーー!?天堂くん!!何!?」


 カレンは龍太郎の体を揺さぶった!


龍太郎:「あ!夢咲さん。ん?」


カレン:「もう!どうしたの!

 ホーンラットに弾かれたと思ったら、ボーっとしてるし、かと思ったら、急に大声で喜んでるし、頭狂ったの?」


 うわっ!そっか。ヤッバ。


龍太郎:「あれ?ネズミは?」


カレン:「もう終わったわよ。

 次のホーンラットが出てくる前にモンスターコアの剥ぎ取りやっちゃうよ!」


龍太郎:「お!分かった。ごめん。」


 ホーンラットのモンスターコアは小さく、豆粒程度なので、数は多いが剥ぎ取りは簡単なので、すぐに終わった。

 ちなみに、ホーンラットのモンスターコアの価値はものすごく低い。数で勝負。


 剥ぎ取りしている最中も初めてスキルゲットに浮かれ気味の龍太郎だった。


 ◇◇◇◇◇

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