第14話 噂のAランククラン
◇◇◇◇◇
3人組パーティの正体が判明した。
近づくほどに、夢咲さんは興奮している。
どうも、彼女は知っているらしい。
カレン:「あの人たちはね。
あの噂のカーバンクルのメンバーだよ。
こんなところで会えるなんて超ラッキーだよ。うわー、超感激。」
龍太郎:「カーバンクルって?」
カレン:「Aランククランだよ。
カーバンクルがすごいのはね。設立以来、あの3人でずっと続けてるところなんだよ。
あの3人はね。確か28歳で同じ歳、18歳の時、同期で結成したんだって。
Aランククランって、だいたいが大型クランじゃない?
人数を増やして貢献度を上げて昇格して行くのが普通なんだけど、カーバンクルはわずか3人でAランクにまで昇格したんだよ。」
龍太郎:「へえ、すごく詳しいな。」
カレン:「いや、まだ説明終わってから。
でね。あの手前の超絶イケメンの人がクラン代表の
エクスプローラをやりつつ、たまにモデルの仕事もしてる二刀流なんだよ。
しかも、超知的だし、超紳士だし、非の打ち所がないとはこのことだよね。」
すごい褒めるな。
まずは、この人のスキルを確認っと。
【固有超能】
ふーん。やっぱ凄そうだな。
炎で斬る感じなのかな。わからん。
「次は右側にいるのが、カーバンクルの紅一点、クールビューティの
綺麗だよね。この人もたまにモデルの仕事をしてるんだよ。琴音さんがモデルの商品はすごくバズるから、スポンサーもすごく多いの。
まさに女性の憧れって感じよね。
彼女は支援職なんだけど、彼女なしでこのクランの成長はなかったと言われるくらい重要な存在なの。」
夢咲さん、よく喋るな。
まあ、すごく綺麗だけど、夢咲さんも負けてないと思うけどな。
じゃあ、この人も拝見っと。
【固有超能】
おー!回復!どういう風に使うのかな?
遠隔で回復できる感じかな?
「そして、左にいる人が、カーバンクルのムードメーカー、
彼のメツベ配信はすごく人気で、たまにしか配信がないのに、登録者数100万人を超えてるんだよ。」
はいはい、説明ありがとうございます。
じゃあ、この人もチェック!
【固有超能】
なんか、カッコいい。すごくいい。
これも凄そうだけど、どんなスキルかわからないな。飛び道具って感じなのかなぁ。
「もちろん、全員がAランクエクスプローラだよね。前衛、中衛、後衛とバランスの取れたパーティってのも大きいよね。
こんな近くで見られること滅多にないよ。
あ!せっかくだから、少しだけ挨拶に行ってくるね。
ちょっと、ここで待ってて。」
夢咲さんが、販売ショップ前にいたカーバンクルメンバーに声を掛けたようだ。
なんか、嬉しそうに話してるな。
カレン:「天堂くーーん!ちょっと来てーーー!」
えー?なんでー!苦手って言ってるのに。
カレン:「天堂くーーん!早くーーー!」
もう!いらんお世話を……。
はいはい。行きますよ。
龍太郎は、トボトボと行きたくない気持ちを抑えて、販売ショップの前まで来た。
龍太郎の前には、超絶イケメン、クールビューティ、ムードメーカーが立っている。
龍太郎:「すいません。初めまして。天堂です。」
景虎:「そうか。お前が天堂か?」
琴音:「ふーん。君なんだ。」
亜蘭:「へえ。そっか。お前かー。」
龍太郎は3人から、もの珍しそうにじーっと見られている。
龍太郎:「ちょっと〜!なんですか?」
景虎:「ああ、すまない。つい嬉しくってね。
俺は百地だ。よろしく。」
琴音:「同じくごめんね。如月です。よろしく。」
亜蘭:「蜂須賀だよ。よろしくね。」
龍太郎:「はい、知ってますけど。」
さっきまで、知らなかったけど。
カレン:「あ!横からすいません!
あのー、皆さんは天堂くんのこと知ってるんですか?」
夢咲さんが割り込んできたよ。
景虎:「ああ、そうだね。知ってるよ。
名前だけだけどね。」
琴音:「そうそう。思ったよりも童顔だったわね。」
クールビューティに童顔って言われたよ。
ていうか、思ったよりって何?
龍太郎:「俺は、あなたたちのような有名人から認知されるような人間ではございません。
たぶん、人違いかと思います。」
ここは丁寧に誤解を解いておかないと。
亜蘭:「いや、合ってると思うけど。
お前、天堂龍太郎でしょ。」
今度はムードメーカーに名指しされたよ。
龍太郎:「そうですけど……。
なぜ俺を知ってるんですか?」
景虎:「それはな。
源さんに聞いたんだよ。」
龍太郎:「なーんだ、源さんか!
あー、そういうこと?
俺のこと、なんか言ってました?」
亜蘭:「すごく失礼な奴。」
龍太郎:「ぐわっ!おい!あのじいさん!」
景虎:「ははは。面白いね。
でもね。俺たちにはすごく羨ましいよ。」
龍太郎:「は?なんで?」
景虎:「実はな。源さんは俺たちの師匠なんだよ。
まあ、師匠って言っても、俺たちが勝手にそう言ってるだけだけどな。
俺たちが新人の時からすごくお世話になっててね。」
龍太郎:「へえ、そうなんだ。
やっぱ、源さんってすごいんだな。」
亜蘭:「そうだね。すごい人だよ。
源さんはね。怒ったり、叱ったりはするけど、人の悪口は絶対に言わない人なんだよね。
でも、お前は別みたいな(笑)
すごく悪口言われてるぞ。」
龍太郎:「ぐわっ!痛恨!」
景虎:「はっはっは。本当に面白いな。
でもな。楽しそうなんだよ。
お前の話をする時は。
だから、一度、会ってみたいと思ってた。
良かったよ。面白いやつで。」
龍太郎:「はぁ。それはどーも。」
あれ?俺っていい感じ?どっち?
景虎:「なんか困ったことがあったら、いつでも相談に乗るよ。俺たちもAランクだからな。少しは助けになると思うよ。」
龍太郎:「はい。ありがとうございます。」
ガシッ(握手)
亜蘭:「天堂!俺もいるからね。
女性関係の相談は、俺にして来なよ。
景虎はそっちの方は苦手だからさ。」
景虎:「おい!亜蘭!」
亜蘭:「ははは。まあ、よろしくね。」
龍太郎:「はい。ありがとうございます。」
ガシッ(握手)
琴音:「私もいるわよ。
天堂くん、君いいわ。
私、君のファンになっちゃったかも。
今度、2人で飲みに行きましょうね。」
龍太郎:「え?」
クールビューティが俺のファン!?
2人で飲みに!?
うわぉー!生きてて良かった〜!
龍太郎:「あ、はい。ぜひ。へへ。」
むにゅ(握手)
琴音:「あら?天堂くん、怪我してるの?」
龍太郎:「あ、はい。ちょっと脇腹を。」
琴音:「どれ、ちょっと見せてみて。」
琴音:「ああ、これなら大丈夫ね。
ちょっと、じっとしてて。」
如月さんは、右手のひらを前にして、俺に向かって何やらしてる。これって回復波かなあ?
うわー!なんかあったかい!
琴音:「もういいわよ。脇腹はどう?」
龍太郎は思い切って体を捻ってみたが、さっきまでの痛みが嘘のように消えていた。
龍太郎:「え?すげ〜!痛くねえ!なんじゃこりゃ!」
琴音:「すごいでしょ?
これ、私のスキルね。サービスよ。」
亜蘭:「そうだね。珍しいよね。
琴音はパーティ以外ではあまり使わないからね。」
琴音:「そうよ。天堂くんは特別ね。」
龍太郎:「おー!ありがとうございます。」
特別って!魔法の言葉だな。
景虎:「じゃあ、俺たちはそろそろ行くよ。
俺たちのクランコードは、Aー111だ。
お前たちのクランコードは?」
龍太郎:「え?クランコードって?」
カレン:「あ!Dー318です。」
龍太郎の代わりにカレンが慌てて答えた。
なんだ。部屋番号のことか。
クランコード。覚えた。
景虎:「オーケー!Dー318だな。
じゃあ、俺たちが戻ったら、お前たちのコードを登録しておくから、なんか用があれば端末からメッセージを送ってくれ。
今回は2週間くらいで戻る予定だ。」
2週間!?長っ!
あ!そっか。
あのバッグってマジックアイテムかな。
Aランクってお金持ち?副業の方で?
カレン:「はい。この度は、お話させていただいてありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。」
ぷ!夢咲さん、硬い。
景虎:「ああ、カレンちゃんも頑張って。」
琴音:「カレンちゃん。またね。」
亜蘭:「チャオ!アミーゴス!」
◇◇◇◇◇
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