第7話 新クラン設立

 ◇◇◇◇◇


 龍太郎とカレンは事故ることなく、無事に渋谷に到着。


カレン:「ありがとう。結構、早かったね。

 やっぱり、スクーターだと楽でいいね。」


龍太郎:「まあ、俺はこれが普通だから。」


カレン:「もう電車には戻れないかも。

 私もスクーター買おうかな?」


龍太郎:「二輪免許持ってるのか?」


カレン:「一応ね。ペーパーだけど。」


龍太郎:「だから、メット持ってたのか?」


カレン:「ヘルメットだけ先に買っちゃったんだよね。

 バイクも買おうとしてたんだけど、なんかね。可愛いのがなかったから。

 でも、これいいね。可愛いかも。

 デスガだったっけ?」


龍太郎:「そう。デスガ150。」


カレン:「猫ちゃん仕様とかあるかな?」


龍太郎:「ないだろ!カスタムになるぞ。」


カレン:「うーん。ちょっと考えるね。」


龍太郎:「いやー、それはやめた方がいいと思うけど。」


カレン:「なんで?」


龍太郎:「いや、いいんじゃないかな。」


カレン:「うん。じゃあ、行こっか。」


 また、龍太郎は嘘をついてしまった。



 ◇◇◇◇◇



 渋谷に到着して、まずは探検者協会に足を運んだ。クラン登録のためだ。


 日本探検者協会本部本館にある登録課窓口。


カレン:「ここって空いてるんだね。

 私たち以外誰もいないみたい。」


龍太郎:「俺も最初の方に登録して以来、ここには来てないな。」


カレン:「そうだよね。あまり用ないしね。」


 探検者協会でも別館にある買取センターと販売ショップは頻繁にお世話になるのだが、登録課窓口なんて滅多に利用するものではない。


 エクスプローラ、クランの登録と解除の他、それぞれのランクが昇格した場合のみに利用する窓口なのだ。


 なお、新クラン設立には2名以上のエクスプローラのメンバー登録が必要である。

 なので、龍太郎もカレンも現在はクランに所属していない。

 クランの必要性だが、それほど必要ではないが、若干の優遇がある。

 主には、クランハウスの利用とクラン運営補助金の支給で、高ランクのクランほど優遇が大きくなる。



おばさん:「本日はどのような登録ですか?」


 窓口受付のおばさんが対応してくれた。


カレン:「はい、新しくクランの設立に来ました。」


おばさん:「クラン設立ですね。お二人ですか?」


カレン:「はい、そうです。」


おばさん:「では、このクラン設立申請書に必要事項を記載してくださいね。」


 カレンは申請書をもらって、ちょっと離れた記載する台みたいなところに行って、内容を書き出した。


カレン:「えーっと。ふむふむ。ふむふむ。

 それで。あ!クラン名だ。

 天堂くん!クラン名なんだけど、昨日いろいろ考えて、2つに絞ってきたんだけど、聞いてくれる?」


龍太郎:「ん?どっちでもいいよ。」


カレン:「ちょっと!もう、聞いてよ!

 クラン名だよ!大事だから。」


龍太郎:「お、おう。」


 いや、なんでもいいんだけど……。


カレン:「1つ目はね。

 猫ですが、なにか?だよ。」


龍太郎:「ブッ!それ、絶対ダメなやつでしょ!

 有名な小説のタイトルじゃん!

 確か、アニメ化もしてた!」


カレン:「そうだよ。なんで?」


龍太郎:「いや、著作権とかいろいろあるでしょ!」


カレン:「えー!好きなんだけどな。ダメ?

 じゃあ、次ね。

 2つ目はね。こっちは、天堂くんの龍にちなんだ名前だよ。」


龍太郎:「いや、それは絶対にやめて!お願いします。」


カレン:「いやいや、絶対に気にいるから!

 2つ目はね。

 ドラゴン・ボーーーーーール。だよ。」


龍太郎:「ぐわっ!それは完全にアウト!アウトー!

 それ、ひねってもいないじゃんか!?

 棒を伸ばせばいいってもんじゃないから!」


カレン:「あはは!冗談だよ!

 ぐわっ!て言ったよね!ぐわっ!って!」


龍太郎:「おい!冗談かよ!ビックリしたー!」


カレン:「やっぱり、おもしろーい。」


龍太郎:「おい!受付の人がこっち見て笑ってるぞ!」


カレン:「え?うわー。やっちゃってるね。

 それじゃ、今度は真面目に。

 2つ目はね。ゴッドブレスユー!。だよ。」


龍太郎:「なんじゃそりゃ?」


カレン:「えー!知らないの?

 好きな言葉だよ。可愛いでしょ!」


龍太郎:「まあ、さっきのよりは。

 これは、なんかのタイトルじゃないよな?」


カレン:「違うと思うよ。」


龍太郎:「ならいいか。どう言う意味だ?

 神ブレスをユーに。ってこと?」


カレン:「なんか、そんな感じだね。」


龍太郎:「オー、ノー!全くわからん!

 まあ、それでいいよ。はい、決定!」


カレン:「ラジャ!考えた甲斐あったよね。

 じゃあ、ゴッドブレスユー!っと。

 書けたよ!じゃあ、出しに行こう。」


 また、二人で窓口に。

 その間、受付には誰も来ず。

 おばさん、ものすごい暇だろな。


 カレンが窓口でおばさんに申請書を渡した。


おばさん:「はい、ありがとうございます。

 記載事項に漏れはないですね?

 はい、オーケーですよ。

 では、メンバーお二人のIDカードの提出をお願いしますね。」


 龍太郎とカレンはカードを窓口に置いた。


おばさん:「はい。確かに。

 では登録しますので、少々おまちください。」


カレン:「クラン設立って結構簡単なんだね!」


龍太郎:「そうだな。これで終わりならな。」


おばさん:「はい、登録完了しましたよ。

 カードをお返ししますね。

 クランハウスはDー318になりますね。

 クランハウスの使い方はご存知ですか?」


カレン:「はい。天堂くんも大丈夫だよね?」


龍太郎:「ああ、俺も大丈夫。

 D棟の3階ですよね?」


おばさん:「はい、そうですよ。」


カレン:「ありがとうございました。

 じゃあ、行ってきます。」


おばさん:「はい、ご安全に。」


 クラン設立が無事完了し、2人は早速、クランハウスに向かった。



 ◇◇◇◇◇



 クランハウスD棟3階。


カレン:「ここだね。318号室。」


 カレンはドアのセンサーに自分のIDカードをかざした。


 ヴィーン。ガチャ!


カレン:「わー、懐かしいかも。」


龍太郎:「確かに。何もないと結構広いな。」


カレン:「そうだね。

 この部屋には机と椅子と端末しかないしね。

 でも、キッチン、トイレ、シャワー室もあるから、ベッド運び込んだら、住めるよ(笑)


 そっかぁ、ここから、スタートだね。」


龍太郎:「おう。」


カレン:「ちょっと、端末で見てみるね。」


 カレンは端末の電源を入れて、何かを調べ始めた。


カレン:「ほら、天堂くん、見て!

 登録されてるよ!

 うわー、実感湧いてきたー!」


〈クラン:検索結果〉


【クラン】ゴッドブレスユー!

【登録日】2050年9月12日

【ランク】D

【代 表】夢咲カレン(D)

【メンバ】天堂龍太郎(D)



龍太郎:「ふーん。いいんじゃない。」


カレン:「今度の休みに、必要なもの買いに行こうよ。」


龍太郎:「そうだな。何にもないもんな。」


カレン:「まずは、ケトルとコーヒー?」


龍太郎:「それは賛成!あと、モンブランかな。」


カレン:「よし!それも買おう!ふふふ。」


龍太郎:「ははは。そろそろ、行くか?」


カレン:「そうだね。」


 こうして、カレンと龍太郎の2人の新クランが今日スタートした。


 ◇◇◇◇◇

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