第10話 登録超能と解放超能

 ◇◇◇◇◇


カレン:「なんか、源さんと天堂くんってすごく仲がいいんだね。よく行くんだ?

 源さんって、元Aランクエクスプローラだよね?」


龍太郎:「ああ、昔は有名人だったらしいよ。」


カレン:「らしいよ。って今でも有名だよ。」


龍太郎:「あ、そうなのか?

 まあ、源さんはいい人だよ。

 あ!そうだ!夢咲さん!

 ちょっと握手してもいいか?」


カレン:「え?」


 え?……うわ!ヤバ!

 つい、言ってしまった!

 どうしよう!?


カレン:「べ、別にいいけど……。

 急にどうしたの?

 私との握手がそんなに良かった?」


龍太郎:「ぐわっ!ごめん!忘れてください!」


 うわー!やってしまったー!


 龍太郎は顔から火が出そうなくらい紅くなってる!


カレン:「もぅ!いいよ、いいよ!

 照れちゃってぇ!

 ウブい奴め。お姉さんも嬉しいぞ!

 そっか〜!うふふ。

 じゃあ、手を貸して!」


 そう言うとカレンから龍太郎の手を握った。


〈ピピプピプ……他者の超能を確認!〉

〈超能【豪運】を登録しますか?〉


 あ、来ちゃった!

 夢咲さん、申し訳ない。

 はい、今度は登録します!


〈ピピプピプ……超能【豪運】を登録しました!〉


 だな。それで?


〈ピピプピプ……超能【豪運】の解放に失敗しました。

 超能【豪運】の解放のために必要な固有強度レベルの条件を満たしていません。〉


 やっぱりダメか……。

 本当に解放って何なんだよ!?


龍太郎:『アイちゃん!』


AI:〈はいはーい。マスター、どうしたの?〉


龍太郎:『スキルの解放って何なの?』


AI:〈マスターのスキルのことは、僕にもよく分からないよ。

 ちょっと、ステータスボードを開いてみてよ。〉


龍太郎:『わかった。』


 ステータスボード!


【個体情報】天堂龍太郎 20歳 人間族

【個体強度】レベル1

【固有超能】超能王スキルキング

【解放超能】なし

【登録超能】豪運・超会心



龍太郎:『アイちゃん!なんか増えてるぞ!』


AI:〈マスター。了解。

 要は、スキルの登録と解放の関係だよね?

 個体強度レベルが条件を満たしてないとスキルが解放されない。

 すなわち、個体強度レベルを満たすとスキルが解放されるってことでしょ?

 これは予想だけど、登録することでスキルをストックしておけて、解放でスキルを使用可能の状態に変化させるんじゃないかな?

 だとすると、マスターは個体強度レベルを上げて確かめるしか、解決する方法はないね。

 ただ、条件はスキルごとに判定しているように見えてるから、たぶん、スキルごとに必要なレベルは違うんじゃないかな?

 今後、登録したスキルにレベル1でも解放されるものがあるかもしれないね。

 まあ、これもあくまで予想だから、実際には試していくしかないよ。〉


龍太郎:『アイちゃん!すごいね。賢いな。

 ものすごくわかりやすい説明だったよ。

 そっか。今、必要なのは、レベル上げとスキル登録!ってことだな!』


AI:〈うん。それとね。マスター。

 今回、重要なことに気付いたんだけど。〉


龍太郎:『え?何?ヤバいこと?』


AI:〈ヤバくはないけど、ヤバいね。〉


龍太郎:『何それ?自己矛盾してない?』


AI:〈まあ、聞いてよ。

 通常、1人が持てるスキルって1つだけなんだよね。

 要するに、今現在、この世界に2つのスキルを保有している者はいないってことだね。〉


龍太郎:『そりゃそうじゃん。

 それくらいは知ってるよ。

 って、ん?……あ!』


AI:〈そう。もし、マスターがスキルを解放していったら、2つ以上のスキルを保有することになるんだよね。

 もし、それを誰かに知られたら大変な騒ぎになるよ。〉


龍太郎:『うげっ!気付かなかった。』


AI:〈だから、これは先の話だけど、明らかにスキルとわかるものは、人前では使わない方がいいと思う。

 今、登録してる豪運とか超会心とかなら、誤魔化せるかもしれないけど……。

 もしバレたら……どうなるんだろ?〉


龍太郎:『いや、それはヤバいな。

 わかった。人前では絶対に使わないようにするよ。』


AI:〈もちろん、このことは秘密にすること。〉


龍太郎:『了解!まあ、今は大丈夫だな。

 アイちゃん、サンキュ!』


AI:〈はいはーい!気をつけてね。〉



カレン:「天堂くん!天堂くん!」


龍太郎:「あ!夢咲さん。」


カレン:「また、固まってたよ。

 しかも、相当長かったけど、大丈夫?」


龍太郎:「あ!大丈夫。ありがと。」


カレン:「うん、大丈夫ならいいよ。

 握手くらいならいつでもしてあげるよ。

 早く慣れた方がいいからね。

 そっか。ふふふ。」


 なんか、誤解してると思うけど、ここは言わない方がいいだろうな。うん。



龍太郎:「夢咲さん!そろそろ行かないか?」


カレン:「あ、そうだね。

 天堂くんはいつもどの辺りで狩ってるの?」


龍太郎:「ああ。んーっと、この辺だな。」


 龍太郎はマップを広げて、いつもの狩場を示した。


カレン:「あー、その辺りね。

 天堂くんって、マップも配布品だね?」


龍太郎:「え?夢咲さんは違うのか?」


カレン:「これって誰にも言ってないんで、内緒だよ。

 私のマップは、これだよ。」


 カレンがマップを取り出して広げると、元の大きさからは想像できないほど、かなり大きいマップが目の前に広がった。


龍太郎:「何これ!めっちゃデカくてリアル。

 しかも、立体的ホログラムって!」


カレン:「これもね。ドロップアイテム。」


龍太郎:「だろうな。流石にこれはヤバい。」


カレン:「でしょ?だから、誰にも言ってないんだ。

 あとね。これのいいところはね、マップに直接メモするとね、記録してくれるの。

 こういうふうに、ポイントを押すとね。

 ほら、メモが出てきたでしょ!」


龍太郎:「なんじゃこりゃ。これはすげーな!

 しかも、このマップってだいぶと範囲が広いよな。」


カレン:「そうなんだ。確認したんだけど、未開の地まで載ってるんだよ。」


龍太郎:「なんか、俺のマップって落書きに見えてきた。」


カレン:「まあ、配布品のマップだから、仕方がないよ。

 でね。私のおすすめの狩場があるんだけど。

 ここだよ。少し離れてるけどね。」


 カレンは、マップ上のポイントを押した。


龍太郎:「へえ。ランバードの狩場か。

 こんなところに。」


カレン:「うん。安全重視だよ。どう?」


龍太郎:「まあ、俺はいいけど、ランバードが安全重視って、やっぱり、夢咲さんって強いんだな。」


カレン:「全然、強くないよ。

 ランバードには、うまい戦い方があるんだよ。」


龍太郎:「へえ、そうなのか。

 じゃあ、お任せします。」


カレン:「うん。了解!」


 話し合いも終わり、2人はカレンの案内でおすすめの狩場へと向かって走っていった。


 ◇◇◇◇◇

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